Column103.集団的自衛権、産経は無関心?朝日は賛成? | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

きょうは、先日安倍首相が見直しを明言した、
集団的自衛権を巡る、主要五紙の報道に触れます。



安倍首相が集団的自衛権の憲法解釈を
見直すことに触れた記者会見の翌日の16日、
新聞各紙朝刊は、そろって一面トップで報道した。



それぞれの見出しは、以下のとおりである。



読売「集団的自衛権 限定容認へ協議」
朝日「集団的自衛権行使へ転換」
毎日「集団的自衛権 容認を指示」
産経「首相 行使容認へ強い決意」
日経「首相「憲法解釈の変更検討」」



これらを見比べただけでも少しずつ表現に違いがあり、
100%客観報道の難しさを改めて感じる。



一方で「なら結局は何なの?」という事実は、安倍首相が、
「これまで”保持しているが使用を憲法上禁じられてる”
 集団的自衛権に対する憲法解釈を、見直すことを始める。」
ということである。



つまり、始まりはこれから、ということである。



そのことをどう伝えるか、各紙従来の主義主張を踏まえ、
非常に苦心して見出しを作った跡がうかがえる。
かろうじて自紙のカラーを出せた、と感じる。



なので、一面について特に驚くことはない。
社説についても、従来通りの主張だ。



もしかしたら、これをお読みの方の中にも、
「どうして、それぞれの新聞は、
 書く人が違っても、同じ主張になるのだろう。」
と感じている方もいらっしゃるかもしれない。



まさに核心を突いた疑問と言える。
それには明確な理由がある。



それぞれの新聞は、
「自紙の読者ならこういう見方をするだろう。」
という姿勢で、記事を書いているからだ。



筆者は、先に出した五紙のうち、
一社の記者の取材を受けたことがある。
その時、



筆者「昨日の記事は、過激でしたね~(笑)。」
記者「ええ、ウチはいつも”これくらい書いちゃえ~”
   という雰囲気ですから(笑)。」



と、過激であることを認めただけでなく、
あえてそうしている、という返答だった。
本音通りなら、過激とは感じないだろう。



ここから、自分の姿勢ではなく、
購読者の受け取り方を忖度していることが窺える。



購読者は、いわば顧客。
いくら客観姿勢が求められる新聞でも、
購読者に取ってもらわなければ、経営は成り立たない。



なので、誰が書いても、同じ視点からの内容になる。



「そうは言っても、主義主張に合わない社には
 入らないんじゃないの。」
これも至極当然のように思える疑問だ。



しかし、新聞社も会社である。基本的に新卒を採用する。
20歳過ぎたばかりの若者が、確固たる主義主張をもつには、
まだまだ経験が不足している。



日本共産党に批判的な姿勢を取る読売新聞社の渡邉恒雄会長も、
東大在学時は、その党員だった。本人もテレビで明言している。



記者志望の学生は、まず「新聞記者になりたい。」と思う。
記者になれればどこだって良いのだ。
というより、なれなければ意味がない。



渡邉氏も、後の雑誌のインタビューで、
より志望度の高かった朝日新聞には落とされたとのこと。
主義主張の合った社に落とされ、合わなかった社に入社した。



もちろんそのような学生ばかりとは言わないが、
殆どがそうであろう。



だからこそ、自分の本音とは違う姿勢で記事を書けるのだ。
(客観視点からは、一面では必要であり、反面弊害と感じる。)



では、記者たちの本音が出るのは一体どこか。
筆者は、今回社会面に注目してみた。



社会面は、通常、世間一般で起きている事件事故を取り上げる。
一面に関連する記事を載せるなら、世間の反応を載せる。



朝日は見出しこそ、一面を超える表現で、
「近づく 戦争出来る国」と取り上げ、
購読者層を意識した作りになっている。



しかし、本文を良く見ると、複数の自衛隊員の反応として、
「集団的自衛権は必要だから賛成だが、
 しかし、決め方が軽すぎる。現場のことを考えていない。」
という声を載せている。



本当に、集団的自衛権に真っ向から反対なら、
こんな声は載せないはずだ。



一方毎日は、もっと反対のスタンスを明確にしている。
同じく、自衛隊員の声ではあるが、
「止むをえないとはいえ、自衛隊が標的になるという、
 実際に戦闘が起きた時の全く議論がされていない。」
という声を紹介している。



日経は、若者の「無関心ではいられないが、現実味もない。」
という声を紹介している。



以上三紙は、国会周辺での反対デモも取り上げている。



読売は、逆に自衛隊の最前線の歓迎の声を取り上げている。
ただし戦闘ではなく、邦人救出や商船警護ができる、
という意味で取り上げている。戦闘には触れていない。



最後にさらっと、「国民は、政府の判断の注視が必要。」
と、政府をけん制する識者の声を出している。



読売を含めた以上四紙は、
日本ペンクラブの反対声明も報道している。



驚いたのは産経だ。全く載せてないのである。
産経なら、全面賛成の国民の声を載せると思いきや、である。



これをどのように捉えるか。



賛成の国民の声を拾えなかったか、
それとも一面での姿勢とは、本音では反対なのか、
こればかりは、記者や編集委員に聞いてみないと分からない。



しかし、少なくとも無関心ではないことは確かで、
それを踏まえれば、本音がどこにあるか、推察できよう。




本日は、いつもより長い文章を最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

皆さんは、如何お感じでしょうか。
1つの新聞だけでなく、見比べてみると非常に興味深いです。



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