Column81.張成沢氏の処刑は”演出”か?! | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

きょうは、一見滑稽ともとれる説を展開します。



北朝鮮の金正恩第一書記の義理の叔父で、
事実上の政権ナンバー2とされた張成沢氏が、
国家反逆の罪により、処刑された。



側近も公開処刑されたり中国に亡命した。



かねてより北朝鮮では、張氏を筆頭とする改革開放派と、
軍部を中心とする態勢維持派が対立をしていると伝えられている。



張氏の主導もあり、北朝鮮は、以前ほどの深刻な経済危機を脱し、
一部では富裕層も出現しているという。
外国からの情報も入りやすくなった。



今回の一連の粛清劇は、態勢維持派が、
改革開放によって自分たちの影響力低下を恐れて
起こしたと伝えられている。



これが事実だとしたら、金第一書記は、
ただのお飾りにすぎない、ということが、
浮き彫りになってくる。



北朝鮮では、家族の繋がりは大変強く、
ある一人が何かを起こせば、その累は、親族にも及ぶ。



一方で、金第一書記の父、金正日総書記は、
権力基盤を固めるため、叔父を始め、
親族を権力の座から追い落とした。
(ただし、処刑などの罪には問わなかった。)



その中で、張氏は、金総書記の父、金日成国家主席からも、
幾度となく失脚させられたにもかかわらず、
そのたびに復活し、自身の権力基盤を築き上げた。

一説には、張氏は学生時代、かなりのプレイボーイで、
後の妻で金総書記の同母妹である金敬姫氏と付き合っていたときに、
敬姫氏を困らせたことも、金主席の怒りを買い、

失脚のうちの1回に入っている、とまで言われている。



しかしその後に結婚している。絶対的権力者の金主席が認めたことになる。
そして、義兄である金総書記の側近であり続けた。



ここ半年、張氏は妻で金総書記の同母妹である金敬姫氏と、
不仲であると報じられていた。それと時期を合わせるかのごとく、
敬姫氏はに体調不良で入院しているとも伝えられている。



さて張氏は、先月、日本維新の会のアントニオ猪木参議院議員と会っている。
その様子は、北朝鮮のメディアでも伝えられている。



伝え方から、北朝鮮が、日本に対して、
如何にこの会談を重要なのかというメッセージを
送っていることを読み取れる。



つまり、この段階では、張氏は権力の中枢にいたことになる。
それから1カ月もたたないうちの粛清には、正直筆者は疑問を持ってしまう。



ここからが、冒頭に掲げた「一見滑稽」とも取れる説である。



幾度となく失脚・粛清の網をかいくぐり、そのたびに復活を遂げ、
一説では、統治機構に2万人ともいわれる自分の一派を築いた張氏が、
自分に対する粛清の動きを気付かないことなどあり得るだろうか。



かねてから軍部と対立してきた張氏である。
その動きを警戒しないわけがない。



中国とも良好な関係を築いている張氏に、
金第一書記でさえ、そう簡単に手を出せるわけがない。



金第一書記の叔母にあたる張氏の妻、金敬姫氏も、
半年前から表に出てきていない。



また、北朝鮮では、粛清するときはできるだけ隠すのが通例である。
しかし今回は大々的に報道している。
その一方で張氏が連行される写真はあるが、動画は一切出てこない。



軍部と対立しているとはいえ、経済・外交で、
見事に金第一書記を支えてきた張氏を切り捨てるだけでなく、
義理の叔父を、ここまで貶めるだろうか。



以上の点から、本当に粛清されたのか疑問が残る。



ではなぜこのような発表をしたのか。



やはり、軍部との対立が抜き差しならない状況にまで発展し、
実際に、張氏周辺にも不穏が動きが起きていたのであろう。



もちろん、それをつぶす策にも出られたであろうが、
甥の金第一書記の権力基盤を揺るがすことになりかねない。



逆に、その基盤を固めるためには、
「金第一書記が徹底して張氏をたたきつぶした」事にすれば、
対立は解消し、軍部も金第一書記を恐れ、表面上の結束は保てるだろう。



敬姫氏との不仲・入院説も、時間をかけて、
張氏を「追放しやすく」するための策ではないか。



張氏がいれば、経済・外交面の改革は継続できる。
北京に張氏の側近が亡命したのも、その連絡窓口ではないか。



事を極秘にするため、軍部に対してはもちろん、
張氏一派に対しても事実は知らされず、
本当にごく一部の、もしかしたら、金第一書記と
張氏夫婦しか、本当のところは知らないのではないか。



滑稽かと思われるが、実のところ、1994年に、
米朝の関係が著しく悪化しピークに達しようとしたときに、
金日成国家主席が死去した、となっている。


実際は、死去したことにして、中国への移住し、
息子の金正日総書記の権力基盤を固め、
アメリカとの関係悪化もうやむやにした、との説がある。



本当に張氏が処刑されたのか、それを判断するには、
今後北朝鮮が強硬一辺倒か硬軟使い分けられているかにかかっている。




今週もお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんは、どのように感じましたか?