駆動は手でスライドさせる方式のため、TimeLapseに対応すべく電動駆動ユニットをずっと試行錯誤していました。
第一弾としてはこのエントリで書いた、マブチモーターとタミヤのギヤボックス+チェーン&スプロケットを使用して巻き上げるタイプ。
この構成は結局失敗でした。理由は、
・マブチモーターでは減速したとしてもパワーが弱すぎる
・マブチモーターはDCモーターのため、低速のまま一定速度を保つのが難しい。TimeLapseに適した低速度にするといつの間にか止まってしまう。
・タミヤのプラスティック製チェーン&スプロケットではカメラユニットを引っ張るには強度が頼りない。
の三点でした。
また、ドリー本体も
・レールが強度保全のためパイプではなく、棒になっているため非常に重い。
・レール長が1.2mで長すぎる。
という登山に持っていくには致命的な難点がありました。
これを踏まえて以下のような構成に刷新しました。
まず全体像。

レール部分は、製品と同じインチ径のステンレスパイプをネットで入手、近所の鉄工所で両端にネジを溶接してもらいました。 1mと80cm長の2ペアを揃えて、用途によって使い分けられるようにしています。(写真は1mバージョン) このことでドリーの重量は劇的に軽くなりました。(一般的なアルミ三脚の重量ほど。)

駆動はDCモーターではなくてステッピング・モーターに変更。チェーンも金属製の軽量で丈夫ななものに変えました。
ステッピング・モーターは回転角と回転速度を制御できるので、こういった低速度&一定速度で回転させるには最適です。
架台はアルミLアングルを加工しました。

反対側の端には空周りする歯車を設置。

雲台部分はホームセンターで適当な金具を買ってきてチェーンを固定。

次に制御系の全体図。

制御の頭脳は第一弾と同様Arduinoを使用。

ステッピングモーターはStrawberry Linuxで専用のドライバユニットが安く販売されていたので、それを使用。
これのお陰で360度を25600ステップ単位で制御することが可能です。極端な話、1mを10時間かけて移動などということも(きちんとプログラムを組めば)可能です。

外で使うためのバッテリーは、ArduinoのUSB電源とステッピングモーターの12Vを同時に供給できる以下のものを使用。


ただしこのバッテリー、本来はノートPCなどを駆動する目的のものなので、消費電力が極端に少ないと自動的にパワーオフされる仕様のようです。 仕方ないので、駆動中はずっとスマホを充電させて一定量以上の消費電力をキープさせる必要があります。
以上全てを車に詰め込んで、戦場ヶ原で人生初の電動ドリー星景撮影を行ってきました。
戦場ヶ原を選んだ理由は。
・文句なく星が綺麗
・まだ仮構成のため電気系の接続が脆弱。そのため不意の断線などに対処するため、工具も持参しなければならないので、車から近いところで撮影できる。
・勝手が分かっている。
といったところです。
というわけで、人生初の電動ドリーによる星景をこっそりアップしました。個人的にずっと撮りたかった映像が叶ったので、うれしくて適当に曲もつけちゃいました。
ただし、試験的な撮影の撮って出しなので、レタッチやホットピクセル取りもしていません。あしからず。