◆『ピクセル』(2015年)
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以前から少し気になっていたものの、わざわざ借りて観ようとまでは思わなかった映画だけど、今年BS日テレが字幕版を放送してくれたのを録画していて、今更ながらに観てみた。
冒頭、82年に行われたゲーム大会から物語が始まるのだけど、いきなり時代考証がメチャクチャすぎてズッコケそうになった(笑)
82年という設定なのに、会場にベストキッドのミヤギさんになりきった?コスプレイヤーがいたり(ベストキッドはアメリカで84年公開)、85年に誕生したはずのUFOキャッチャーが既にあったり(しかも景品のチューバッカのマスクのパッケージが現代の物としか思えないクオリティ)、スポンサーとして任天堂やコナミの名前があったりと、80年代を知るゲームファンから見たらあまりにもいい加減すぎてガッカリしてしまいかねない。
ある意味ゲームが主役のような映画なのに、どうしてそこまで手抜きが出来るのかと(笑)
実際、全編に渡ってこのような悪ノリの力技で強引に進んでいく。
「こまけえこたぁ気にしねえ。みんながハッピーになれればそれでいいじゃん」と言わんばかりに。
登場キャラは誰も不幸にならないし、何だかんだで最後はみんなの夢が叶ってしまう。
これだけ現実離れしたファンタジーは久々に見た(笑)
楽天的な映画が多かった80年代でさえ、ここまで超お気楽な映画は無かったんじゃないだろうか。
もはや「ご都合主義」なんて言葉など軽く超越してしまっている(笑)
リアルでダークな作風ばかり溢れ返っている現代において、それとは思いっきり真逆を行くこのような映画が出てきた事自体が奇跡のように思えてくる。
本来なら、こういう映画をずっと心待ちにしていたはずなので、両手を挙げて絶賛しまくりたいところなんだけど・・・いくつかの理由によって、残念ながらノリきれなかった。
●理由その1「悪ノリし過ぎでついていけない」
そう、確かにこんな時代だからこそ荒唐無稽で楽しい映画を!という願望を当ブログでも何度も書いてきた。
しかし、ここまで何でもアリの世界観だと、あまりにもバカバカし過ぎて笑えなくなってしまうのだ。
やはり何事もバランス(さじ加減)というのが一番大事という事だろう。
●理由その2「登場するゲームがクラシックすぎる」
本作に登場するゲーム『パックマン』『ギャラガ』などは、残念ながら僕の子供時代でさえ既に古いゲームという印象だったので、個人的には全く刺さらなかった。
唯一、ゲーセンでプレイした記憶がある『ドンキーコング』に少しだけ思い入れがある程度だろうか。
もし、登場するゲームが85~90年代前期辺りだったら、この映画に対する感想も全く違ったものになっていただろう。
色々と書いたけど、決してつまらなかったわけではないし、嫌いなわけでもない。
登場キャラはみんなどこか憎めないし、やはりこれだけ能天気な映画は今時珍しいので、観ていて楽しい感覚はあった。
登場するオタクキャラの1人がパーティで歌を披露するシーンがあって、ティアーズ・フォー・フィアーズの『Everybody Wants To Rule The World』をいきなり歌い始めた時は、驚きとメロディラインの美しさによって一気に鳥肌が立ってしまったし。
この曲は、今年『バンブルビー』のサントラを通して出会った80年代のヒット曲で、サントラの中でも特に大好きで思い入れが強い曲なんだけど・・・このオタク野郎が歌いながら腰を振ったりと悪ノリしまくったせいで、せっかくの名曲が台無しに(泣)
バンブルビー (オリジナル・サウンドトラック)
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「よりにもよって大好きな曲をネタにしやがって、馬鹿にしてんのか!」と、ちょっとだけムカついたけど、この曲をフィーチャーしてくれた事が嬉しくもあり、かなり複雑な気分にさせられた(笑)
(問題のシーン↓)
微妙に歌が上手いところがまたモヤモヤさせられるんだよなぁ(笑)
ナルシスト丸出しなアレンジを加える所がメチャクチャ鼻につくし(笑)
でも、ほんとこの曲自体は何度聴いてもたまらん。
というわけで、僕がコメディ映画好きならもっと楽しめていたかもしれないけど、残念ながらここまでコテコテのコメディはノリきれないタチなので、この映画の満足度は・・・86点といったところかな。
大して面白いわけでもなかったのに、何だかんだで高得点だな(笑)
でも、そういう不思議な映画だった。
◆『フォーエバーフレンズ』(89年日本公開)
フォーエバーフレンズ [DVD]
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BSプレミアムで放送された字幕版を鑑賞。
80年代の作品という事で観るのを楽しみにしていた。
単刀直入な感想としては、純粋な感性を持つ人だったら観て損する事はまず無いと断言できるし、観ないと絶対に損をする類の素晴らしい名作だった。
幼い頃に偶然出会った2人の女性が、互いを励まし合ったり、時には衝突したりしながらも、肉親や異性よりも深い絆を築いていくといった話。
良い意味で、2時間がとてつもなく長く感じられた。
たった2時間という時間の中に、2人の女性を巡る壮大な人生がギューッと凝縮されていたというか。
昨年出会った80年代の映画『殺したい女』が大好な自分としては、主演がベット・ミドラーという時点で、まずつまらない事は無いだろうと期待していたけど、そのハードルを軽く超えてきた。
やはりこの女優さんは凄い。
本作では売れっ子歌手の設定なので歌も披露するのだが、それがまた抜群に素晴らしいのだ。
彼女が劇中で歌う『愛は翼に乗って』は89年にシングルが発売され、ビルボードの総合チャートで1位を獲得し、グラミー賞なども獲得したらしい。
この曲に代表されるように、本作では彼女が歌う曲がどれも素晴らしく、本作が紛れもない名作だと確信させる大きな要因にもなっている。
『シングストリート』もそうだったけど、やはり音楽でストーリーを語るような映画は他の何よりも素晴らしいと感じてしまう。
この映画を観ながら、ふと気づいた事がある。
日本で92年に放送された『素顔のままで』というドラマに設定がソックリなのだ。
このドラマの主題歌『君がいるだけで』をきっかけにして米米CLUBのファンになったので、自分にとっても思い出深いドラマだったりする。
そして、映画が進むにつれ『素顔のままで』がこの映画のパクリである事を確信するのだった(笑)
なんせ最後の切ない結末まで同じだったからなぁ。
あのドラマ、当時リアルタイムで一度観たきりだけど、大筋は今でも大体覚えてるから。
ドラマで中森明菜さんが演じていたダンサーがこの映画のベット・ミドラーという事だったのだろう。
相方が美人という設定まで全く同じで、ドラマの安田成美さんも本当に綺麗で可愛かったけど、本作のバーバラ・ハーシーという女優さんもルックス、演技力、存在感と全て良かった。
80年代の洋画は本当に音楽が魅力的な作品ばかりだ。
音楽が素晴らしいだけで、映画の魅力は10倍増しになる。
映画において、音楽というのはそれだけ重大かつ重要な存在なのだ。
近年の映画がなかなか記憶に残り辛い原因も、良い音楽が少ないからだと思っている。
それにしても、これだけの名作なのに未だにBDが出ていないとか、ちょっと扱いがおかしいというか、過小評価され過ぎな気がする。
それだけに、今回BDに保存できたのは貴重だった。
他のベット・ミドラー主演作もますます観たくなってきた。
この映画の満足度は・・・97点!!