Column102.プーチンの豹変?ウクライナ情勢。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

きょうは、クリミア編入後の、
ウクライナをめぐるロシアの動きに触れます。



ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ東部での、
独立の是非を問う住民投票について、延期を呼びかけた。



住民投票を進めているのは、いわゆる
”親ロシア”と呼ばれる人たちだ。



クリミアのように、親ロシアの動きを援助し、
自国に編入したのとは、まるで別の対応だ。



以前本欄で、ロシアも欧米も混乱は避けたいのが本音、
ということを指摘したが、ロシアとしては、
それを表面に出さざるを得なくなったと思われる。



ではなぜ、クリミアでは強硬突破したのか?



ウクライナは、歴史上、ポーランドや
オーストリア=ハンガリーなど
様々な国家に支配された来た、
言い方を変えれば、奪い奪われた地だ。



旧ソ連の時代になり、ロシアとウクライナは、
その構成国であった。



国際的には、「ソ連」が1つの主権国家であり、
ロシアとウクライナは、いわゆる身内であった。



そのソ連時代、クリミア半島はロシアに属していた。
それを、ソ連政府はウクライナに移管したのである。



ちょっと適当ではないかもしれないが、2005年に、
長野県に属していた山口村が、岐阜県中津川市と合併し、
県境が変わったことと、境目の変更、
という点では似ているかもしれない。



山口村は、もともと市外局番が岐阜県のものであるなど、
生活圏は、中津川市と実質的に一体だった。



しかしそれが崩壊し、ロシアとウクライナは、
それぞれ主権国家と認められた。



ロシアとしては、他のウクライナの地域とは違い、
もともとロシア、という意識が強かった。



ソ連崩壊後も、クリミアにあったソ連の基地は、
ロシアが受け継いだ。
それにご案内の通り、ロシア系住民が多い。



だからこそプーチン大統領としては、
クリミアの親ロシア派が蜂起した時点で、
クリミア編入以外の選択肢は、最早なかったのである。



もし、親ロシア派の蜂起がなければ、
欧米の経済制裁というリスクを冒してまで、
クリミア編入は画策しなかったであろう。



しかし、ウクライナ南部・東部の独立の動きに対しては、
かつてロシアだったクリミアとは全く経緯が違う。
これ以上の経済制裁のリスクを受け入れるまでの価値はない。



とはいえ、親ロシア派の反感を買ってまで、
独立投票を認めない、ということまでは言えない。



欧米の経済制裁はあまり効果がない、と言われているが、
プーチン側近の個人を狙ったものに対しては効果が出ており、
それも影響して、延期要請の発言になったのであろう。



だが独立投票は予定通り実施する、としている。
ロシア国内の支持も独立派に向けられている。



これまでロシアの切り札だった天然ガスも、
アメリカのシェールガス革命でその効果は薄れた。



アメリカが、本気でヨーロッパ、特にドイツに、
安価で提供することを始めたら、
ロシアは途端に外貨獲得の手段を失ってしまう。



中国に協力を求めたくも、中国の軍事的増強は
ロシアの望まぬところであるし、中国自身、
国内の少数民族の独立への波及を警戒し、
ウクライナ情勢には客観視を決め込んでいる。



となると、最大の見込客である日本に、
さらなる売込をかけることになるが、
北方領土の全面返還に繋がってしまい、
こちらもうかつなことはできない。



今回のウクライナ情勢は、ウクライナが親欧米路線を
取ろうとするたびに圧力をかけ続け、
北部西部を中心とする親欧米派住民の反感を買い、
東部南部を中心とする親ロシア住民との対立を、
結果的に激化させてしまったことに原因がある。



プーチン大統領はどこまでコントロールできるか。
一層の強権を発動せねばならないジレンマに陥っている。




皆さんは、今のウクライナ情勢をどうとらえていますか?
今週もお読みいただき、ありがとうございました。



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