Column107.拉致事件、取り戻すことに全力を。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

きょうは、いよいよ動き出した、
北朝鮮による拉致事件を取り上げます。




これまで、拉致事件は解決済みと頑なに主張してきた北朝鮮が、
事実上その立場を撤回し、全面再調査を約束した。



今までのらりくらりと引きのばしてきたように思えたが、
批判をかわす目的で思わせぶりしてきただけで、
実のところは、頑なだったことの大転換である。



もちろん、ここで油断はできない。
政府の担当者が「これからがハードな戦い。」
と言っていることに表れている。



とはいえ、自体が動き出すことは間違いない。



何故動き出すか。
それは、ひとえに北朝鮮を取り巻く情勢である。



金正恩体制になって、義理の叔父の張成沢氏が、
権力争いで処刑されるなど(筆者は生存していると見るが)
その権力基盤は、独裁というには程遠い。



中国との関係は、表向きと違い、
日中関係よりはるかに悪いとされている。
事実今年に入って、中国からの原油供給はストップしている。



アメリカは核で絶対に譲ることはない。
韓国との関係は、李前大統領以来、複数の戦火を交えている。



北朝鮮が、日本に救いを求めるのは、
彼らにとっては自然の理なのである。



拉致事件は解決する、そのメッセージを
象徴的に表しているのは、
被害者の一人横田めぐみさん(49)の娘である、
キムウンギョンさんを、外国に出してまで、
めぐみさんの父母・横田夫妻に会わせたことである。



しかもウンギョンさんの娘、
横田夫妻にとっては、ひ孫まで会わせている。



拉致事件を解決して援助を引き出したい、
援助がなければ金正恩態勢は瓦解すると、
金正恩態勢を支える(みこしに担いでいる?)
政権幹部は分かっているからである。



しかし、出来るだけその政権幹部へのダメージは抑えたい。



ということは、ある程度返して、
日本国民を諦めさせる、という作戦に出てくるだろう。



冗談ではない。少なくとも、被害回復に譲歩はない。
それに、本来なら犯罪なのだから、
関わった人間の処罰まで求めねばなるまい。



しかし、今のところは、べき論を展開したところで、
相手は頑なになるだけである。



残念ながら、犯罪者が主導権を握っている状況、
それが現実なのだ。



であれば、まずは被害回復に全力を挙げるべきである。



ただその犯罪が、日朝改善の足かせになっており、
その足かせを作ったのは自分たち、ということも分かっている。



であれば、国家ではなく、個人の犯罪にもってけば、
今の中枢にいる幹部が罪に問われることはない、
という論理持っていくのである。



加えて、全員戻せばこれだけの援助をする、
それと今の権力中枢にいる人間は、
独裁者金正日の強権で仕方なく動いたことにして、
処罰は求めない、と明確に伝えることである。



それに、援助は代替の効かないものにする。
金銭であれば、いくらでも代替が効いてしまい、
北朝鮮に経済的な選択肢を与えてしまい、
後の交渉で相手を有利にさせてしまう。



では、代替が効かずかつ強力な援助になるのは何か。
それは、北朝鮮市民の食糧だ。



食料が行きわたれば、国民の政権への不満を抑えられる。
仮に、まず軍に行きわたったとしても、
玉突きゲームのように軍からあぶれた分が国民に行く。



全員取り戻してから、次の交渉である国交正常化交渉に行く。



その交渉になって
「処罰は求めないよ。でも法治国家なら、
 言われなくても自ら処罰するよね。
 法治国家でない野蛮な国に援助なんてできないよ。」
と圧力をかけるのだ。



ずるいと言われようが構わない。
そもそも非道をしてきたのは、相手なのだから。
(ずるいとは全く思わないが。)



それに、いきなり相手国民を拉致するのは、宣戦布告と同じである。



安倍首相は、憲法が国民の命をまもるなと言っているとは思えない、
と今週の党首討論で発言したが、ならば、
今すぐ自衛隊を北朝鮮に送るべきではないか。



筆者は、安倍首相の発言の有無にかかわらず、
拉致は宣戦布告、であれば自衛隊を送り込むべき、
自国民が危険にさらされている以上、個別自衛権の範疇である、
とかねてより主張してきた。(実現可能性は別にして。)



何故それを示唆もせず、言葉だけ集団的自衛権、
と言われても、その本気度を疑う。



もちろん、そんなことしたら中国だけでなく、
米国の反発も招くが、核保有論と同じく、
米中の反発を招いた方が、両国もビビって、
日本に協力をせざるをえなくなることは、
第一次政権時に、その核保有議論の経過で分かっているはずだ。



当時のライス国務長官に「日本はアメリカが守る」と断言させ、
胡錦涛政権があわてて日中改善に動き出し、
温家宝首相(当時)を訪日させた。



それくらい、口では過激に言った方が、
外交では得るものが大きいのである。
皮肉にも、北朝鮮がそうしてきたではないか。



とにかく、自衛隊を送りこまないのなら、
取り戻さねば強気に出られない。
今は、まずそれに全力を挙げるべきである。



取り戻しさえすれば、後はどうにでもなる。




なぜ筆者がここまで取り戻しにこだわるのか。


「え、そんなこと聞くんですか?」
これ以上横田夫妻に苦しんでほしくない、
ただその一点だけです。



人間として自然の感情ではないでしょうか。



拉致事件は、横田夫妻特有ではなく、
日本国民なら、誰でもなる可能性のあることなのですから。



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