先日、岩手県の被災地に行ってきました。被災文化財の状況の視察に同行させていただきました。
被災した博物館からレスキューされた作品や資料は、他の場所で応急処置を行っていました。博物館ということもあり、所蔵作品の点数の多さと種類の多さに圧倒されました。民具、考古遺物、標本、紙資料、絵画、染織品などなど。
館長さんのお話では、被災場所からのレスキューだけで1年は掛かるだろうと思っていたそうですが、多くの協力があり約3カ月で作品の大半が避難場所に移動できたそうです。作業員の方々が、洗浄や泥の除去などを行っていますが、汚れた海水を被っているので、黴、錆などの問題はまだまだあり、困難な状況は続いています。

被災した場所にも案内して頂きました。内陸の山のほうから行きましたが、海の気配も感じないところまで、川を伝って津波が押し寄せてきたことを聞き、とても信じられませんでした。木々が枯れて、家々がすでに無く更地のようになって、ようやく海が見えてきました。
博物館は、建物全体が被災して、ガラスが破れ、壁や天井板が剥がれ、コンクリートや配管などがむき出しになっていました。天井に洋服や椅子などが下がっているなど、言葉にならないような状態を目の当たりにしました。
東日本大震災において、文化財も甚大な被害を受けています。震災直後から文化財関係者やボランティアの方々のレスキュー活動が行われて、多くの作品や資料などを救助しようとがんばっています。公共の施設だけではなく、個人宅でも旧家や蔵が被災して、建造物や代々伝わってきた古文書、掛け軸類、調度品などなどが被害にあっています。
その地の文化が失われていってしまうことは、とても悲しいことです。文化財を救出することは、これからの復興にも大きな意義があると感じています。地域の文化財は、護りたい、伝えたいという強い意志があって、遺っていくのだろうと感じています。
今回被災地に行って、作品や資料想像を絶する量と状態を見て、何ができるのだろうかと途方に暮れてしまいました。ただ、私の仕事はその救出した作品や資料を、どうにか遺すための手助けすることの一端だとは感じています。
来週は今後の処置のための調査に行ってきます。

