Column15.残念な、細野氏の不出馬 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

きょうは、今週一時的に大きく動いた、
細野原発担当大臣の、民主党代表選挙への
立候補の判断について書きます。



先週末から、民主党代表選挙への
立候補が取りざたされていた、
細野豪志原発担当大臣が、立候補を見送った。



このコラムでは、極力主観を排除して書くよう、
心がけているが、それを踏まえた上で、
敢えて「残念」と言いたい。



理由は2つある。



1つは、現職の野田総理への有力な対抗馬となり、
(主張が似通っている、という批判もあったが、
 それでも)選挙戦を通じて、政策論争が期待できたことだ。



ただ、これについては、細野氏不出馬意向を受けて、
原口一博・元総務大臣の立候補が現実味を帯びていることから、
そちらに期待したい。



もう1つは、細野氏の経験である。



細野氏は、2000年の総選挙で初当選した。
小沢氏の自由党との合併前で、鳩山代表のもとで、
民主党が初の躍進を遂げた選挙である。



このときの初当選組は、いわゆる、
ブームに乗っかって当選した議員が多く、
マスコミにも持ちあげられたことから、
有態な言い方をすれば、「調子に乗って」いた。


後の小泉チルドレンと似通っていた、
 と書けば、イメージをお持ちいただけるだろう。)



細野氏も、残念ながらそのうちの一人で、
テレビに登場しては、他の同期議員同様、
パフォーマンスが目立っていた。



ただ、シンクタンク出身らしく、
20代の割には、落ち着いた語り口調で、
それなりの支持は得ていた。



しかし、いつまでもそのようなわけにはいかず、
2005年の総選挙でほとんどが落選した。
その中で、細野氏は落選を免れた。



これが、彼の油断を誘ったのだろうか、
女性タレントとの不倫現場を、
写真週刊誌にすっぱ抜かれた。



地元選挙区では、主婦層を中心に細野氏に対する批判が猛烈に吹き、
次の選挙で民主党が圧勝すると予想されていたにもかかわらず、
落選のピンチを招いてしまった。



ここで大きく反省し、本来の細野氏に戻ったのだろうか、
テレビへの出演を減らし、党の役職に専念し、
地元へのあいさつ回りも欠かさないなど、
地道な活動に軸足を置くようになった。



東日本大震災後は、担当大臣として精力的に現地に足を運び、
地元の、対政府不信の矢面に立ち、不信の解消に努めている。



中でも、震災がれきの受け入れを巡って、
感情的に反対する市民たちに、わざわざ単身で出向いて、
「どうぞ中に入って調べてください。大丈夫ですから。」
と訴えかけたことは、高い評価を得た。



私利私欲を捨てたその姿勢が、国民の支持を得てきた。
それが、同僚議員の立候補要請につながった。



今回当選したとしても、
首相でいられる期間は、恐らくわずかだろう。



しかし細野氏は41歳。
57歳の安倍元総理でさえ再登板を伺える状況から、
10年後、20年後再登板することは、ほぼ間違いない。



その時のために、今回、一時期でも首相職を経験しておくことは、
次回、どのように政策を進めればよいか、
具体的なイメージを描けることにつながる。



代表選で敗れたとしても、代表選をそのものを経験すれば、
2004年のの岡田副総理のように、
敗れた次の代表選での最有力候補となれる。



それを考えれば、この不出馬は、非常に残念でならない。



ただ、現職の閣僚であること、
現代表の野田首相との主張の違いもほとんどないことで、
立候補への批判が出たことを考えると、仕方のない面がある。



とはいえ、今回有力な候補となりかけたこと自体、
細野氏が、将来の有力な首相候補であることが国民に広く認知された。



細野氏には、これまで通り、地道な活動を続け、
自分が首相になった時にビジョンを温め、
いざというときに出られるようにすることを期待したい。




本日も、長い文章をお読みいただき、ありがとうございました。
将来の首相候補がだれか、長い目で見ていきたいものですね。