歯科技工士のリーダーの立場はつらい?仕事内容を知って欲しい!! | dental-techniqueのブログ

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元歯科技工士が自らの経験を踏まえて、歯科関係のお話を綴っています。

今回は僕が某大手歯科技工所に勤めていた時の、リーダーとしての仕事内容を紹介します。

 

僕が任されていたのは、技工物として最初に作ることになる模型ばかりを扱う「模型室のリーダー」です。

 

人によって初めに配属される部署は違うし、部署ごとに配属される人数も違ってきます。

 

ここ「模型室」では、だいたい一度に3人の新人が毎年配属されます。

 

他部署では入ってもせいぜい一人くらいなものだったと思います。

 

思い返せば本当にたいへんでした💦

 

そこで、まずは仕事できついと思ったポイントをまとめていきます。

 

  • 先輩歯科技工士との確執(個人的なものです)
  • 段取りの組み方
  • 新人教育
  • 壊された模型の修理
  • 入ったばかりの新人をすぐに辞めさせないこと
  • 営業さんとのやりとり
  • 歯科医院とのやりとり
  • 他部署との連携
 
いちばん最初に先輩歯科技工士との確執と書いたのは、全ての苦労はここから始まったからです。
 
僕が入社する前年度と、同期の人、1年後輩の子たちは全てこの先輩歯科技工士(以下新人クラッシャー)がみな辞めさせてしまいました。
 
どんなに仕事を覚えても、後から入る新人が育たなければ次のステップへと進むことはできません。
 
そこで、どうにかすべての仕事内容をこなせるようになった僕は後輩たちと結託し、この新人クラッシャーを追い出すことに成功しました。
 
晴れて新リーダーとなったのはいいのですが、当然これから起こるすべてのことに対応していかなければなりません。
 
どうしたら立てた計画通りに仕事を終えられるのか、どうすれば人が辞めなくて済むのか。
 
これから紹介するのは1日の仕事の流れ(内容)と、人のつかい方についてです。
 
何を偉そうにと思われるかもしれませんが、僕がリーダーとして勤めた3年間では一人も辞める子はいませんでした。
 
間違っていることもあるかもしれませんが、僕が誇れることはこれくらいのことしかないので、ここに記載したいとおもいます。
 
まずは仕事の流れから。
 
 

 

~模型室の1日~

 

 
大手技工所では朝出勤すると、配送された荷物(患者さんの印象&模型)は、受付の方が開封してケースに入れるところまでやってくれています。
 
小さな技工所では、開封からケース入れまでを自分で行わなくてはなりません。
 
ここだけでも一時間くらいは労働時間が増えることになります。(後に小さな技工所へ転職した際に気付きました)
 
まずはこのケースに入った患者さんの模型を「受け入れ」という、製作日数がどれだけあるのか・預かったものに何があるのかを確認し、専用の紙に書き出す作業を行います。
 
以下一連の流れ
 
  1. 受け入れ(製作日数・預かり品の書き出し)
  2. 印象に石膏を流す・出来ている模型はトリーマーで削る
  3. 口蓋トリーマー
  4. 穴あけ
  5. ピン立て
  6. 埋没
  7. セパレート
  8. マウント
  9. トリミング
  10. 支台歯処理
 
ここまでは専門学校で習う過程ですので、作業内容に関しては難しいことはありません。
 
問題はこなす量です。
 
トリミングだけでも1日平均100本ほどやっていたと思います。
 
ただでさえ集中して作業したいところにもかかわらず、新人技工士が多いということは失敗も多いということ。
 
途中で模型を壊されるなんてことはしょっちゅうでした。
 
しかしそれは仕方ないので、模型室のリーダーとしての仕事として、
 
  1. トリミング(支台歯形成)
  2. 模型修正
  3. 時間管理
この3つだけを集中することにしました。
 
 

 

徹底した時間管理

 

自分で立てた段取りの時間通りに終わらなければ、当然他の作業者たちからの信用を失ってしまいます。

 

例えば、今日は20時に終われそうだから頑張りましょうと言っていたのに、毎日のように1時間、2時間とオーバーしていては「あいつの言うことはあてにならない。どうせ今日も遅れるんだろう」と思われてしまい、だらけて作業されることによって更に遅れがでてしまうことになります。

 

まだ20代で入ったばかりの人にとっては、早く帰って遊びたいという人も多いんです。

 

だからまず信用を得たければ、時間に関しては特にシビアにならなくてはなりません。

 

そこで僕が常に気をつけていたのは、終了時間からの逆算です。

 

どこかで遅れが出た場合は、自分がその工程に入るなりして挽回することが大切になります。

 

時間は必ず守りましょう。

 

 

 

適材適所の配置

 

作業工程は様々にありますが、どこの作業を誰に任せるかはとりあえずは適当だと言って配置を決めました。

 

でも本当はその人の特性をよく見ています。

 

コミュニケーション能力の高い人には、他部署とのやり取りが多い工程に配置。

 

器用な人は細かい作業を、そうでない人は大まかな作業工程へとついてもらっていました。

 

ただそれで固定という訳ではなく、いつでも他の作業がしたければ、僕に言ってくれればいつでも配置替えをするからと言っていました。

 

だから今の作業工程をするにあたって文句を言うのは、なしだとも言っていました。

 

要は器用不器用関係なく、やる気のある人はどんどん仕事を覚えていけばいいだけの話なんです。

 

結果、誰もあの仕事がよかったのになんて文句ひとつ言わず、自分の任された仕事をきちんとこなしてくれていました。

 

向き不向きに関しては、最初によく観察していたのがよかったのかなと思います。

 

 

 

まとめ

 

 

一部署をまとめるにあたって、僕が新人クラッシャーにされて嫌だったことは徹底的に排除しました。

 

  • 全員の前で叱る
  • 気に入らないからといって無視をする
  • 精神的に追い込む(自分で追い込んでいることに気付いていない)
  • 無理にお酒の席に誘う
  • 大した権力もないのにそれを振りかざす
 
その結果、最大13人いた模型室にて僕がリーダーとして務めた3年間、一人も辞める人を出すことはありませんでした。
 
仕事は誰でもそれなりに覚えます。
 
それよりも大切なのは、その仕事をするのは「人」だということです。
 
その人が、どうしたら働きやすい環境にしてあげられるかを考えるのがリーダーだと思っています。
 
たまに、なぜ自分がそこまでしてやらなければならないんだと言っている人がいますが、そんなあなたは人の上に立つ器ではありません。
 
誰でもどんな人にもいいところがあります。
 
うまくチームをまとめ、上手に人を使えないのはリーダーである自分の力量不足だとして自分を戒めましょう。
 
では、また。