エア・カノン

脚の悪い愛犬花音のために、我が家のリビングには２畳のカーペットが敷かれ、サークルで囲ってある。

本人はうちの娘になって以来、この生活なので、こういうもんだ、と思っているらしく、不満はないようだ。

毎日、おとなしくお留守番している。

この子供部屋、花音がいるときは狭く見えるのに、不在の今、やたら広く感じる。

よけいに寂しさをつのらせる。

ついつい視線がそこに行く。

いずれ帰宅するから、不在な状況に慣れる必要もない。

普段どおり、おはよう、行ってきます、ただいま、お休みを空の子供部屋に向かって話しかけ、病院にいる花音に向けて、エールを送っている。

寝る時も常夜灯はいつものようにつけておく。

でもやっぱり、花音はいない。

夫も帰宅してないし、本当につまらない。

仕方がないから、寝る。

眠くないけど。

ママはプチ欝。

きっとパパも同じだな。

早く花音を抱き締めたい。