Column82.「後だしジャンケンが有利」の幻想、都知事選。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

きょうは、年明けにも実施される東京都知事選挙について書きます。




東京都の猪瀬直樹知事が、徳州会からの”借金”をめぐり、
辞任に追い込まれた。



今月に入り辞任はすでに既定路線で、
後継がだれかということが水面下でささやかれていた。



辞任を契機に、何人もの名前が出ては消えまたは残り、

残った名前は次の日は取りざたされずと、
目まぐるしい動きが、なぜか国政の中心地”永田町”だけで動いてる。



候補の選定は、引き続き水面下で動くと予想されているが、
”とにかく勝てる候補”を担ぎ出そうとしている。
自党の政策や主義主張など後回しだ。



95年の青島幸男氏、99年の石原慎太郎氏、そして昨年の猪瀬氏と、
現職が立候補しない都知事選において、いずれも、
最後に立候補を表明した候補が当選している。



これをもって、マスコミも、政党も、
「後だしジャンケンが有利。」と分析しているが
はっきり言って、あまりに浅はかな見方だと言わざるを得ない。



95年の青島氏は、官僚のトップである内閣官房副長官(政務)を、
長らく務めていた石原信雄氏を、共産党を除くオール与党の形で担ぎ出し、
それに怒りを見せ、さらさら当選する気のなかった青島氏が、
”一矢報いてやれ”と俄かに、結果的に一番最後に立候補したところ、
その怒りを、思いのほか多くの都民が持っており、”誤算当選”してしまった。



東京だって一地方だ、中央からの落下傘はいらない、
という、都民の”ローカル意識”を目覚めさせて、
本人が望んていなかった当選となってしまったのである。



その証拠に、青島氏は、99年の二期目は立候補しなかった。
他の誰が出ても当選確実だと言われいたにも関わらずである。



一矢報いたいということで、
”たまたま最後”の立候補表明だったにすぎない。



その青島氏の立候補見送りを受けて”ならば自分が”
と立ったのが、石原慎太郎氏である。



この時も、後だしジャンケンで勝った形にはなっているが、
石原氏には、くすぶっていた都知事選への思いがあり、
逡巡した揚句の立候補で、やはり”たまたま最後”だった。



そのくすぶっていた想いとは何か。



石原氏は、99年から遡ること24年前、
1975年の都知事選挙に立候補して、
現職の美濃部亮吉に敗れている。



当時、現職の美濃部氏は、支持基盤だった社会党と共産党の対立に
ほとほと嫌気がさし、二期を務めた段階で引退を決めていた。
当時都政野党の自民党でさえ、美濃部氏が出れば、
支持することが一部でささやかれていたにも関わらずである。
(自民党と共産党と相乗りになること言うことでもあった。)



現職が立候補しない、ということで、
当時、自民党の参議院議員の石原氏が、立候補を決めた。



ところが、敵の自民の支持をも得られたかも知れなかったにもかかわらず、
引退を決めていた美濃部氏が、「ファシストに都政は渡せない」として、
一転して出馬を決めて、社会党共産党の仲立ちだけでなく、
公明党の支持をも得て、石原氏を破った。



石原氏には、この時の苦い経験があったのであろう、
青島氏がいつ一転翻意するかもしれない、と思い、
なかなか出馬に踏み切れず、青島氏が絶対出ないと分かった、
告示直前の段階まで遅れて、”たまたま最後”になっただけの話である。



24年来の、都政への思いが、都民に通じ、当選した。
最後だから当選した、というわけではない。



そして昨年の猪瀬氏は、石原氏辞任の時に後継指名されたが、
すぐに”出ます”と言ったのでは、あまりに露骨と言われかねない、と、
出馬表明のタイミングを探っていたら、やはり”たまたま最後”に
なったにすぎない、というのが、本当のところである。



猪瀬氏の当選は、同時に実施された衆院選で
支持している自民党への追い風と、
強固な組織票が積み上げられという話であり、
最後の表明でなかったとしても、当選は確実であった。



しかしこの、”たまたま最後”ということを”当選ジンクス”と捉えて、
各党とも、意中の候補者を表に出さずにいる。



ジンクス、というのは、自ら作り出せないからジンクスなのであり、
”たまたま最後”だったからこそ、ジンクスになっただけである。
それを意図的に狙うのであれば、ジンクスでなくなる。



もっといえば、ジンクス云々で語ること自体、
政策や主義主張をないがしろにした、
あまりに都民をバカにした話なのである。



これ以上、都民がばかにされないために、
東京都民は、どのような投票行動に出るべきか。



答えは至ってシンプルである。
「情勢に関係なく、純粋に自分が当選しほしい候補に入れる」ことである。



???と思われ方に、言い方を変えて申し上げたい。



「自分の票が死に票になることを恐れないで投票する」ことである。



”本当はこの人に入れたいけど、だめそうだから当選しそうなあの人に”
ということをしない、ということである。
政党は、そこを突いてくるのである。



自分の票が活かされない事に、抵抗を覚える心情は理解できる。
しかし、意中ではない候補に入れることは、
民意の反映にはならないことになってしまわないだろうか。



それに、落選候補の票数も、一定の成果であることは、
その後の都政への影響を見ればわかる。



95年の青島氏は、過半数に程遠かった。
なので政権基盤は弱かった。



一方99年の石原氏も過半数には程遠かったとはいえ、
2位以下の候補を大きく引き離し、4期当選までに至った。



都民がこれ以上ないがしろにされないためにも、
誰が一番良いのかを見極め、当選可能性に関係なく、
自身の意中の候補に一票を投じることだと、筆者は強く感じる。




今週もお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんは、どう思われますか