今更ながらMagic Lantern @ 5D2 (HDR Video編) | Nature | Photography | Music | Art

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以下の内容はカメラ破損のリスクを伴います。実験される方はあくまでも自己責任でお願いします。

Magic Lanternは有名なEOS用のHacked Firmwareです。

http://www.magiclantern.fm/

最近は5D3と高速CFの組み合わせで高品質FullHDのRAW動画が撮れるとかであちらこちらで取り上げられているようです。

以前から存在は知っていたものの、このファームに付きまとう「自己責任」という原則が引っかかっていて、ずっとノータッチでいました。

つまり、操作中なんらかの不具合でカメラ内部のARMプロセッサが「暴走」した場合、最悪の場合発生した熱でカメラ本体を破損する可能性があるということ、更には「暴走」した場合は電源をOFFにするだけでは不足で、中のバッテリーを即座に抜かなければならないということで、動画撮影の多くが水中である自分にとっては、水中でバッテリーを抜くことは不可能なため、ずっと採用を見送ってきた経緯があります。

とは言え、このファームを採用することによるメリットは数多くあり、以下の理由からそろそろ触ってみようかということにしました。

・Magic Lantern(以降ML)のStable Versionに関しては致命的な不具合の発生の要因はかなり取り除かれた(らしい)
・今所有している5D2は既に元を取った感がある。(=ヘタってきている)
・最悪5D2が破損した場合、(今更ながら)5D3購入の後押しになる^^

ということで今更ながらにこのファームを入れていろいろ実験をしてます。(トレンドからは2年遅れくらい?)
ファームの入れ方はググレばいくらでも出てくるので割愛。

昨今、このファーム最大の売りは何と言ってもRAW動画なのでしょうが、5D2ではFullHDサイズでの撮影は無理で、CF容量も半端なく必要ゆえ、今の撮影スタイルとは相容れないと考え、この機能に関してはしばらく静観して、より地味な(しかし何気に役に立つ)機能を先に評価中です。

MLの中でもRAW動画など派手な機能に関してはネット上に多くの情報がありますが、地味系の機能に関しては実はあまり親切な情報がなかったりします。MLのマニュアル自体もかなり説明不足だし、ML公式掲示板にも断片的な情報しかなかったりして…
現に今でも個人的に未解決な機能がいくつかあります(例えばfps変更など)

まずは一番気になっていたHDR Videoから試してみました。
原理は写真のHDRと同じで、複数の露出の異なった2フレームをポスト処理で合成するというもので、擬似的により大きなダイナミックレンジを得ることができます。
つまり、1フレーム毎交互に露出の異なるフレームを撮影することになり、撮影後の動画をそのまま見るとかなり眩暈がします。。
ポスト処理ではこのフレームを交互に仕分けした後に2枚毎にHDR合成するわけです。

この手法の長所はRAWと違って、ファイルサイズは増やさずにダイナミックレンジを広げられる。
短所はポスト処理の手間と、フレームレートが半分になるので、動きの少ない動画にしか使えないということです。

設定は下のように、Movie->HDR Videoの設定で2つの異なるISOで設定します。ここで設定したISOがフレーム毎交互に録画されるわけです。

Todos os Tons

Todos os Tons

ポスト処理は以下のUserGuideのHDR Videoの項にあるuser-friendly versionを使用するのが無料でありながらそれなりの品質が得られます。(というかその他の処理方法は試してません)

http://wiki.magiclantern.fm/userguide

やり方は

1. 付属のavisynthをインストール (古いバージョンは機能が足りずエラーになる)
2. 撮影した動画を同じフォルダに入れてRAW.MOVという名前にする。
3. main.cmdをクリック(windowsの場合)
4. 延々と処理が行われ、framesというフォルダ内に、Axxxxx Bxxxxx Cxxxxxという3種類の連番の静止画が作られる。このCxxxxxというのがHDR合成されたシーケンスなので、これを動画編集ソフトで読み込み、必要に応じて画質調整して動画に吐き出す

という感じです。
先日、出先の公園で上の設定を用いて試しに撮影したものを上げてみました。Tv=1/60
画面分割して、左から

オリジナル(フリッカーが凄い)、低ISO抽出(Axxxxx)、高ISO抽出(Bxxxxx)、HDR合成後(Cxxxxx)、合成結果をLUT調整(フラットなピクチャスタイルを使用しているため)



この程度の明暗差ではあまり効果が見えませんが、確かに見た目のダイナミックレンジは大きくなっていて、太陽を入れても周囲があまり飛びません。

そもそもはこのHDR Video機能、水中の動画撮影でダイナミックレンジ不足で悩んでいたのでその対策に使えないかと考えたのがMLを使い出したきっかけでもあります。
後日機会があれば、(リスクを背負って)水中撮影バージョンをトライしてみたいと考えてます。

今後も気が向けば(カメラが壊れなければ…)他の機能についても書いてみます。

補足ながら、上述のHDR処理にはenfuseというオープンソースのHDR合成ソフトが使われています。今まで使ったことがなかったのですが、動画のフリッカーやハロ現象も起こらず、なかなかいい品質のHDR合成をしてくれます。