輸出管理強化で誰への優遇措置が解除されるのか? | 時事問題 最近のニュース

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韓国が、日本への輸出管理の優遇措置を解除するとの報道がありましたね

 

いわゆるホワイト国から除外するってやつです

 

日本も、韓国をいわゆるホワイト国から外し、韓国への優遇措置をやめます

 

この優遇措置は誰を優遇しているのか?

 

 

報道やSNSなどで出ている話を見ていて、どうも実態とは隔たっているんじゃないかという気がしています

 

世耕大臣のツイートはもっともなことを言ってますが、間違ってはいないものの見た人が実態を誤解する内容でもあるのかなと感じています

 

輸出管理を優遇してやっていたのを優遇措置解除して、通常にしたんだって言い方も違和感があるし、各社報道に関しては、取材をちゃんとしているのか?と疑問に思う報道がほんとに多いです(輸出管理問題に限らずですけれど)

 

経産省の元貿易管理の部長の細川さんが空騒ぎだって、テレビで言ってましたが、ほんと空騒ぎなんですよね

 

 

グローバル企業、輸出を通常業務として行っている企業の多くは、社内の貿易コンプライアンス体制を整えています

 

貿易コンプライアンスの社内体制を構築していること、取引相手の審査(事業内容や用途)を行ってから取引を行うこと、輸出取引のエビデンスを管理し保管すること、リスト規制の該当非該当の該非判定を適切に行なって判定結果に応じた社内の輸出承認手続きを経て輸出することなどなど、日常からやってると思います

 

取引を行う企業とは、取引契約を結んだり、秘密保持契約を結んだりもします

 

海外(国内非居住者)の相手は、モノを送る、情報を送る、打ち合わせする、出張するなど行う前に、取引相手の社内審査を行ってエビデンスを残します

 

そして、都度取引を行う際に、社内の審査が通っている相手がどうかを確認して取引を行うんです

 

韓国の企業だろうと、アメリカの企業だろうと、EUも、中国も同じように、相手の事業所の場所、事業内容、目的を確認しておくのです

 

グーグルやアップルに対してだってそうですし、自分のグループ会社以外の日本企業の海外現地法人だって確認します

 

 

 

リスト規制の該当品を輸出するには国(経産大臣)の許可が必要になります

 

このリスト規制の該当品目がたくさんあるので、輸出に対する影響が大きい、大変だという話が出てくるわけです

 

しかし、みんながみんな国の許可が必要かって言うとそうではありません

 

ホワイト国の場合は、一般包括許可(ホワイト包括)という制度があり、貿易コンプライアンス体制がそれほど整っていない日本の企業でも輸出取引ごとに国の個別許可をとらなくても、一般包括許可をとっておけば、各社の判断で輸出ができるようになります

 

相手がホワイト国の企業なら、その国から外に出る際の輸出管理がしっかりしているから、日本からその国に輸出する企業の体制が少々整ってなくても大丈夫だっていう制度だと認識してました

 

 

貿易コンプライアンス体制が整っている企業は、この一般包括許可ではなく、特別一般包括許可(特一包括)というのを使います

 

特一包括は、ホワイト国でもホワイト国でなくても、各社の輸出管理体制の中で許可をとって輸出できます

 

こちらは、相手がホワイト国、ホワイト国以外に関わらず、日本の輸出企業が輸出品目や相手先をしっかり確認して輸出する体制が整っているから、各企業にまかせておいて大丈夫だっていう制度だと思います

 

各企業は常時相手を確認し、輸出品目を確認して、輸出を行う体制を整備して輸出を行っているわけで、管理のエビデンスも残していて、しっかり管理しているかときどき監査も受けます

 

 

ホワイト国から外して、優遇措置を解除するということは、日本国内の輸出する企業に対して、今までは多少甘い体制でも輸出できるようにしていたけれども、しっかり管理していないところは国が管理するぞ、勝手に輸出はさせないぞってことなんですよね

 

今まで特一包括をとらずに輸出を行っていた日本企業に対しての優遇措置解除だと思うのです

 

