Column97.改憲派の「解釈変更反対」の疑問。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

きょうは、このところ限定要因論が取りざたされている、
「集団的自衛権」の行使に対する憲法解釈を取り上げます。



国連憲章で加盟国に認められている、
「集団的自衛権=同盟国が攻撃されたら
 時刻が攻撃されていなくても、相手に反撃できる権利」について、
我が国では、憲法第9条第2項後半部分の
「国の交戦権は、これを認めない。」によって
”権利は有しているが憲法上禁止している”というのが、
現在の政府(内閣)の解釈である。



この解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認めよう、
という動きが、ここにきてにわかに活発になってきた。



しかし、憲法9条の改正に前向きな、いわゆる改憲派の人たちから、
”解釈変更などもってのほか”とする声が、
護憲派の人たち以上に大きい。



一体どういうことなのか、疑問を持つ方も多いだろう。



そもそも憲法とは、国家形成において、
全国民が統治にかかわることが事実上不可能であることから、
代表者を選んで統治をさせる際、権利乱用を防ぐため、
その統治者に認めるべき権限、禁止される事項を
列記するという一面がある。



その代表者は、我が国では国会議員である。
その合議体が国会である。



その国会が統治のルールともいえる法律を定め、
法律に従って統治を行う政府のトップである、
内閣総理大臣を選出する。



政府は、国会の決めた法律の範囲外のことはできない。



その政府の憲法解釈を変えよう、ということは、
主権者たる国民が代表者に課したルールである憲法を軽んじる、
すなわち、民主主義の否定、ともとれることから、
改憲派の反対の論拠となっている。



安倍首相は「解釈変更には最高責任者の私が負う」と発言したが、
それに対して、野党ではなく自民党内から猛反発が出たのは当然だ。



なぜなら、自民党が多数を占める国会から指名されたのに、
その国会を軽視したともとられなかねないからだ。



内閣は”国会”に責任を負うのであって、
国民には、”国会”が責任を負う。
それをすっ飛ばすとは何事か、ということなのである。



憲法に関することなのだから、
本来なら全国民的議論が、まずあってしかるべきだ。



しかし、憲法の変更には相当のハードルが控えている。



とはいえ、日本列島を取り巻く環境は、
もはや日本一国だけでは対応できず、
集団的自衛権を行使できるようにしておかなければ、
備えは心もとなく、一刻も早い行使可能な環境を
整備しなければならないのも事実だ。



であれば、その国民の代表者の集まりである国会が、
内閣に先んじてその是非を議論するのが筋なのである。



ここにきて、自民党の高村副総裁が取りまとめに動き、
ようやく政府から自民党に主導権が移るようになってきた。



これを機に、国会で集団的自衛権をどうするかどうかを議論し、
その結論を持って政府が施策を行う、という、
本来の形に戻してほしいと感じている。




皆さんは、この問題について、いかがお考えでしょうか。
きょうもお読みいただき、ありがとうございました。