今回は、東京に決まった2020年五輪について書きます。
国際オリンピック委員会(IOC)は、
2020年の夏季五輪開催地に、東京を選んだ。
決め手は、卓越した開催能力、安定した財政、
そして、原発汚染水に対し、安倍首相が、
「完全にコントロールされている。」と断言したことだ。
本当に大丈夫なのかどうか、
その他に上げる課題も含めて触れていきたい。
【開催能力】
これについては、過去の実績から、
誰もが疑問の余地を挟むことはないだろう。
前回の東京、札幌、長野、2002サッカーW杯、
その他の協議の五輪予選など多くの国際大会が、
日本国内で開催されており、申し分のない実績だ。
ただ、新しい競技場がきちっと作れるかが前提だが、
それも、プレ大会開催に間に合うよう、
実質5年も時間があることから、心配は無用だろう。
【安定した財政】
東京都は、既に4000億円余りの基金を積み立てている。
1兆を超えると見込まれる開催費用は、できるだけ、
放映権料、入場料などの収入で賄う、というが、
これだけの余分があれば、赤字補てんは問題ないだろう。
【原発の問題】
安倍首相の「コントロールされている。」という発言は、
”決意”と受け取るべきであろう。
何を以てしてコントロールされていると言えるのかにもよるが、
開催決定直後にもかかわらず、東京電力の幹部社員から、
「コントロールできているとは言い難い。」という発言が出ている。
しかし安倍首相は、明瞭な言葉で「未来も問題ない」言いきった。
これは、事実上の国際公約である。
これから7年、否応なしに、国際社会から注目される。
この問題の解決は、すべからく、原発周辺自治体の
立ち入り規制区域の解除につながることから、
それを国際公約としたことに、安倍首相の並々ならぬ決意が見て取れる。
2007年の新潟県中越沖地震で、
東京電力柏崎刈羽原発で火災が発生した際、
放射能漏れはなかったにもかかわらず、
日本代表との対戦を予定していたサッカーイタリア代表は、
来日をキャンセルした。
安倍首相が、それを知らないわけがなかろう。
諸外国が、自国の選手を危険なところにさらすわけにはいかない。
”決意”を表明した以上、必ず解決させねばならなくなった。
根本解決は、原子炉内の燃料棒の取り出し・封じ込めである。
取り出しは、10年単位の作業であることから、現在、
建屋にカバーをかける封じ込め作業を進めている。
汚染水問題と同時に、早くこちらも進めてほしい。
【テロの問題】
オリンピックは、テロリストにとって、格好のアピール場となる。
絶対に阻止しなければならない。
となると、当然に、警備は厳重なものになる。
島国だから、入ってくるのは容易ではない、と安心はできない。
なぜなら、今年のボストンマラソンのテロのように、
犯人が米国内在住で、ずっと準備をしていたからだ。
長野五輪時長野市在住だった筆者は、
五輪期間中の物々しい警備を良く覚えている。
車一台がやっと通れるような裏道でさえも、
ずっとパトカーが行き来していた。
五輪開催地ではなかった上田市の新幹線上田駅にも、
警察官が警備していた。駅だけなく、
トンネルに入り口上にも警備が配置されていたという。
「五輪会場はコンパクトだから。」という向きもあるが、
会場エリア外でも、東京都内なら、
例えば、東京都庁などは、格好の対象だろう。
市民生活が不便になるくらいの警備が求められる。
私たちにも、その覚悟が必要である。
【IOCのごり押し】
今回のIOC総会で、「そこまでIOCの権限は強いのか。」
と感じられた方も多いだろう。
IOCは、非政府組織であり、そもそもは、
スポーツを愛する欧州貴族のサロンだった。
今も、その名残が残っている。
先日任期満了で退任した、ジャック・ロゲ前会長は、
できるだけ明文化したガバナンスを進めてきて、
その名残も、だいぶ少なくはなっているが、
それでも、個々の委員のもつ影響力は大きい。
長野五輪では、前回のリレハンメル五輪で
公開競技にもなっていなかったスノーボードを、
爆発的な人気急上昇により、IOCは、
というより、当時のファン・アントニオ・サマランチ会長は、
いきなり正式種目にするよう、長野五輪組織委員会に迫った。
先日、新会長になった、トーマス・バッハ氏は、かねてから、
ロゲ前会長が進めてきた肥大化阻止路線には、一歩距離を置いていた。
会長就任後、早速、野球・ソフトボールの復活に対し、
「数週間内に、何らかの結論を出さねばならない。」と、
復活に向けた含みのある発言をしている。
もっとも、野球・ソフトボールの復活なら、
日本にとって望むところだが、その他のことも
いろいろ出てくるであろう。
【最後は市民の、お・も・て・な・し】
7年でいろんな問題が出てくるだろうが、
先週でも触れたように、高い開催能力は、
実は、私たち一般市民の草の根の活動が、
元選手のIOC委員に強烈な印象を与えている。
2002年のW杯でも、外国から来たサポーターが、
母国に帰って、日本での大歓迎ぶりを伝えているという。
今回の五輪招致に、どちらかというと否定的な意見も、
少ないとは言えなかったが、もう、決まった以上、
外国人がこれから多く日本を訪れる。
その人たちを、「五輪反対だから」といって、
歓迎しない人は、いないだろう。
だからといって、私たちが、
何か特別なことを意識する必要はない。
これまで通り、安心して楽しんでもらえるように、
今まで通りのことをすればよいだけだ。
新しいアイデアは、その延長線上で出てくる。
今週も、長い文章をお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんは、どのようにとらえていますか?