きょうは、今も続いている、
首都圏の大雪被害について取り上げます。
先週、今週と、首都圏に”季節外れ”の大雪が直撃した。
”季節外れ”と書いたのは、通常、真冬の時期は、
”西高東低の気圧配置”となり、
シベリア大陸の高気圧から、寒気が日本列島に吹き込み、
日本海で水を吸って雲を作り、列島の山脈にぶつかり、
日本海側の地方で雪を降らせ、水分を失った空気が山を越えて、
雲のない状態で太平洋側に乾いた晴れの転機をもたらすからだ。
真冬がピークを過ぎ、春が近づいてくるこれからの時期は、
シベリアの冬の空気が勢力を誇っていた所に、
南の夏の空気が押しあがろうとする時期である。
低気圧や前線は、ごくごく簡単に言えば、
季節の境目と考えて差し支えない。
真冬を通り過ぎると、夏の空気が北上し西高東低が崩れ、
冬の空気と夏の空気がぶつかりあったその境目に、
低気圧が発生し、雨雪を降らせる。
今回、雪を降らせているのは、日本列島の南側を通過する、
その際回目で発生する”南岸低気圧”である。
なので、通常なら、首都圏に雪を降らせるのは、
真冬を過ぎた2月末から3月末であることが多い。
しかし、この時期に南岸低気圧が2週続けて雪を降らせるのは、
南の夏の空気が例年より大きな影響を与えていることになる。
日本列島の場合、南は海なので大量の水蒸気を吸いこむことができる。
低気圧は、地表では空気が中心に向かって吹きこむところだ。
なので、その水蒸気を中心に向かって送りこむ。
そして先に話した通り、冬と夏の空気のぶつかり合いなので、
冷たい空気は下に、暖かい空気は上に行く。
南からの水蒸気を吸いこんだ暖かい空気が上昇すると、
冷えた空気が水蒸気を抱えきれなくなり雲が発生し雪ができる。
そして下にはもともと冷たい空気があることから、
融けずに雪となり積もる、ということになる。
ただし、南の夏の空気が例年より強いことは、
実は温暖化の原因とは、関連は薄い。
真冬南岸低気圧の雪は、過去にいくらでも例があるからだ。
では何が原因とみられているのか。
空気は、ここまで読まれてお気づきの方も多いと思うが、
温度が高くなるほど、水蒸気を多く抱えることができる。
台風が、あれだけ凄まじい雨を降らせるのは、
赤道より少し北の熱い空気が海の水蒸気を大量に吸いこむからである。
今回の南岸低気圧にも、温まった空気が水蒸気を多く供給し、
太平洋側を中心に、大量の雪を降らせた。
昨年の夏から秋にかけて、いわゆるゲリラ豪雨が頻発し、
規模がとてつもなく大きくなり、ゲリラどころではなくなった、
ということがあったことを、覚えている方も多いと思う。
これも、空気の温度が高くなり水蒸気を大量に抱えられることが、
雨の量を多くした原因である。
~空気の温度が高くなり雨雪の量が増える~
温暖化の是非はともかく、
降水(雪)量が多くなっていることは紛れもない事実なので、
防災を考える上では、その視点が、今後求められていくことになる、
今週もお読みいただき、ありがとうございました。
明日朝は、大量の雨が雪をとかして夜冷えて、
路面が凍結する恐れがあります。
引き続き、注意が必要です。