ひとり 認知症 24時間介護
認知症介護でつらいことは、要介護者から目を離せないこと。つまり一人にさせられないので、24時間気が休まらないことです。
レビー小体型認知症の母の主治医に、認知症介護するときの注意点について聞いたことがあります。
「いついかなるときも、最大目を離せるのは、5分間だけと思って介護されてください」
「難問ですね」
「暮らし向きは、大丈夫ですか?在宅介護でいけますか?」
その時の、おやさしい目を、今でも思い出します。
「何とかいけるでしょうから、やってみます」
「こちらも出来る限りの、お手伝いさせていただきます」
そのアドバイスでしてみると、買い物に行くのも大変でした。シングル介護ですので、家を出ると母一人になってしまうからでした。
ある時、レビー小体型認知症の母が、寝入っているのを確かめて、切らしていた醤油を買いに出かけました。
家に帰ったとき、トイレの前で失禁している母を見つけました。
「ごめんね、おもらしして」
「洗濯すればいいから、いいさ」
「ちがうの!」
「なにが?」
「自分がどうなっていくのか、わからないの」
最愛の母の心のうちを、はじめてのぞきました。母を一人にさせないことの意味が、たいへんなことを知った時でした。