体制が整っていない国内企業に対しての優遇措置解除です

 

ホワイト国から外された側の国の企業は、たぶん大して追加の作業が発生するわけではありません

 

ちょっと待たないとならないことが多くなるかもしれません

 

日本側の今まで一般包括許可で輸出を行っていた企業がそのままの体制でリスト規制該当品を輸出するなら、国の個別許可が必要になるので、個別許可用の書類を揃えて許可をもらわないとならないので、手続きの手間は増えるでしょう

 

 

個別許可についてなのですが、膨大な書類が必要になると報道されたり、誰かが言っていたりするのですが、どうなんでしょう?見たのでしょうか?

 

個別許可が課せられた3品目の個別許可が出始めたという発表はありましたので、国に書類を揃えて提出して個別許可を受けたのでしょう

 

 

特一包括をとっていても、社内での承認手続きのため書類は少なからず揃えて、管理・保管します

 

リスト規制該当品でも特例があって、特一包括許可が必要ないこともあるのですが、特一包括許可で輸出する場合は書類を揃えて承認を通す必要があります

 

許可不要の品目に比べて、けっこう手間がかかって面倒で気も使うのですが、リスト規制の該当品を輸出する際には日常的にやっていることなんです

 

日常業務、通常営業です

 

一般包括許可でしか取引していなくて、影響が大きいという企業が日本国内にどれくらいあるんだろうか?

 

中国とかの税関で止められて時間がかかることがたまにあるというほうが影響が大きかったくらいの話です

 

 

 

 

結局は、空騒ぎですし、相手を優遇してやっていたんだという上から目線の話でもない

 

 

 

 

韓国から優遇措置解除というのも日本がやっていることと同様であれば、たいした影響のある話ではないでしょう

 

DRAMやギャラクシーが来なくなるっていう話ではない

 

キムチやパプリカは食料品なので、そもそも輸出管理対象じゃないしね

 

 

 

あと、サムスンに輸出したリスト規制品が、中国のサムスンの工場に輸出されていたのが問題だって言う人がいるのですが、日本からの輸出の場合は、アメリカとは違って再輸出規制はないので韓国の輸出管理法制を守って中国に輸出していたのであれば特に問題はないと思いますし、日本側にあらかじめ言っておく義務があるわけでもない

 

その部分が日本から見て、使途不明だから確認したいということだったのであれば、中国にあるサムスンの工場に半導体製造のために送りましたと言えば済む話

 

だから使途不明とか管理体制不十分というのは、ここの話ではないと思う

 

日本企業は、あらかじめ最終需要者がわかっている場合は、最終需要者の確認を取っておく必要はありますが、これはあらかじめわかっている場合というもので、必ず最終需要者を突き止めてから輸出せよという話でもないようです

 

まあ、何に使うのって確認していれば、だいたいどこで使おうとしているかもわかることは多いと思いますが、輸出してから需要者が変わることもありますし

 

サムスンに輸出したリスト規制品が、中国のサムスンの工場に輸出されていたという問題

 

サムスンが中国への再輸出を常態化していて、それを日本側は知らずに輸出していたというのであれば、これは日本の輸出企業の最終需要者確認の不足の問題ではないかと思います

 

包括許可とって輸出しているのに、最終需要者の確認をしっかりしないで輸出しちゃだめじゃないかって

 

日本側の輸出管理体制が甘いってことになるじゃないかって

 

サムスンが最終需要者を意図的に隠す話でもないと思いますが、継続的に半導体製造のために輸出するのにどこで使われるのか確認しないまま出すのも確認不足ということになりそう

 

韓国の国の輸出管理体制としては、サムスンが輸出を行う際に、輸出先と用途確認ができていればいいと思います

 

日本には再輸出規制がアメリカとは違って制度が無いので、日本産品かどうかのチェックはないと思います

 

日本から来た規制品なのかどうかは、韓国の国の管理体制としては、特に問題にならなくて、確認しなければならないことでもない

 

だから、このサムスンの取引が使途不明だとか韓国の輸出管理体制不十分という話ではないのだろうと思います