きょうは、いまなお予断を許さない、
ウクライナを取り巻く情勢に触れます。
ソチ五輪が閉幕する前後に、そのすぐ近くのウクライナで、
ヤヌコビッチ大統領が野党勢力に押されロシアへ脱出し、
野党勢力が暫定政権を発足させた。
もともと、ウクライナは欧米よりの野党、
ロシア寄りの与党が対立を続けてきた。
住民も、南東部がロシア、北西部が欧州寄り、
という感情を持っている。
ヤヌコビッチ氏がロシアに保護され、
ウクライナ南部クリミア半島でに展開するロシア軍が、
空港などの拠点を押さえるという行動に出る一方、
欧米が支持する暫定政権に対しては、
真っ向から対立するような行動には出ていない。
欧米側も、暫定政権への支持を明確にする一方、
ロシアには軍の自制を求めるのみで、
撤退要求やヤヌコビッチ氏への非難は聞かれない。
この中途半端な動きで、ウクライナ国内は、
一層混迷を深めており、内戦の恐れすら出ている。
なぜ、中途半端なのか。
1つは、ロシアにとってウクライナは、
同じ旧ソ連の構成国で、
欧米・NATOに対する橋頭堡であると同時に、
欧州への石油パイプラインの通り道、という、
経済的な結びつきのためには重要な地である。
欧米にとってもそれは同じである。
だからこそ、欧米・ロシアとも、
ウクライナの政権を自分寄りにしたいと思いつつ、
混乱は避けたいので、お互いに強いことが言えないのである。
しかも、ウクライナは、円換算で3兆円という巨額の債務がある。
ロシアにとっても、有力な貿易相手国だ。
経済的な混乱は、計り知れない恐れがある。
安全保障理事会が開かれ、今後の対応が協議されているが、
欧米・ロシアがこれ以上手を出せない以上、
ウクライナ国民自身で収束をさせることを期待せざるを得ないが、
先述の国内を二分する対立で、そう容易ではない。
対立解消には、暫定政権とヤヌコビッチ氏側が、
歩み寄る必要があるが、その気配は見られない。
暫定政権も、与野党連立とはならず、
ヤヌコビッチ氏側の政党は参加しなかった。
そして、ヤヌコビッチ大統領解任の国会決議も、
定められた手続き反しており、無効、との見方もある。
ロシアは、ヤヌコビッチ氏を保護している以上、
欧米は、暫定政権を支持する以上、
それらの国々が国が構成メンバーとなっている安全保障理事会には、
その歩み寄りを促すことが求められている。
ウクライナ、あまりなじみはないかもしれませんが、
チェルノブイリ原発のある国で、福島原発を抱える我が国の、
未来の姿を見ることができる国です。