Column61.笑えない、野党の「敗戦処理」①民主党。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

きょうは、参院選後の野党の対応について書きます。



先日の参院選で、議席数では、自民党が現在の定数で
過去最多議席を得て圧勝した。



しかし、票数を見れば、自民が勝った、というより、
野党乱立によるつぶし合いと、
低投票率が組織候補に有利に働いたのが現実である。



安倍首相他自民党の幹部は、それをわかってか、
浮かれず、引き続き、安全運転=経済の立て直しに努めると言う。
従来の支持団体に足を引っ張られないよう、頑張ってもらいたい。



見てて情けないのは、野党の敗戦処理だ。



まず、今回は民主党をとりあげるが、
代表・首相経験者の鳩山・菅両氏の除名(除籍)を、
一時検討していた。




先に菅氏だが、無所属候補を応援したことが、
反党行為だとして、除名が検討された。



それだけを見れば筋が通るかもしれないが、
東京都議会選挙の結果を受けて、
東京選挙区の公認を、公示2日前に取り消された候補である。



菅氏は、その取り消された候補の応援を、
党の方針に従って応援していた。



それを2日前になって「取り消したから応援するな。」では、
それまで党の方針に従ってきた、
菅氏を含む党員は、たまったものではない。



菅氏より責任が重いのは、取り消したこと及び
取り消された候補の出馬を止められなかった、
代表の海江田氏と幹事長の細野氏である。



菅氏に除名を求めるなら、まず二人がそれぞれ役職も退き、
党を離れる、それが筋ではないか。



処分を覚悟で、これまでずっと応援してきた、取り消された候補を、
ぶれずに応援してきた菅氏に、今回ばかりは筋を通したと感じる。
(震災対応で、そのぶれない姿勢を見せてほしかった。)



鳩山氏に至っては、
「中国側からすれば、(日本が尖閣を)盗んだと思われても仕方がない」
との発言が問題だとしている。



確かに発言内容は、元首相として、実際に戦争が起きたら、

それを相手国が口実にしたら、刑法第81条の外患誘致罪にも問われかねない。

同条は、死刑が唯一の刑罰という、最重罪である。



それとはまったく別に、鳩山氏は、既に民主党を離党しており、

そもそも除名にできない。しかも発言は、離党後のことだ。
それを、「離党前にさかのぼって除名にしよう。」という声があった。



その発言をした人物は、民主主義の根幹をなす、
「法の不遡及」の原則をご存じないのだろうか。



詳細な解説は他の専門サイトに譲るが、
新しくできた法律は、過去の出来事には適用できない、ということである。
我が国の憲法第39条にも規定されている。



例えば、時速60キロの道路を、ある特定の日から50キロに下げた場合、
その特定の日より前に60キロで走っていた車の運転者を取り締まって良いか、
ということである。良いとなったら、法が法でなくなってしまう。

つまり、為政者にとって何でもあり、ということになってしまうのだ。



自民党の憲法改正草案が、如何に民主主義に制限を加えるものかを、
小欄でも以前取り上げてきたが、その発言をした人物は、
さらに制限を加えようとする、といわれても反論はできまい。




さて、幹事長の細野氏は、8月末での辞任を決めたが、
「身軽になって、野党再編に動く。」と公言し、
実際に、日本維新の会の松野国会議員団幹事長や
みんなの党の江田幹事長と会って、野党再編に向けて動き出している。



これまで筆者は、細野氏のぶれない姿勢を評価してきたが、
今回の動きは、はっきり言って解せない。



確かに、従来の細野氏の言うとおり、自民党に対抗する軸は必要だ。
民主党がこれだけ小さくなった今、
大同団結も必要と考えているのかもしれない。



しかし、民主党自体もそうだし、
維新の会も主要政策で正反対の議員を抱えているし、
みんなの党に至っては、今週、代表と幹事長が、
両院議員総会で退席を求められるほど深刻な分裂状態にある。



うがった見方をすれば、幹事長辞任は口実で、
細野氏自身が主導して野党再編を
行おうとしているのでは、とも思ってしまう。



でなければ、不倫騒動を起こしたときのように、

第一次安倍政権後の、現在の安倍首相のように、
落選候補者とともにお詫び行脚の道を取るだろう。



もし、本当に野党再編主導を狙っているなら、
かつての師、小沢一郎氏にも話を持ちかけるだろう。



それだと、結局は、元の木阿弥になってしまう。
細野氏も、それは分かっていると思う(と信じたいが…)。



不倫発覚後のお詫び行脚及び環境大臣の時のぶれない姿勢を、
もう一度ここで思い出して、自分を見失わないでもらいたい。
何せまだ41歳と若いのだから。40歳は不惑である。



代表の海江田氏には、例えば、選挙前にやった党の大反省会を、
もっともっともっと大規模な形で行うなど、
誰もが自由に腹を割って話し合って、時間をかけて、
党の方針を決めていくしかない。



海江田氏に、そこまでの気力があるかどうか、
党員に、そこまでの覚悟があるかどうか、
それが、民主党再生のカギとなるだろう。



海江田氏には、続投を決めたのだから、
是非気力を持って頑張ってもらいたい。
「民主党にも、谷垣禎一がいたんだ。」と。




今週もお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんは、どのように思われますか。
来週は、日本維新の会とみんなの党を取り上げたいと思います。