きょうは、台風8号通過に伴い、
沖縄県に出された特別警報について書きます。
今週、列島を通過した台風8号は、当初、
急速な勢いで発達しながら沖縄県に近づいた。
本来、台風は北上を始め沖縄県に近づこうとするころに、
勢力のピークを迎える。
ピークの後は徐々に落としながら日本列島付近を通過する。
なぜなら、台風のエネルギー源は、
海面の水温が27度以上とされている。
その高水温域は、通常なら沖縄県より南にあるからだ。
しかし、この夏は、この高水温域が、
赤道から沖縄県付近広がっていたことから、
台風が勢力を落とすどころか、
勢いを増して沖縄県に近づいてきた。
これが今回、特別警報を出すに至る要因の1つになった。
中心が沖縄県の北に移動したことで、
一旦特別警報を解除した。
しかし、台風の中心から伸びる帯状の雲が発達し、
その先端部分=中心から一番遠い部分で
雲の発達が見られたことから、
再度特別警報を出すに至った。
台風は、中心付近だけでなく、
中心から渦を巻いて外側に伸びる雲の部分で、
大雨を降らし被害をもたらす。
なので中心が遠のいても、油断はできない。
そこで「なぜ一度特別警報を解除したのか。」
という疑問が出てくる。
注意報、警報、特別警報は、
それぞれ、雨量や風速などの強さにより、
出すかどうかの基準が決まっている。
その基準も、機械的に
「○○mmの雨を観測したから警報」とするのではなく、
その基準に達する恐れがあれば出すこともある。
今回は、特別警報を継続するほどの恐れはないだろう、
と判断したことから、解除したものと思われる。
とはいえ、警報は出ていたわけで、
警戒をしなければならない状況に変わりはなかった。
しかし「特別」がとれたことで、
”ランクが下がった”と取られてしまい、
警戒感が薄らいでしまったのも事実である。
「ならば特別警報解除、ではなく、
警報発表、という形にすればよいのではないか。」
と指摘する向きもある。
実は、当初からそのような発表方法をしている。
注意報、警報、特別警報は、追加発表、解除など
何か1つでも変わった場合、
それまで出ている全ての注意報、警報、特別警報を、
”新たに発表する”という形をとっている。
例えば、大雨警報と洪水注意報が出ていて、
洪水警報の基準に達したまたはその恐れが出た場合、
洪水注意報から洪水警報切り替える、のではなく、
新たに「大雨警報と洪水警報」を発表するのである。
そして、対象地域で全ての注意報、警報、特別警報を
解除することになって、初めて「解除」となるのである。
今回の特別警報の解除も、「警報を新たに発表」
という形が取られたが、報道で、
特別警報解除、という言葉が独り歩きしてしまい、
また、再度特別警報を発表したことから、
その運用方法に課題が残ってしまった。
ここで1つの提案になるが、気象庁の発表の仕方も、
その運用方法に徹底的に従い、
「特別警報が解除された」ということは一言も言わず、
「警報を新たに出した、警戒は緩めないでほしい。」
ということを、発表文や会見で
強調するのが良いではないだろか。
マスコミから、「特別警報の解除か」と聞かれても、
意固地に「警報の発表です、警報は解除していません!!」と
特別警報の解除、とは一言も発しないのである。
もう1つの提案として、台風が近づいたら、
台風と前線を別々にするのではなく、
列島付近全体の情報として、
早期警戒情報をもっと警戒感を持たせる
形で出すことも考えられる。
台風が日本列島に近付く場合は、
往々にして、日本列島に前線が停滞していることが多い。
前線とは、南の暖かい空気と北の冷たい空気の境目である。
暖かい空気の方が軽いので冷たい空気の上に行くとき、
空気が冷えて水蒸気をふくみきれなくなって雲が発生し、
雨を降らせるのである。
台風は、まさにその暖かい空気の塊である。
しかもたっぷり水蒸気を含んでいる。
言い換えれば、だから前線が発生しやすい、とも言える。
大雨の素が前線に近づくのであるから、
中心がまだまだ南でも、列島付近の前線に
その水蒸気が供給されるので、
台風の強風圏外の本州で大雨が降ったのである。
今回は、沖縄での台風の特別警報ばかりに目が行ってしまい、
前線の存在は、正直霞んでしまった感がある。
台風進路だけでなく、前線や予想雨量分布図も重ねて発表し、
台風は、近づいているときこそ警戒が必要であることが
一般常識になるような運用や工夫が求められている。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんのお住まいの地域の状況はいかがでしたか。
【ご意見のお願い】
本ブログに関して、皆さんのご意見をお願いしています。
コメント欄に記事の内容について忌憚なくお書きください。
なおコメントの内容は、記事の内容に主題的に直接
深く触れていると判断したものについて、公開を致します。
それ以外の、例えば「遊びに来てください」的なものは、
コメント返しのしようがないので、ご高配たまわれば幸甚です。
公開の有無理由のお問い合わせも、同様と致します。