Column64.中韓だけじゃない、世界中が注目の靖国参拝。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

今週は、もちろんこの話題です。


安倍首相が、一昨日、靖国神社参拝を見送り、
自民党総裁の立場で、私費で玉ぐし料を捧げた。


筆者は、かねてより、公職者の立場での靖国神社参拝は、

憲法違反だと考えている。


一方で私人の立場なら、何をしようが、
まったくの自由だとも考えている。


その意味で、自民党総裁は、厳密には公職ではなく、
私人とは言い切れがたいが、私費で玉ぐし料を納めたことで、
また、後述する米国との関係も踏まえて、
非常に絶妙な方法を取ったと、筆者は、高く評価したい。


理由は明確で、第20条の第1項には、
「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」と、
同条3項には、
「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」
と明記されているからである。


これをいうと、「そんな単純なものではない。」とか
「戦死した人たちに対して失礼だ。」と反論する人たちがいる。


「単純かどうか」については、最高法規に明記がある以上、
単純・複雑という議論を挟む余地が、そもそもない。

(解釈の議論はあるだろうが。)


「失礼だ」という声に対しては、むしろ私人の立場で行った方が、
よほどその人の想いが明確に伝わる。



中国や韓国の政府や国民が、日本の政治家の靖国神社参拝に反対するのは、
両国を侵略・植民地政策を続けた当時の大日本帝国政府の要人が、
第二次世界大戦後で、A級戦犯として東京裁判で裁かれ、死刑になり、
靖国神社に合祀され、その戦犯たちをも拝むことを、
許すことができないからである。



「それなら、A級戦犯とは分けて、動員された兵士たちだけに、
 拝むことを明確にすればよいではないか。」となる。



しかし、靖国神社の見解では、
「一度奉った方を分祀するのは、
 ロウソクの火を別のロウソクに移すようなもの。
 だから、分けることはできない。」と主張している。



つまり、祀られている英霊全員から、特定の御霊を
除外することはできない、という主張である。



これに対し、神社・氏子の相談の上で、
分祀・廃祀は可能、とする見解もあるが、
靖国神社が不可能としている以上、
靖国参拝は、中韓の反感を買うことになる。


また、A級戦犯は、戦争を指示した側であり、
戦地等で戦死した兵士とは、そもそも一緒にすることがおかしい、
という意見もある。



これに対しては、以前の小欄で、
「A級戦犯は、休戦中の占領下で、死刑執行されたことから、
 敵国に殺された、つまり戦死した、ということになる。」と指摘している。


(詳細は、http://ameblo.jp/depthsofnews/entry-11519139165.html
 の前半部分をご参照願います。)



中韓両国に、A級戦犯も兵士と同じ戦死なのだ、ということを、
しっかりと理解してもらうよう、日本政府も説明しなければならない。



東京裁判の違法性を指摘されたくない米国は、
日本と中韓両国との摩擦を懸念している。


(違法性と摩擦の懸念については、小欄の
 
http://ameblo.jp/depthsofnews/entry-11528066953.html
 の後半部分をご参照願います。)


違法性を触れられたくないなら、摩擦を恐れるなら、
A級戦犯も戦死であり、日本政府も東京裁判の結果を、
サンフランシスコ講和条約で受けて入れている、
ということを根拠に、靖国参拝は日本国内の内政問題である、
とクギを刺すべきである。



しかしながら、韓国との同盟関係をも重視せざるを得ない立場や、
中国との直接の摩擦をできるだけ避けたい思惑から、
安倍首相が参拝しなかったことを、概ね評価している。



内容がどうであれ、米国から評価を引き出したことは、
改めて、オバマ政権が、日本を、
より重視せざるを得なくしたことにはなった。



とはいえ、いみじくも触れたが、そのサンフランシスコ講和条約、
日韓基本条約で全て解決した以上、
A級戦犯をどう扱うかは我が国の内政問題である。



ここで、冒頭に言ったこととは全く反するコペルニクス的展開論になるが、
内政問題であることをアピールするために、
憲法違反であったとしても、中韓両国が諦めるまで、
靖国参拝を続ける、ということも、選択肢に入れてもよいのではないだろうか。



憲法違反のそしりを逃れたいなら、私人であることを明確にすればよい。
先にもふれたように、私人としての方が想いは強くなり、伝わよりる。



ただ今回は参拝しなかったのだから、当然、
中韓両国には、異論を挟ませないことにもなった。



韓国の朴大統領は、光復節(日本からの独立を記念する日)の
式典の演説で、これまでの猛烈な日本批判言動から、
一転、批判のトーンを抑えた。



中国は、安倍首相の終戦記念式典での弔辞に、
近隣への反省がなかったことを批判したが、
その程度しかできず、それも、国内向けのガス抜きと考えてよいだろう。



むしろ、中国国内では、韓国の国会議員が靖国神社近くで、
抗議活動を行ったことに対して、
「日本は反対派も受け入れる自由な国。」と、
間接的に自国政府を皮肉る声が出ているという。



その中国の強大化は、世界中に大きな影響を与えており、
また、その中国が、安倍政権の誕生を、一番恐れていたことから、
日本人が思う以上に、世界中から、今回の安倍首相の対応が注目されていた。



付け加えるなら、竹島を訪れてアピールした国会議員がいる韓国に対し、
意趣返しをしなかったことは、挑発に乗らなかったとして、
度量の大きさを見せつけたことにもなった。
だから、朴大統領は、批判のトーンを抑えたのだろう。



そして、米国に、改めて、日本との同盟関係を重視せざるを得なくした。



国際社会の、日本を見る目に、安心感を与えただろう。


一方、国内では、玉ぐし料奉納にとどめたとはいえ、
直前になってその方針を明らかにしたことから、
私人としての自身の想いは明確に伝わり、大きな反発は出ていない。



その意味で、今回の安倍首相の行動は、非常に絶妙だったと捉えている。



本日もお読みいただき、ありがとうございました。



靖国神社には、合祀できない戦死者もいます。
それに対しても、実は批判もありますが、
合祀できない御霊をまつる社が、本殿の隣にあります。


合祀できない御霊と理由については、他のサイトに譲りますが、
賛成・反対を主張する前に、一度は靖国を訪れ、
実際に確かめてから考えることが重要だと、その社を参拝して、そう感じました。