禾・田集抄 巻頭三句【12月】更新 | DEN

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「田」俳句会のブログ

 今年も後1ヶ月を過ぎたなんて、ちょっと信じられないのですが、みなさまお元気でしょうか?
とても乾燥しているので、インフルエンザや風邪などに気をつけてくださいね。

今月は朱雀さん、栄子さん、美喜子さんですベル
DEN-ペラ

 姥百合の突き上げてゐる拳かな  朱雀

 突き上げてゐる拳!この表現の力強さと若々しいイメージに思わずノックダウンです。グー
姥百合ってどんな百合だったっけ?と、見た事のあるようなないような....百合は種類も多いので確信が持てなかったのですが、つぼんでいる百合の姿はすぐに想像することはできました。主宰の選評を読んで、ユニークな名の由来を知り、ネットで写真を探しました。たしかに鉄砲百合の小型版で色が少し緑っぽい感じですね。山などで見かけたことがあるような気がします。
丁寧に詠まれた写生句ですが、ただの百合では面白味半減ですよね。「姥百合」で詠まれたことがこの句のポイントです。素晴らしい俳句だと思いました!

 落雷や解放といふ気分めき  栄子

 「解放」という一見俳句ではこなれていない言葉にギョッとしましたが、「落雷」ならば納得しました。たしかに雷エネルギーの解放ですよね。落雷によって感じた作者の感覚を素直に詠んでいます。何か血が騒ぐというか、自然と一体となっている気分がよく表現されています。開放ではなく、解放という文字には、人間界の様々な拘束からの解放を意味しているようにも思えます。

 出穂の風吹き渡る終戦日  美喜子

 「出穂」この言葉の読み方、しゅっすいでいいのでしょうか?広辞苑によると、稲などの穂が出ることとあります。
映画などのワンシーンを観ているような美しい俳句だと思いました。やさしく吹き渡る風がこちらにまで吹いてくるようです。
平和のありがたさが伝わってきて、作者の想いが籠められている佳い俳句だと思いました。米どころ新潟、美喜子さんならではの一句ですね。  MERI