きょうは、今週社長の謝罪会見にまで発展した、
朝日新聞の、一連の誤報・掲載拒否問題を取り上げます。
一昨日、朝日新聞の木村伊量社長が、
従軍慰安婦問題、福島原発調書問題、
依頼した執筆者に対する掲載拒否など、
ここ1,2カ月で噴出した、同新聞の対応や
記事の内容について、謝罪会見を行った。
発端は、先月5日、かねてからその証言の
信憑性が疑われていた、従軍慰安婦問題に関する、
いわゆる吉田証言が虚偽だったことを
掲載から32年経って、認めて撤回したことだ。
さらに、福島原発事故に対する、
政府の事故調査・検証委員会が行った、
福島第一原発の吉田昌郎・元所長に対する聴取内容、
いわゆる吉田調書をスクープしたが、
実際の内容と掲載内容が全く違えたことも
明るみになった。
さらに、慰安婦問題記事の撤回に至る
朝日新聞の対応を批判した内容を書いた
池上彰氏の連載コラムを拒否した。
それらに対して、現役の朝日新聞の記者からも、
公然と社の対応を批判する声が上がり、
他の報道機関や世論の目も厳しくなり、
ついには、役員更迭・社長謝罪に追い込まれた。
これらの一連の動きだけでなく、その対応や、
論点のすり替えなどが、自体を大きくしてしまった。
例えば、従軍慰安婦については、旧日本軍が
組織として行ったことが問題だとしていたが、
それを撤回したら、強制性はあったと言い通し、
それが問題の本質だと刷り変えている。
強制性が問題なら、全ての戦争に当てはまる。
旧日本軍特有のものではなくなる。
そこを無視して、旧日本軍だけを問題にし続けている。
池上氏のコラム掲載拒否も、言論の自由の中核を
なす新聞社が、それと真っ向から対立することを
してしまったことも、批判をさらに大きくした。
筆者は、本欄の題名に
「打倒池上彰(さん)!?」とまで入れるほど、
池上氏を尊敬してやまない。
(打倒などできるわけないから、入れています。)
氏の、物事に対する事実の把握、複数の視点、
それを誰よりも分かりやすく解説する話力、
どれ1つ取っても、脱帽・敬礼するほどの説得力がある。
今回の掲載拒否されたコラムも、
恐らくは、誰もが納得する内容だったのだろう。
だから、同紙は掲載拒否したのではないか。
救いなのは、かねてから、OBが問題点を指摘し、
現役の社員が公然と会社の対応を批判していることである。
もちろん新聞社も一企業だ。
会社の経営が成り立たねば新聞の発行は不可能だ。
顧客基盤となる一定の読者獲得が必要だ。
だからと言って、事実を伝えることと、
読者が喜びそうな解説を加えることは、全く別である。
「こう書いたら読者は喜ぶだろう。」として書いた記事は、
もはや事実ではなく、報道とはいえないのである。
さらにそれを批判した記事を載せいないのは、
言論の自由の封殺にも等しい行為を、繰り返しになるが、
本来それを守るべき新聞社が行っていることになるのだ。
それこそ、会社としての経営にも大きな打撃になる。
同紙の解約が増えていることが、それを証明している。
吉田調書をスクープしたことは、特筆に値する。
まさに報道機関の使命を果たしたことになる。
しかしその内容を事実と違えてしまったら、
スクープでも何でもなくなる。大誤報だ。
もっとも大誤報は、先般日本経済新聞も、
世界有数の日経巨大企業の合併を報道して
やらかしている。
しかし今回の大誤報は、日経が虚偽の内容、
いわゆる「ガセネタ」をつかまされたのとのは違い、
事実は存在して、内容は違うことを報道していることだ。
同じ大誤報でも、その意味が違う。
今回の一連の問題で、他紙も大きく批判している。
しかし、問題は朝日だけではなく、
新聞の在り方まで問われる事態になっている。
朝日も含め、各新聞社は、批判・謝罪で終わらせず、
なぜこのようなことが起きてしまったのか、
朝日新聞の歴史的な社の体質から問わねばならない。
そのことは、与党の一部議員から、
木村社長を国会に参考人招致にすべき、
という声が上がっている。とんでもないことだ。
報道機関に対する政治権力介入の恐れを誘発させた。
これもまた同紙の責任である。
もちろん、このような政治に動きに対して、
自民党の谷垣幹事長は、報道機関からのコメント要請を、
一切拒否している。政治権力の不介入を貫いているのだ。
それとは全く別に、従軍慰安婦問題の真実究明は
なされなければならない。
同時に、国家権力の一部が行ったことになる、
いわゆる「河野談話」の作成過程もまた然りである。
この点、産経新聞も今朝のコラム触れていたが、
河野洋平・元官房長官の国会招致に、
なぜか自民党は消極的である。
国会に呼ぶべき人物と、呼ぶべきでない人物、
誰なのかは明白である。
では、朝日問題は誰が検証するのか。
先に書いた通り、新聞界全体で取り組むべき課題である。
テレビ・ラジオには、BPOという機関がある。
新聞にも、協会とは別に、そのような機関を設置して、
この問題の徹底的な検証を行うことが求められる。
今週もお読みいただき、ありがとうございました。
この問題、根は深いです。
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