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伝世舎のブログ

日々是好日

2009年10月10日(土)~18日(日)の期間開催しました「修復のお仕事展 ~伝えるもの・想い~」には、沢山の方々においで頂きました。その数なんと400名を数えました。


8つの分野を紹介した今回の展示会は、初めてということもあり、至らぬことばかりで反省しきりです。引き続き来年も開催出来ればと考えております。その時は今回の結果をふまえ、よりきめ細かな展示が出来るよう、心がける所存です。
おいで頂いた方には、想像よりもずっと大きな興味を持って頂けたことは、望外の喜びでした。また、参加してくれたメンバーもそれぞれ忙しい中、すばらしい展示をし、説明してくれました。


ご来場いただいた皆様、色々とご協力いただいた皆様には心から感謝を捧げます。
来年もまた、よろしくお願い申し上げます。



伝世舎のブログ-芸工展

第17回 芸工展2009
「修復のお仕事展 ~伝えるもの・想い~」
(Produced by あくさいず)開催します。


 芸工展とは、東京・谷中地区を活性化させる取り組みのひとつとして平成5年に始まった地域のイベントです。谷中・根津・千駄木・日暮里・上野桜木・池之端界隈で「まちじゅうが展覧会場」と銘打って、地域に暮らす人々が様々な企画展示・イベント等を行います。ガイドマップを片手に谷中界隈を散策するもよし、スタンプラリーで商品をゲットするのもよし。各々の楽しみ方で楽しんでいます。
(芸工展URL: 
http://www.geikoten.net


 この芸工展に、伝世舎の主催として「修復のお仕事展 ~伝えるもの・想い~」を開催します。
 あまり一般的には知られていない「修復」の仕事を、知ってもらえるような企画を立ました。そこで参加者を募ると、8分野の方々から参加の申し込みがあり、思った以上にバラエティにとんだ展示が出来ることとなりました。
 皆まだ若く、分野も別々ですが、「次に世代に作品を残す」ためにがんばっている人たちです。その仕事の一端を覗いてみませんか?
 今回は多忙のため不参加の方も、来年以降は参加できることもあると思います。まずは第1回目として開催し、今後のさらなる充実に努めていきたいと思っています。
 谷中界隈散策がてら、是非お立ち寄りください。


会 期:2009年10月10日(土)~18日(日)
会 場:ギャラリーゆり音 〒113-0031 文京区根津2-19-8
開催時間:11:00~18:00
参加者:
油絵修復         武田恵理・増田久美・中右恵理子
建造物保全活用    もば建築文化研究所(中村文美・梅田太一)
染織品修復       山崎真紀子
東洋画修復・模写    山田祐子
東洋書画修復      伝世舎(三浦功美子・嶋根隆一)
保存修復支援      NPO法人 文化財保存支援機構(八木三香、松本洋子)
保存修復品製造販売  ㈱パレット(長谷川雅啓)
埋蔵文化財修復    武蔵野文化財修復研究所(石原道知)

※ 土・日・祭日には「香笛神社(カフェ・ジンジャ)が開店します。


伝世舎のブログ-チラシ表



伝世舎のブログ-チラシ裏

 さて、前回は全体修復を行った事例について書きましたが、今回は部分修復と保存のための処置について書こうと思います。

 全体修復については2幅の掛け軸だけで済みました。残りの13幅については部分修復です。応急処置的なやり方ですが、むやみに大手術をして患者の体力を奪っては、元も子もありません。


部分修復

掛け軸の症状はそれぞれ異なっていました。長い時間による汚れや変色、摩耗は致し方ないことです。主な損傷としては、掛紐の切れ、横折れ、裏打ち紙の糊離れによる浮き、八双や軸の両端部分の破れなどなど。

損傷箇所や今後の損傷拡大が予想される部分に補強や繕いなどの処置を行いました。今後の取り扱い方や保存環境に注意をすれば十分保持できると思います。


伝世舎のブログ-お茶の水04

強い横折れがあり、放っておくと裂ける危険があった。


伝世舎のブログ-お茶の水05

楮紙による折れ伏せ入れを施し、強度を持たせた。縁の部分の欠損部には繕いを施した。



伝世舎のブログ-お茶の水06


掛け軸の軸首が取れ、八双部分に亀裂が走っていた。




伝世舎のブログ-お茶の水07

亀裂を補強し、新たに軸首を取り付けた。



保存箱

保存箱は、修復した作品をこれからの長い時間良好な状態で維持するために必要なものです。

作品が箱に収まっている時間は長いので、良い環境を作ることが重要です。そのため箱自体が酸化劣化を起こしてガスなどを出して、作品に影響を及ぼすことがありますので、注意が必要です。

今回は、それぞれの掛け軸に合わせた布貼り中性紙ケースの保存箱を作りました。桐材の軸受けを付けてあります。


伝世舎のブログ-お茶の水08

布貼り中性紙ケースと桐材の軸受け。




掛け軸は、すべりが良い三椏紙の巻紙を巻き紐があたる中央につけ、羽二重に包みました。


伝世舎のブログ-お茶の水09


この形で保存します。




色紙は、アーカイバルボードで挟む形の収納フォルダーを作りました。持って移動するときにフォルダーの中で動かないように、四方から保存に適した紙で固定しました。使用しています材料は作品に優しいものです。


伝世舎のブログ-お茶の水10


特製フォルダーです。



納品してから1カ月以上経ってのレポートと、その遅さに我ながら驚きますが、少しずつでもアップできればと思っています。

また、よろしくお願いいたします。