Column28.世論調査にだまされるな!! | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

今週は、選挙前にいつも公表される、世論調査について書きます。
惑わされずに、投票する候補者・政党を決めて戴くために・・・。




今週、主要各紙が総選挙での獲得議席数を予想した、
世論調査を実施し、その予想を掲載した。



押し並べて、自民党が300前後を獲得すると出ている。
一見すると自民党にものすごい支持が集まっているように見える。



確かに、議席数だけ見ればその通りである。
しかし、本当に支持が集まっているのかというと、かなり疑わしい
石破幹事長の「まったく風は感じない。」というのが実際だろう。



理由は3つある。



1つ目は「衆院選は、定数1の小選挙区の議席が6割強」であることだ。



定数が1ということは、候補者が何人いても、1人しか当選できない。
その当選者以外に入れた票は、当選結果に反映されない、
いわゆる「死に票」となる。



言葉の響きは芳しくないが、例えば、4人の候補がいて、
当選者が30%、残りが25%、25%、20%の得票を得たとすれば、
70%の民意は、国会に反映されないことになる。



可能性で言えば、300の全選挙区でA党とB党が候補者を立て、
全て1票差でA党が300議席を得たとすれば、
支持率はほぼ半分なのに、A党が独占することになってしまう。



今回の調査では、多くの選挙区で自民党が相対的に優勢立っている、
とのことであり、圧倒的な支持を得ているとは限らないのだ。



比例区では、その「死に票による民意の喪失」をできるだけなくため、
政党の得票数に応じた議席を割り当てる方式にしているほか、
小選挙区・比例区のでの重複立候補を認めている。



とはいえ、こちらは議席の4割弱なので、
やはり小選挙区での結果が大きく影響を持つ。



2つ目は、「投票先未定の多さ」である。



各紙の調査を見ると、概ね3~4割は投票者・政党を決めていない。
もし、その未定者全てが2位の候補者に入れたら、一気に逆転する。



先の例でいえば、調査時点で300選挙区すべて2位で
一議席も取れない予想だったB党が300議席を獲得することになる。



各紙の解説を見ると、まるで判を押したように、
「態度未定が●割前後おり情勢は流動的で、
 大きく変わる可能性がある。」と最後で締めくくっている。



そして3つ目が、私たちが気をつけなければならない、
調査結果を見ての投票先変更」である。

「アナウンス効果」とよばれている。



この影響を受けるのは、主として予想結果の第一党である。
予想と実際の結果が、上下することだ。



下回る場合は、予想結果第一党のA党の支持者が、
そんなに大勝ちするなら、調子に乗らせないために
 第二党のB党に入れるか
。」という人が多くなり、
A党の議席が減ることである。つまり「揺り戻し」である。



直近の例では、2009年で、民主党が310~320の予想だったのが、
2/3を取らせてはいけないという有権者心理が働いたのか、
実際の獲得数は、少し減って308となった。



上回る場合は、予想結果第一党がどこか明らかになって、
今回はこの党が良いのか、じゃ、そこに入れよう。」
と、予想より議席を伸ばすことである。
バンドワゴン(勝ち馬)効果と言われている。



こちらの直近は、2005年の郵政選挙である。
自民党が、過半数をやや上回る予想だったのが、
ふたを開けてみたら、300近い議席を得た。



他にもこう単純ではない例もあり、首長選挙では、
2000年の長野県知事選挙など劣勢から逆転するの例もあったが、
ここでは割愛させていただく。



新聞の中には、その投票先変更を狙って、
見出しなどを変えてくることは、ままある。
その具体例は、中には笑えるものもあるが、次回に譲りたい。



調査は調査で客観的な参考資料とし、
それとは関係なく有権者一人一人が、
自身の基準で投票先を決めれば、惑わされる事はない
特に「このままだと死に票になるから変える。」ことはなしにしたい



今回の選挙ほど、私たち有権者が責任を求められている選挙はない。
このように書いている筆者でさえ、まだ、投票先を決めかねている。
熟慮に熟慮を重ねて、16日には投票所に向かおうと思っている。




本日も、長い文章をお読みいただき、ありがとうございました。
今回の選択は本当に難しいです。
だからこそ、自身の考えを確固たるチャンスだと思っています。