Column69.禁断のリンゴか特効薬か?ドコモのiPhone。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

今回は、きのう発売されたiPhone5S、5Cについて取り上げます。



NTTドコモが、ついにiPhoneの販売に踏み切った。
従来から販売している、ソフトバンク、auに続き、
主要大手3キャリアが、そろったことになる。



これまで、ドコモは、iPhoneの販売をアップル社に働きかけていたが、
アップル側から提示された条件が、到底受け入れられるものではなく、
何度となく話が流れていた。



その条件は、
・ドコモのもつ技術を全面提供すること
・販売台数の一定割合を、iPhoneにすること
と伝えられていた。



しかし、5年前に、ソフトバンクがiPhoneを出して以来、
毎年1%以上のペースでシェアを下げていて、
これ以上のシェア低下は見過ごせない状況になった。



一方のアップル社も、日本でこそ、販売機種の一番人気を誇っているが、
世界シェアで見れば、サムスンに大きく水をあけられている。



そういった事情から、双方歩み寄りをして、
ドコモにとっての悲願となる、iPhone販売となった。



ドコモとしては、他社に流れたユーザーが、
戻ってくる際の優遇措置を打ち出すなど、数々の割引制度を整えている。
No.1のプライドをかなぐり捨てて、起死回生を図ろうとしている。



NTTグループという優位性も過去のものとなり、
電波状況も、3社ほとんど変わらなくなってきている。
あとは、各種の割引制度をどこまで充実させるかの消耗戦になる、
という指摘がある。



とりあえずは、ドコモとしては、これ以上の顧客流出を
防げることにはなっただろう。
しかし、流れ出た顧客が戻ってくるか、と言ったら、
2年縛りの面から、劇的な効果は、少なくとも見込めない。



また、ドコモがこれまで築いてきた独自のアプリサービスは、
iPhoneでは使えない。それを愛用してきたドコモユーザーが、
iPhoneに乗り換えるとは、考えにくいのが自然だろう。



その独自サービスで、収益を支えてきた面もある。



となると、ドコモがアップル社から課された販売台数割合が、
どのくらいなのかがカギとなってくる。



割合が大きければ、機種変更でiPhoneをその分強く勧めなければならない。
それはおのずと独自サービスの収益低下につながる。



割合が小さければ、iPhoneに血眼になる必要はなく、
独自サービスの収益は、さほど既存せずに済むが、
国内のシェア回復にはつながりにくい。



また、既存のユーザーがどのくらいiPhoneへの乗り換えを希望しているか、
既にほとんどが他社に流れていった、と考える向きもある。



どちらにしても、少なくとも、ドコモにとってiPhone販売は、
特効薬にはなりえないことになる。



それどころか、iPhone販売に踏み切ったことで、
サムスン初めこれまでドコモに端末を供給してきた従来のメーカーが、
その分ワリを食うことになり、独自サービスにも影を落としかねない。



販売台数割合がどのくらいかが分からないとはいえ、
販売することに変わりないことから、従来のメーカーには、
多少はあるにせよ、台数が減ることは確実であり、
独自サービスの収益も減ることになる。



ただ、先にも話した通り、iPhoneを欲しがる層は、
一定数は流出したことから、大打撃にはならないだろう。
その意味で、禁断のリンゴに手を出した、
というほどの負のインパクトにはならないものと思われる。



となると、後は、3社の体力勝負となってくるが、
早くも、似通った料金体系で落ち着きつつある。



であれば、無理してキャリアを乗り変える動きは少なく、
騒がれているほどの大きな動きにはならないだろう。



買い替えを考えているユーザーは、今は静観するのが一番だと思われる。



1つはっきり言えることは、どのキャリアでも同じ端末が変えるのであれば、
メーカーがどれだけ魅力ある端末を作れるかが今後のカギとなることから、
キャリア主導だった業界の動きが、メーカー主導に変わることだけは、
間違いないだろう。




いかがでしたでしょうか。

今回は、初めて特定業種の話題を取り上げてみました。
皆さんのご感想を、お待ちしています。