Column87.都民にそっぽ向く?向かれる?”都知事選” | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

きょうは、一昨日告示された、都知事選の話題です。



正式に選挙戦がスタートしたにもかかわらず、
連日、新聞やテレビで報道されているにもかかわらず、
現職が立候補しない都知事選で、これほどまでに、
盛り上がらない都知事選は、過去にあっただろうか。



猪瀬氏が辞任してから、誰が立候補するかという話題が出て、
出そろったら、もうそれでおしまい、という感じがしてならない。



ここまで関心がもたれない理由は、何といっても、
政党や候補者が「本当に都民の方を向いているかどうか」
まるで疑わしいからだ。



自分を除名した党の応援を受ける受けないの是非、
原発が争点になるかならないかの是非、
エネルギー問題が自治体の政策の問題かどうかの是非、
総理現職時とは直接関係ない10年前の献金で辞任したことを、
それからさらに20年後に改めて問うということの是非、
はっきり言ってしまえば、都民生活の向上に、
直接関係あるかどうか疑わしいことが、争点になってしまっている。



除名した党の応援を受けるかどうかは、
政策の一致があるかどうかの方が、
よほど大きな問題ないのではないか。



原発も、その是非ではなく、世界有数都市の
エネルギーを、どうやって確保するか、問題ではないか。



そのエネルギーの確保も、大都市なら、
自分たちにも責任があり、自ら考えるべき
問題であることは、明白ではないか。



献金も、20年前に決着している話を蒸し返すのは、
単なる時間の浪費ではないか。



御互いの批判合戦で、都民に対して訴えているのか。
正直、候補者の声が、聞こえづらい。



近年の都知事選挙で、都民が一貫して
最重要視している課題は、何といっても福祉だ。



意外に思われるかもしれないが、福祉関連の諸表を見ると、
他の道府県に比べ、東京都の福祉政策は、
遅れていると言わざるを得ない。



特に、待機児童の問題は深刻だ。
女性が労働市場に出られず、経済発展の阻害要因になっている。



アベノミクスで景気が回復していると言われているが、
安倍首相を支持する経済学者からでさえも、
「いまの消費増は、株価が高くなって恩恵を受けた人たち限定。」
という実態が指摘されるほど、徐々に明らかになりつつある。
(だから、安倍首相は、賃金上昇を唱えているのだが。)



全国でも平均所得が47都道府県で一番高い、というのも、
都心に集まる一部の富裕層が平均を押し上げているに過ぎず、
中央値は、平均値よりずっと低い。



むしろ物価が高い分、同じ所得でも、
生活水準は低いと言わざるを得ない。



ありていに言えば、貧富の格差が激しい。
もっといえば、格差が主問題ではなく、
その広がる過程が大きな問題なのだ。
(その詳細は論点がずれるので、日を改めたいと思います。)



だから雇用政策にも、都民の関心は高い。



エネルギー政策も、よその土地に原発を押し付けて、
自前で何とかならなかったのか、という反省も、
都民の中には、少なからずある。



被災地の瓦礫を受け入れるときに、
他県と違って反対運動が起きなかったことが、
大きな証左だ。



マスコミも、売上・視聴率増に直結する
候補者のパフォーマンスばかりを取り上げるのではなく、
候補者が、本当に何を訴えたいのかを伝える責任を果たしてほしい。



となれば、当然受け手の方も、
表面的なものばかりに注目するのではなく、
候補者の本音に着目しなければならない。



しかし今のままだと、
 受け手が関心を持たない
⇒マスコミは関心を持つ表面的なものしか伝えない
⇒受け手の本当に知りたいことが伝わらず、
 ますます関心がもたれない
という負の連鎖に陥りかねない。



都民が選挙にそっぽ向いてしまったら、
候補者は、投票する一部の有権者の方しか向かない。
そのような候補者が当選して政策を遂行したら、
損するのは結局都民だ。



候補者にそっぽ向かれないようにするには、
自身の判断で、候補者を冷静に見極め、
ムードに流されないよう、投票する候補を決めることだ、
と筆者は強く感じる。




いかがでしたでしょうか。世論調査も出ていますが、
その結果にも惑わされないようにしたいものです。