きょうは、広島市で起きた土砂災害より、
都心でも起きうるこの災害について取り上げます。
広島市で発生した今週の土砂災害で、
死者・行方不明者が100人に迫るという、
痛ましい災害が起きてしまった。
発生した地区は、山間の間に川が流れる地形に、
新興住宅地が広がって出来た、いわゆる新興住宅地である。
山間部、ということで、地方に起きる災害、と一見感じるが、
日本各地どこでも起きうる、オーバーでもなく、
首相官邸でも起きうる土砂災害なのだ。
山間を切り開いた土地、東京都心に近い多摩ニュータウンは、
まさにその典型だ。
今回災害の起きた箇所の、何倍もの規模である。
中央を貫く低地に走る、京王線・小田急線に乗れば、
一目瞭然だ。
23区でも、特に山の手と呼ばれる地区は、
起伏が激しく、ハザードマップでも危険地域は多く存在する。
大田区の大森から蒲田にかけて京浜東北線に乗れば、
海の反対側は崖が続いているところがある。
世田谷区には、「等々力渓谷」がある、つまり山間地だ。
高級住宅地は、そのようなところを切り開いている。
そういうところに、今回のような超集中豪雨が降ったら、
高低差がある以上、土砂災害が起きないとは限らない。
物質は重力により、低いところに移動するからだ。
しかも、木々が根付いていて保水力がある所と違い、
都心部はほぼ緑が失われている。
コンクリートやアスファルトで固めている、とはいえ、
下に流す能力を超えた集中豪雨が降れば、
地面にしみ込み、地滑りを誘発することは、
過去の災害で証明されている。
さらに下に流れ水はどうなるか。
排水能力を超えれば浸水被害が発生する。
起伏の激しくない23区東部は標高5m以下の地域がほとんどで、
荒川の防波堤ができるまでは、頻繁に洪水が発生していた。
起伏が少ないからといって災害からは逃れられない。
山手線の内側にも、そういう個所はある。
田端から日暮里にかけて、西側(つまり内側)に
高台の続くところがある。
反対側が、低地の広がる荒川流水域だ。
そして、首相官邸の敷地の南側は、急斜面となっている。
その南側の地名は、かつて「溜池」と呼ばれていた。
信号交差点の名前にもなっている。
もちろん、急斜面の上でも、
地盤が安定しているところもある。
緑を残して保水力を維持しているところもある。
しかし、新興住宅地は全てそうであるとは限らない。
加えて、最近の雨の降り方は、短期集中型だ。
今回の豪雨災害を教訓として、
今一度、避難体制、防災対策を見直す時期に来ている。
今回の災害で亡くなった方のご冥福を
謹んでお祈り申し上げるとともに、
一刻も早い復旧を、願ってやみません。
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