連日「新事実」が出てくる福島第一原子力発電所の事故。
情報が小出しでしかも日に日に事態は深刻になっていくし、避難指示が出ていない地域で高い放射線量が観測されたりで、政府の広報は本当のことを言っていないのではとも勘ぐりたくなります。更に海外のメディアは日本のメディアより事態を深刻に評価しています。
週刊ダイヤモンドのサイトにはこんな記事が出ています。
日本の大手メディアと欧米メディア、プルトニウム報道の“温度差”
http://diamond.jp/articles/-/11689
世界中のほとんどの新聞・テレビが、一面トップかあるいはトップニースで伝える中、相変わらず日本の大手メディアだけが、このニュースを矮小化して伝え続けている。
今回もまた、大手メディアや大物評論家、あるいは会見に一度も来たことのないジャーナリストたちが、御用学者たちが声を揃える「α線であるため、紙一枚で防げる」「比重が重いために遠くまで飛ぶことはない」とプロパガンダにまんまと乗っかり、悪質な「安全デマ」をばら撒いているのだ。
毒物中の毒物と言われるプルトニウムが発電所の敷地内から検出されたと言うことですが、テレビなどでは軒並み「心配ない」とのコメントが流されていますが、やはりこれは「安全デマ」なんでしょうか。
でも、この記事よく読んでみると、「安全」とするコメントへの批判ばかりで具体的にどんな危険があるのか、それはどの程度ものか、どの範囲まで危険が及んでいるのかが示されていません。
一方で週刊ダイヤモンドでは別にこんな記事も。
放射能汚染を巡る日本人の誤解と政府の説明責任
―― チェルノブイリの惨状を知る被曝治療の権威ロバート・ゲイル博士に聞く http://diamond.jp/articles/-/11772
――福島第一原発における作業員の作業環境や、日本政府の対応をどう評価しているか。
医学的な観点から見て、作業員の安全確保は基本的に適切に行われていると考える。被曝線量限度もかなり保守的な目安に従っている。体内被曝、外部被曝を測定する各種計測器をつけて被曝量の管理を適切に行っている限り、そして想定外の爆発事故が起こらない限り、短期的にも長期的にも健康に影響が及ぶことはない。 その一方で、日本政府は非常に難しい立場に置かれている。損なわれた信頼を取り戻すため、頻繁に放射線データを発表し透明性を確保しようとしている様子がうかがえるが、政府内に放射線に詳しい専門家がいないため、かえって混乱を招くだけの結果になっている。国民が理解できるような方法でデータを噛み砕いて伝えることができていないのだ。
――どのように噛み砕くのがいいのか。
たとえば、(日本政府は)現在、飲料水では放射性ヨウ素が1リットルあたり300ベクレルを超えると好ましくないというメッセージを国民に伝えている(乳児の規制値は100ベクレル)。しかし、この数値は何も目の前のコップに入った水を飲むと危険だということを示しているのではない。 20杯飲んでも大丈夫なはずだ。その値以上の飲料水を5リットルほど毎日1年間飲み続けたら、ガンになる確率が1万分の1上がる可能性がわずかにある、ということだ。そういう説明を、自信を持ってできる人間が政府内にいないことが問題なのだ。
――放射性物質を含む大量の汚染水が海に放出されたことで、魚介類への影響も懸念されているが。
それについても、同じことだ。 もちろん、放射性物質を含む汚染水を海に放出せずに済めば良かった。だが放射線が最も危険なのは濃縮した状態だ。広い海に流せば、希薄化する。海への放出は、現状で考え得る最善の選択肢なのだ。
一部を抜粋するとこんな感じですが、こんな感じで淡々としたQ&Aの記事になっています。
しかし、全体として感じるのは「被曝治療の権威」ロバート・ゲイル博士の話している内容は日本の「御用学者」と似たり寄ったりということです。
となると、何が本当か解らなくなってきます。
ここで、デタラメでも何でも良いから、自分の頭で考えてみます。
プルトニウム239の半減期は2万4千年です。
日本でプルトニウムが環境中にばらまかれたのはこれが初めてではありません。1945年(昭和20年)8月9日に長崎に投下された原子爆弾がプルトニウムを用いた原子爆弾でした。
だとするなら、長崎は今でも全く近寄ることのできない土地であるはずですが、現実はそうではありません。
環境中で希釈されたか、或いはロバート・ゲイル博士がインタビューの中で 放射性セシウム137の半減期(放射線量が半分になるまでの期間)は30年だが、これはいわば実験室のガラス瓶の中での話だ。現実の自然界では雨や浸食によって、もっと速く減っていく。と語っていることから同様に雨や浸食でもっと早く放射能が減ったと考えられます。
また、各国が核開発競争を繰り広げ、核実験を盛んに行っていた時代には環境中の放射性物質の量は今よりずっと多かったといいます。
つまり、放射性物質が出ていることは確かであるけど、少なくとも急死するような量ではなく、あるとしても長期的に僅かな確率で発がんの確率が増える程度というのが実際のところかと思います。
Twitterで「放射線を浴びると孫の代まで3代カタワになる」なんてTweetを拡散している人もいますが、何か根拠があるのでしょうか。
●決定的に足りないのは定量的な分析
今回の放射性物質漏洩でとにかく足りないのは定量的な分析であると思うのです。
何がどの程度大気中に飛んでいるのか、飛散した放射性物質によって我々はどの程度の放射線を浴びるのか、農産物、魚介類にどの程度放射性物質が付着しているのか、わかりにくいし、出てきた数値を判断するのに必要な知識が我々に備わっていないことにあると思います。
放射線について自分なりに勉強すべきだと思うし、それができないなら歴史的な事例を参考にしながら現状に当てはめて判断していく必要があると思います。