Column6.税と社会保障に労働法制の改革も | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

今日は、成長戦略に欠かせない、労働法制について考えます。



野田政権が連呼して強調する、税と社会保障に一体改革は、

税だけが先行している。(政権にとって予断はまだ許さないが。)


本当に社会保障の改革は進むのだろうか。


深刻だと言われている年金よりはるかに深刻な医療保険は、

診療報酬を大幅にカットしないと

二進も三進も行かない状況にまで陥っている。


医師会がそうさせまい、と踏ん張っているが、

政治への影響力が低下していることから、時間の問題だろう。


この点は、また別の機会に触れるとして、それともう一つ、

国の財政を豊かにし、国民の懐も暖かくする、

いわゆる成長戦略に欠かせない施策が、


労働市場における女性と高齢者の活用である。


おおざっぱな言い方にはなるが、現在は、給与所得では、

男性正社員が、所得税の主たる納税者ということになる。


これが、女性も高齢者も収入を得て所得税を払い、

かつ可処分所得が増えれば、国の財政を豊かにし、

国民の懐も暖かくなる、という考えである。


しかし、「男は仕事、女は家庭。」という観念が、

21世紀の日本でも、まだまだ色濃く残っている。


観念だけでなく、行政の仕組み、たとえば税金負担や

年金受給モデルもの出し方も、その観念に基づいた

資産が発表されている。


育児休暇も取りづらい、退職したら戻りづらい、

育児介護休業法があっても、保育所などのハードがな足りず、

機能しているとは言い難い。


定年も、65歳に引き上げる法案が提出される見込みだが、

採用での年齢制限禁止を、決めた当の役所が例外となっていては、

民間企業の納得など、到底得られるものではない。


これでは、女性と高齢者の活用など、到底おぼつかない。



ならば思い切って労働法制を根本から変えてみてはどうか。



読み始めは乱暴に見えるかもしれないが、

最後まで読んでいただきたい。

労働基準法に、以下の規定を盛り込むのである。


●全事業における定年・採用時年齢制限の撤廃。


●労働契約は、期限付きの事業以外、全て

 契約期間の定めは設けてはならない。

 期限付きかどうかは、都道府県労働局が認定する。


 (労働局とは、厚生労働省の一機関で、

  労基署・ハローワークの上部行政機関のこと。)


●会社・行政機関などの雇用主は、1年前までなら、

 理由のいかんを問わず、労働基準監督署に届け出て、

 労働者を解雇することができる。


●1年前以上の解雇予告を受けた労働者は、

 予告を受けた次の日から退職日までの全ての日を、

 年次有給休暇とすることができ、

 雇用主はその取得を拒むことは許されない。

 また、退職日は、労働者の意思で前倒しを可とする。


●雇用主は、1年前以上の解雇予告を行った場合、

 その年度の公告にて、その人数を公表しなければならない。

 違反には当然厳しい罰則を科す。


●厚生労働省は、1年以上のものも含めて、

 HPにて、解雇を行った企業名と人数・日付を

 過去10年にわたって掲載しなければならない。


労働法制だけでは限界があるので、消費税を上げるなら、

それを原資にして行政サービスも充実させる。


●ハローワークは、予告を受けた労働者が希望する場合、

 無償で希望する職業訓練の機会を与えなければならない。


●その他、保育所の大幅増加・入園基準の徹底緩和・

 育児・介護関連理由での休職中の給与100%保障。

 男性側の育児休暇の強制取得など、育児・介護のハード面の充実。


 上記以外にも、起業しやすいようにするなどアイデアはたくさんあるが、

 本筋から外れるのでこの辺にしたい。




 この狙いは、お気づきかと思うが、会社にとって、

 「解雇しやすくする代わりに、その事実が社会にさらされる。」

 労働者にとって、

 「転職活動に余裕を持たせる・業種転換を容易にする。」

 ことである。


 つまり、安定した雇用を生み出す会社をより存続させることと、

 労働移動を容易にすることである。



 現行の解雇は、相当の条件がないと解雇に踏み切れない。

 これが正規雇用の採用抑制・非正規雇用の増加

 =雇用の不安定につながっている。


 正規雇用者も、サービス残業など会社にしがみつかんがために、

 会社からの負担を受け入れざるを得ず、精神疾患が増えている。


 ならば、いっそ正規・非正規の壁(雇用期間の定めの有無)を取っ払い

 解雇しやすくする代わりに応募の段階でどういう企業ぁ見極められるよう

 徹底的に情報公開させる。


 また、1年間は余裕を持って転職活動ができるのであれば、

 不安定さも相当解消できる。



 思い付きのアイデアなので、欠陥もたくさんあるだろうが、

 上記狙いが目的なので、その目的達成のために、

 識者を集めて、将来ビジョンを作ってみては、と願う。



 ただ、安倍政権時の太田弘子経済財政担当大臣が、

 同じ目的で、労働市場流動化施策を提言した際、

 周囲や有力団体から猛反発を食らった、講演で話していた。



 原発同様、我が国の既得権益基盤は相当強固なのかと感じてしまった。

 しかし、今の仕組みでは、成長などおぼつかないことは言うまでもない。



皆さんは、いかがお考えでしょうか。アイデアもいただければと思います。