歯科技工士の学校事情がやばい!?募集停止や閉校が相次いでいる業界の実態とは? | dental-techniqueのブログ

dental-techniqueのブログ

元歯科技工士が自らの経験を踏まえて、歯科関係のお話を綴っています。

今回は歯科技工士を辞めて約10年ほどになる僕が、改めて歯科技工学校の実情を調べてお伝えしたいと思います。

 

一応これでも元歯科技工士ですので、たまには気になってネット検索をするのですが、「歯科技工学校」と検索窓に入力するだけでも出てくるワードとして「歯科技工学校閉鎖」「歯科技工学校募集停止」と出てきます。

 

僕が卒業した専門学校も、卒後2年ほどで閉校してしまいました。

 

今は歯科衛生士のみの学校として生まれ変わっています。

 

就職してから当時の同級生から連絡があり、学校が閉校することを聞いたときは、特に驚きもしませんでした。

 

むしろ「そりゃそうだろ」と思ったくらいです。

 

というのも、当時から前兆がありすぎてつぶれないのが不思議なくらいに思っていました。

 

もちろん学校や生徒にもよるのだとは思いますが、当時を思い出して僕がいた学校がどんな感じだったかを正直に

述べたいと思います。

 

 

入学したら金髪のヤンキーだらけ

 

今でもよく覚えています、あの入学した当初のインパクトを。

 

高校時代かなり厳しい部活生活を続けてきた僕は、教室に入った瞬間のだらけた雰囲気に圧倒されました。

 

金髪・タバコ・机にちゃんと座ることさえしない人達。

 

一瞬でヤバいところにきてしまったと後悔しました。

 

当然のように授業なんてまともに聞いていませんし、暇を持て余したやつは真面目に授業を受けている人の邪魔をしてきます。

 

今思えばそんな人でも取らなければいけないほど、定員割れを起こしていたのでしょう。

 

その証拠に、1年のときに3クラスだったのが途中で退学した人もいるため、2年のときには2クラスにまで減少。

 

1年後輩にあたる人たちは、更に定員割れを起こしていたのか最初から2クラスしかありませんでした。

 

2年で国家資格を取ったあと、僕はまだ就職をするだけの自信がありませんでしたので、専攻科というクラスに進学をすることに。

 

専攻科には全員で10人ほどしかいませんでした。

 

そこでは自分で決めた方向性に向けて、自由に作業内容を決めていいので、就職に向けてやりたいことにだけ集中できるといった

メリットがあります。

 

もうこの1年で就職先を決めてしまわないといけないので、通常であれば必死になるかと思いきや、ここでも「遊べるのはもうこの1年しかないんだ」と、実習もせずに遊んでいる人達ばかりでした。

 

その当時は就職氷河期といわれていた時代でしたので、就職の時期になってもまともに求人がなく、せっかくここまで学んできたのにと焦りが募っていると、先生が「お前は真面目だから」と一番条件のいい会社の求人がきた際、すぐに僕を推してくれました。

 

幸いにも無事合格できたのでよかったのですが、僕以外の人達はなかなか就職をすることができずに困っているようでしたし、真面目にコツコツと努力をしてこないと、いざという時になって先生から就職の斡旋を受けることができず、自分の首を絞めることになるのです。

 

結局専門学校というのは職業訓練学校とも言えるところなので、歯科技工免許を取得してゴールではなくその先を見据えた努力をしておかないと、就職してから同期に対して大きく出遅れることになるので注意しておきましょう。

 

 

 

歯科技工士を目指すための教育機関

 

 

現在、全国に47カ所の教育機関があるようです。

 

その中には専門学校だけではなく、数は少ないものの短大・4年制大学もあります。

 

 

専門学校においては、週5日制で午後5:00~午後8:35までが授業といった夜間過程のみのところもあったり、千葉県には聴覚障害者のための学校もあるようです。(こちらは令和5年より募集停止)

 

 

 

学費と学べる内容の違い

 

 

専門学校の場合、どこも約300万円ほどの学費と材料がかかります。

 

学べる内容はどこもそんなに変わりはないでしょう。

 

大学においては、「本学卒業時には歯科技工士国家試験受験資格を取得でき、学士(口腔保健学)を取得できる」と書いてありました。

 

そもそも大学に行くくらいなら歯科技工士にはならないほうが良いのでは?と思うので、学費については調べる気にもなりません。

 

きっと一般の大学に通うくらいの学費がかかるとは思います。

 

でもそういったちゃんとした?学校であれば真面目に授業を受ける生徒さんが多いのかもしれませんね。

 

ほとんどの専門学校の入学試験は敷居が低いので誰でも入れます。

 

その特徴としては、

 

  • 偏差値は関係ない
  • センター試験もない
  • 習得する内容はほぼ同じ
  • ほとんど学校格差なんてない
 
これが歯科技工専門学校の実情です。
 
入学試験の内容は、面接と実技(僕の学校は車のプラモデルを作るだけ)で終わり。
 
中には小論文を書かされたり、学科試験のある学校もあります。
 
 

 

全国的に教育機関が減少傾向にある

 

僕の卒業した学校はとにかくそんな人たちばかりだったので、当然のごとく技工士科は閉校となりましたが、労働環境の過酷さからも全国的には減少傾向にあるようです。

 

そんな中、昔から歯科技工に関わる人達が集まった〇〇連合会などの組織が、国会議員にむけて業態の改善をアピールし続けています。

 

しかし、

 

  • 新卒5年で75%の歯科技工士が離職
  • 3人に1人が過労死ラインを超えて働いている
  • 養成校は20年前の72校から47校にまで減少
  • 原因は安すぎる歯科技工料
 
このような問題はいつまでたっても改善されません。
 
特に僕が学生だった頃の20年前と今では、ネット環境の違いもあって情報が溢れていることもあり、余計に歯科技工士を目指す人が減っているのでしょう。
 
改めて調べた中でショックだったことは、千葉県にある「筑波大学附属聴覚特別支援学校 歯科技工科」では、日本で唯一の聴覚障害者のための歯科技工士養成課程であったにもかかわらず、令和5年度より入学者の募集停止。
 
金属焼付ポーセレン開発者(一般的には差し歯)である桑田正博先生が校長を務められていた、愛歯技工専門学校の閉校及び愛歯技工研究所の閉鎖。
 
こんな有名な学校でも閉鎖してしまうのかと残念で仕方がありません。
 
 

 

まとめ

 

なんだか調べれば調べるほど暗くなってきてしまいました(笑)

 

それでもまだ何らかの需要があるからこそ存続できる学校もあるのでしょう。

 

”手に職をつければ食いっぱぐれがない” なんていう考えはもう古いのかもしれません。

 

”歯科技工士になって国家資格を取る”という文字で見たイメージだけはよさそうなんですよね。

 

しかし、将来をよく考えて情報は十分すぎるほどに収集してから行動に移してください。

 

今残っている現役歯科技工士の方は、将来的に減少傾向にあるのなら逆にチャンスかも⁉なんて思っている人もいますから。

 

では、また。

 

 

 

関連記事