こんばんは、モビリティです。
さて、先日このようなニュースがありました。
この中にもでてくるキーワード「医療用ガウン」の中のひとつを解説します。
医療用ガウンは2種類ある。
医療用ガウンと言っても、その言葉の中には2種類の製品が存在します。
① アイソレーションガウン
② プラスチックガウン
この2種類について解説します。
①アイソレーションガウン
アイソレーションガウンの素材には、主にポリプロピレン不織布やSMSが使用されています。
皆さんがふだんお使いの不織布マスクと同じような生地だと思ってください。
袖口の部分は、洋服に使われるのと同じポリエステル素材のものが使われています。
ポリプロピレン不織布とは、簡単に説明すると、ポリプロピレンという原料の繊維を、織ることなく(だから不織布)シート状にして作った生地のことです。
SMSも不織布ですがスパンボンド不織布+メルトブロー不織布+スパンボンド不織布という3層構造で、バリア性が高いものになります。スパンボンドとメルトブローの頭文字をとって、SMSということです。
②プラスチックガウン
プラスチックガウンの素材は、その名の通りプラスチックでできています。
アイソレーションガウンもバリアはするのですが、製品によっては水が染み込んできたりします。
湿性生体物質に対する防護を考えるとプラスチックガウンを使用するほうが良いと考えます。
コロナ禍においても、アイソレーションガウンの上に更にこのプラスチックガウンを重ねて着る医療施設がありました。
素材は主にポリエチレンで、ポリエチレンの中でもHDPEを使用している製品が多いです。
HDPE(ハイデンポリエチレン)とは、ポリエチレン素材の1つで、レジ袋と同じです。薄くてシャカシャカする半透明のやつです。
その他には、LDPE(ローデンポリエチレン)というものもあり、ゴミ袋なんかに使われている、ツルツルした透明のやつです。
コロナ初期段階では、病院から医療用ガウンが無くなりました。体験談を話します。
医療用ガウンは、どの病院でも当たり前のように毎日使っています。
1患者1行為ごとに使い捨てるため、1日に何百枚と使用されているのです。
医療用ガウンの国内販売メーカーは、多くの企業が中国の工場を利用して製造しておりました。
そのため、コロナが日本で騒がれ始めたころには、中国の製造が止まってしまい、まったく日本に供給されなくなったのです。
もちろんコロナ患者の対応でもたくさん使いますし、通常診療でも使います。
ただ、物が入ってこない状況のため、苦肉の策で使用したのが「レインコート」でした。
レインコートの素材はLDPEが多く、LDPEのレインコートは着ていると非常に暑く、とても夏場に着て、長時間診療を行える状況ではありませんでした。
そんな最中、まったく知らない企業からプラスチックガウンの売り込みが来るようになりました。
どういったルートで仕入れたかはわかりませんが、大量ロットでの販売を提案されました。
価格は今まで使用していたものと比べて
15~20倍ほど高くなりました。
コロナ禍で足元見られているのはわかりましたが、レインコートを使用するわけにはいかず、その中でも安価なものを購入してしのぎました。
病院によっては、洗って再利用したり、きれいに拭いて使いまわしたりしたそうですが、感染面を考えると有り得ない環境、状況です。
今回のコロナを契機に、国産製造する企業も出てきています。製造拠点を国内・国外でわけることが非常に重要だと思います。
物が足りなくて病院が壊滅状態だったあの時のことは忘れず、病院内におけるBCP対策を講じるべきだと感じました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
