義理の親子なので認知症介護が楽しくありません | 認知症介護は思いやり

認知症介護は思いやり

認知症は社会問題です。介護の担い手のお嫁さんが働かねばならないなどのご自宅の事情から、在宅ケアもままならからです。しかも認知症の症状は複雑です。レビー小体型認知症の母の10年以上に及ぶ介護経験から介護保険利用の仕方、介護、症状をやわらげるやり方を教えます。

義理の親子 認知症介護

Q:小さい頃、母親から、やさしくされた経験がありません。そのせいで親の介護生活が、楽しくありません。できることなら、介護したくはありません。

誰かに相談しても、つい愚痴ばかり。一人で思い悩みます。こんな娘に介護されて、親は楽しいだろうか?と。何かいい方法は、ないでしょうか。

A:こうした悩みをされる方は、多いですね。介護したくない理由を、母親から愛された記憶がないからと言われています。

介護をしたくない理由は、たくさんありますね。

例えば、義理の親娘なので、結婚した時からうまくいっていないと思っている。それが介護が必要になったからと言って、急に義理の親にやさしくできない。

実の母娘さんでも思い悩む認知症介護生活。ましてや義理の関係となると、なおさらですね。

この質問に対する私なりの考えは、差し置いおきます。

なぜなら、この質問にお答えするには、介護されておられるご家庭を見なければならないからです。納得いかれる回答は、その親子さんと直接お会いしなければ、無理だと思いますから。

ここで記事を終わりにしては、読まれた方に不親切ですね^^

以前レビー小体型認知症の母が、入院していた時のエピソードを書いて、このご質問の回答の代わりとします。

義理のおかあさまを、介護されておられる主婦の方のお話です。入院されておられるお母様の食事介護の様子が、とても素敵でした。何気なく質問してみたときの話です。

「先ほどから食事の介助を見させていただいています。すごい信頼関係ですね」
「ありがとうございます。でも義理の関係なんです」
「そうですか。介護されて長いのですか?」
「もう20年ほどになります」
「それは、すごいですね」
「でも、今でも、できるなら介護したくは、ありませんよ」
「なぜですか?」
「やはり、自分の時間をとられますから」
「介護をやめることができれば、いいと思われますか?」
「20年していて楽しいのでやめる気は、ないですね」

その主婦の方のおかあさまは、息子の嫁として厳しかったそうです。介護を必要となった時に、その方は、嫌でたまらなかったそうです。

その女性の心が変わったきっかけが、あったそうです。

「おおかあさま。何かしてほしいことは、ありませんか?」
「そうね。脚が痛いので、もんでもらえたらうれしい」

そこで女性は、見よう見まねでマッサージをされました。

「ああ!気持ちがいい。ありがとうね」と満面の笑顔で話されたそうです。おかあさまの笑顔をみて、楽しい気持ちになられたそうです。

なぜなら、心の交流ができたと思われたからです。苦労が報われたからです。笑顔が、感謝の表れだからです。

笑顔は、認知症介護の潤滑油です。笑顔は、嫌なことを吹っ飛ばす力があります。つらいと思われる認知症介護生活は、笑うことで楽しくなります。