[認知症を防ぐ(3)よくかんで脳を刺激]
(読売新聞 2011年5月16日)
食べ物をしっかりとかむと脳が刺激され、認知症予防につながる。
神奈川歯科大准教授の山本龍生さんは、愛知県内の認知症ではない65歳以上の
4、400人を2003年から4年間追跡。
歯がほとんどなくて入れ歯も使わない人が認知症になる割合は、歯が20本以上
残っている人より1.9倍高かった。
また、「食べ物をあまり噛めない」人は、「何でも噛める」人より1.5倍
高かった。
「日頃から歯磨きや口腔ケアで歯を大事にすることに加え、食べ物をしっかり
噛むことが大切です」と山本さん。
噛む回数について、全国食育推進研究会理事長で日本咀嚼学会元理事長の
斎藤滋さんは、「30回を目安にしましょう」と言う。
普通の食べ物なら30回も噛めば、やや硬いおかゆ程度の、のみ込みやすい
状態になる。
それ以上噛んでも構わない。
噛み方については、片方の歯で5回噛んだ後、舌を使って食べ物をもう片方の
歯に移して5回噛む、という一連の動作を繰り返した後、全体の歯で10回
噛んで計30回とすることを推奨する。
「片方の歯だけを使うと、もう片方の歯が衰えたり、顔の形がゆがんだり
する。両方の歯をしっかりと使いましょう」
軟らかい食べ物はすぐのみ込んでしまいがちだが、斎藤さんは、好物の納豆を
食べる時、刻んだ野菜を入れたり、のりを巻いたりして噛むようにしている。
「軟らかい物には少し歯ごたえのある物を混ぜるなどの工夫が効果的です」と
斎藤さんはアドバイスする。
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