Column32.安倍政権への期待と不安②外交、主義、健康、そして憲法。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

今年最初なので、本当は展望を描きたかったのですが、
先週の続きがあるので、そちらにします。


先週は、下記をご参照願います。
http://ameblo.jp/depthsofnews/entry-11437227683.html



【外交・求めたい寛容さ】

 こちらについては、昨年、安倍首相が自民党総裁に就任した時に、
 求めたいこととして、小欄にて記した。
 
http://ameblo.jp/depthsofnews/entry-11366874002.html


 外交については、前回政権時同様、
 現実的な対応をしており、心配は不用であろう。


 外交は、表向き強硬姿勢でいた方が、
 相手も緊張感を持つので、このままの対応を望みたい。


 主義主張については、やはり、選挙中も、
 労働組合に対する敵視発言が相次いでいた。


 総理大臣は、全国民のために存在する。
 主義主張の違う相手にも、耳を傾ける寛容さがなければ、
 参院選での敗北はまぬかれないだろう。


 自民党内には、参院選まではおとなしくする、と言っているが、
 参院選以降はやりたい放題なのか、という疑念を抱かせかねない。


 石破幹事長とともに、参院選後も謙虚かつ
 寛容な姿勢を保っていただきたい。



【健康問題】

 懸念される健康問題だが、持病の潰瘍性大腸炎について、
 一部報道番組等で「お腹が痛い程度で辞めた。」という、
 甚だしい認識違いの皮肉があったが、相手にする価値はない。


 しかし、総理大臣であれば、持病だろうがなんだろうが、
 文字通り、命をかけて職務を全うしなければならない。
 もう、健康問題で辞任することは、許されない。


 父親の安倍晋太郎元外務大臣は、病気からの回復もままならない中、
 周りが止めるのも聞かず、政治パーティに出席し、そのまま亡くなった。


 そのパーティに出席しなければ、総理になること諦めたと思われる、
 と知っていたからである。もちろんそれが命にかかわることも。
 総理になろうとするなら、それだけの覚悟が必要だということも。


 幸い、潰瘍性大腸炎については、特効薬が開発されたが、
 覚悟については、父親の意志を受け継いでほしい。
 大平首相のように、命をかけて職務を全うしてほしい。



【憲法】
 谷垣総裁時代の昨年4月、自民党は、憲法改正草案を発表した。
 
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf


 9条ばかりが取り上げられるが、深刻なのは他の条文だ。


 自民党は、日本を民主主義国家ではなくそうとしているのでは、
 と疑いたくなる条文が、随所に出ている。
 同党支持者の間でも、危険視する声が聞こえる。


 ●追加条文第21条第2項

  「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を
   害することを目的とした活動を行い、並びに
   それを目的として結社をすることは、認められない。」


  これは、第21条:表現の自由
  「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。」
  に第2項として追加されたものである。


  公益や公の秩序を害することは許されないのは当然である。
  なぜ、当たり前のことをわざわざ憲法に盛り込むのか。
  それに「認められない」とは、誰が判断するのか。


  これでは、時の為政者にとって都合の悪いものは、
  恣意的にいくらでも排除できる
ことになってしまう
  他の条文にも、同様な規定が見られる。


  我が国はベネズエラではないのだ。


 ●削除条文第97条・追加条文第102条
  現行の
 この憲法が日本国民に保障する基本的人権
は、
 人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、
 これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、
 侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」


  これが丸ごと削除されている。

  基本的人権の理念を丸ごと削除することは、事実上の人権制限である。


  それと併せて、第102条第1項に
   「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」
  が追加されている。


  本来憲法とは、主権者たる国民全員参加の統治が不可能だから、
  三権分立の国家を作って、総理大臣その他権限を持つ者に、
  権力を乱用しないよう、予め制限をかけるものである。


  つまり、国民は、憲法を守る側ではなく、守らせる側である。

  所がこの条項だと、国民が改憲の議論すらしてはいけなことになる。

  つまり言論の自由の封殺である。まさしく本末転倒な条文なのである。


  9条については、議論はあるが、
  現実と乖離している点について踏み込んだことには、
  一定の評価はできる。他にも複数評価できる点がある。


  安倍首相は、まさか、この草案を本気で憲法にしよう、
  とは考えていないと信じたい。
  事実、憲法改正自体、要件を緩和しても難しい、と発言している。


  第一、連立を組む公明党がこれを認めるわけがない。


  また、先月の総選挙の時、民主党の細野政調会長(当時)は、
  「我々は、自民党の様な上から目線の統治はしない。」と
  発言しているが、このことも意識してのことだろう。



 憲法改正は、全国民的議論が必要だ。
 観念だけで改正反対を唱える時代はとうに過ぎている。


 安倍政権には、全党を巻き込んだ、
 理想の憲法づくりを議論する環境整備に努めてほしい。




本日も、長い文章をお読みいただき、ありがとうございました。

各党の主張がそれぞれ実現したら、どんな社会になるか、

それを想像してみれば、何が本来あるべきか見えてくると思います。


今度の参院選では、それをしてみて、投票先を考えたいと思います。