Column33.問われる、安倍政権下の各党の在り方①自民党。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

先週までは、安倍政権に対する要望を書きましたが、
今週からは、政党に対して書きたいと思います。




安倍政権下で、矢継ぎ早に経済対策が打ち出された。



中身は「旧来自民とバラマキ民主のMIXでは?」
と首をかしげたくなるものもある。


とはいえ、この短期間に出してきたことは、
景気向上に対する並々ならぬ意欲の表れと言ってよいだろう。



その影で、あまり自民党内の動きは伝わらないが、
政権を奪還した高揚感を、必死になって抑えようとしている。



その裏で、各派閥の動きも新人議員の取り込みに
躍起になっているなど、”自民党伝統”の動きも見られる。



前回の総裁選で、党員には圧倒的人気の一方、
国会議員間では不評だった石破幹事長の手前、
各派閥とも派手は動きは見せないが、確実に動いている。



また、小池百合子元防衛大臣の断髪式など、
政権奪還抑えきれない動きも出てきつつある。
国民から見れば、何をはしゃいでいるのか、と見えてしまう。



今はまだ、小泉チルドレンの反省から、
ほとんどの新人議員が表に出てこないが、
参院選を機に出てきた小沢ガールズの二の舞になることは、
石破幹事長としては避けたいところだろう。



個々の政策を見ても、アメリカの手前参加を表明したいが
支援団体の関係からTPP交渉参加に対して、
反対が大勢を占める党内に配慮せざるを得ない状況だ。



高支持率に支えられた安倍首相ばかりに注目が集まるが、
自民党内の動きにも関心を持たねばならない。



特に注視したいのは、党三役人事のうち、
野田聖子総務会長と、高市早苗政務調査会長だ。



この二人は、ありていにいえば、「犬猿の仲」である。
当選同期の二人は、これまで何かと対立してきた。



例えば、「夫婦別姓」について、
高市氏が反対なのに対して、野田氏は賛成である。



2005年の郵政選挙でも、

野田氏が造反組で、高市氏は刺客組であった。



また、野田氏が世襲議員、高市氏は松下政経塾出身
という、出自の違いも、お互いを意識させているとされる。



実際、同時出演した6日の報道番組で、司会者から
「女性の社会進出を促す数値目標」を聞かれると、
慎重にすべきとした高市氏の発言に、
野田氏が「高市氏とは考え方が違う。」と真っ向から反論した。



主義主張の違いにとどまらず、野田氏が結婚した際、
高市氏が反対する夫婦別姓を野田氏通したことを踏まえ、
高市氏は「やられた~と思った。」と取材に答えているように、
既に感情的な「仲の悪さ」になっている。



自民党内の政策決定システムは、
政策調査会で議論し政策をまとめたものを、
総務会の原則全会一致で決定し、政府に伝える仕組みである。



現体制では、高市氏が取りまとめた政策案を、
野田氏が党としての案にするかどうか、ということになる。



ただでさえ、TPPなど内紛に発展しかねない問題を抱えているのに、
政策決定システムの中核を担う二人がこのような状況では、
経済対策を急ぎたい安倍首相は、内閣主導にせざるを得ない。



しかし、党主導でなくすることは、総裁選で争い、
同じく感情的なしこりを残すと言われる石破氏を幹事長に
起用した意味がなくなってしまうことにもなりかねない。



先月の選挙で、自民党は大惨敗を喫した2009年と同じ得票率だった。
自民党が勝ったのではなく、民主自滅・第3極乱立による敵失である。



党幹部からは、それを意識する発言が聞かれるが、
党内で、一致結束を乱すような動きが表面化し、
政治が停滞するようであれば、今度こそ、
自民党は復活できなくなるであろう。



かつての自民党は、40日抗争の様な激しい対立が
他党を巻き込む国会運営をも揺るがす事態があっても、
政策を停滞させることは、極力防いできた。



しかし、今の自民党を見ると、求心力が弱い気がする。
党内で芽吹きつつある個々の勝手な動きを止めるには、
安倍主張と石破幹事長が、常に連携をとって
一致結束に向けて強いメッセージを出すことである、
それが、自身の立場を損ねることになっても。



二人には、野田前首相のように、党内への過剰な配慮のあまり、
平気で国民を無視し、だますようなことは一切せず、
自分たちが党の方向を決める、と腹をくくってほしい。



それが、国民の支持を受け続けることになるのだから。



本日もお読みいただき、ありがとうございました。

来週以降も、各党に対して、声を上げたいと思います。