10月5日14時40分 みなとみらいホール

務川慧悟(ピアノ)

ショパン:3つのマズルカ Op.50
即興曲 第3番 変ト長調 Op.51
バラード 第4番 ヘ短調 Op.52
ポロネーズ 第6番 変イ長調「英雄」Op.53
スケルツォ 第4番 ホ長調 Op.54
アンコール
2024年に発見されたワルツイ短調
練習曲 作品10 革命

今日も務川さんのリサイタル、何も考えないでチケットを取ったんだが、追っかけをやってるみたいで気恥ずかしい
会場は昨日にも増してマダム層が多いが、今日は箱が大きいせいか満席とは行かなかったようだ

彼のショパンは数曲聴いたことがあるだけで、い時間程度のミニコンサートではあるが、オールショパンは楽しみ
開始前のショートトークで、自分はラベルの人のように思われているが、実はショパンが好きなこと
リサイタルの選曲が1842年32歳の作品であること、その年の初頭にショパンは大切な人を2人喪っていたという背景があるが、
美川さん自身は本当は42年より後の作品の方に惹かれることなどが語られた
以下の感想は簡単に

最初のマズルカは何れも聴き覚えのない曲、興味深く聴いた
即興曲は実に趣のある演奏で務川さんがショパン弾きとしても優秀であると感じた、
バラードはショパン自身の人生を思わせるようなドラマティックな演奏
そして英雄ポロネーズは快活に、個人的にはこの曲を聴くとどうしても大映TVの赤いシリーズを思い出してしまう
スケルツォは正直ピンと来なかった、どうしても交響曲とかで形成されたスケルツォとイメージが隔離する

アンコールのワルツはあっという間に終わった、完成作と呼べるレベルではないのでは
本当のアンコールの革命の演奏が終わると多くのマダムたちがスタンディングで拍手を送っていた
今後の、43年以降のシリーズに期待だ

10月4日15時  ティアラこうとう

指揮:高関 健(常任指揮者)
ピアノ:務川 慧悟

ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
ラヴェル:道化師の朝の歌
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲
アンコール
ラベル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル:ラ・ヴァルス

今日は今年度のティアラ定期の終尾を飾るオールラベルプロ、最近のティアラ定期は完売続きなので、このコンサートのために会員になったと云っても過言ではない
また、来年はホールが保守で休館となるのでティアラ定期は無いので、この地には当分来ないだろうと思いながらホールに向かうと、急に土砂降り

プレトークでは、ラベルは晩年の数年は寡作だったが、その中で今日のピアノ協奏曲 ト長調(以下両手)、左手、ラ・ヴァルス、その他ボレロが作曲され、展覧会の絵などオーケストラ編曲を行っていたことが語られ
また左手は依頼者のウィトゲンシュタインがラベルの楽譜をかなり改編して演奏していたことは知っていたが、初演から6年間はウィトゲンシュタインに演奏の権利を持ち、ラベルは楽譜も出版できなかったという話は初めて聴いた
ウィトゲンシュタインの演奏に満足できなかったラベルは初演から6年後改編されていない楽譜を出版し、その年に亡くなったという
高関さんの凄いのは、今回ラベルの自筆譜にあたり、出版時に生じた100カ所以上のミスを修正したという点で、この辺は本当に徹底している
ピアノ譜にも変更があり、務川さんにも修正した版で演奏することで了解をえているという
同じ作業をラ・ヴァルスについても行い、150カ所程度の修正があったという、「皆さん聴いても多分分からないでしょうが」と笑っていたが
シティのライブラリアンって大変そう

最初の、高雅で感傷的なワルツは原曲はピアノ、自身の編曲によるオケ版は小編成で、各パートの数は数えてないがCbが4、コンマスは戸澤さん
全体的にゆったりとした感じで、演奏にもあまりメリハリがなく、正直うわの空で聴いていた
曲がそれほどポピュラーでないこともあって、全8曲が終わっても聴衆からはなかなか拍手が起きず、高関さんがお辞儀をしてようやく拍手となった

道化師の朝の歌もピアノ原曲から編曲、ピアノ版の方は今年の務川さんの浜離宮のリサイタルで聴いたが、管弦楽版の演奏は比較的レア、こちらのオケは14型に増員
曲想は明るく派手な演奏、個人的には1曲目と演奏順を入れ替えたらよかったのにと思った

そして両手、ラベルを得意とする務川さんだが、私は協奏曲を聴くのは今回が初めて
意外にも務川さんが公に両手を初めて演奏したのは一年前、聴きに行きたかったのだが、共演は川瀬さん、センチュリー響ということで、演奏会場は何と大阪の豊中ということで、遠征は断念した
また、務川さんの協奏曲を聴くのも久しぶりで、もしかしたら前回のシティフィルとのグリーグ以来かもしれない
そのときの務川さんの楽譜の読みの深さと、リハーサルへ臨む姿を高関さんはべた褒めしており、それが今回の招聘にもつながったのだろう

オケは再び弦を減らして小規模編成に
演奏は期待通り、1、3楽章は派手な部分だけが注目されがちだが、グリッサンドの一音一音の強弱にまで気持ちが行き届いたと思わせるような繊細な演奏だった
2楽章のカデンツァは聴き惚れるしかなく、それを受けた木管も良かった、特にFlの多久和さん、竹山さんが抜けてどうなるかと思ったけど多久和が来てくれて本当に良かった

休憩後は左手、オケは14型に増量、最初のコントラファゴットが心配だったが、ギリギリ聴こえたので良しとする、そして曲は次第に盛り上がる
そこで突如としてカデンツァが始まりそれが延々と続く展開は破天荒で正にラベルしか思いつかなかっただろう
実は今年は既に3回左手を利いており、その中では今日の演奏が最良のものであることは間違いないが、自分としてはこの曲をどのように聴いたらいいのか迷っている部分が有る
左手は全体に派手で、その意味では去年沖澤さんのN響定期で聴いたピアニストの方が迫力はあったが、中間の抒情的な部分では務川さんお演奏の方が勝っていたようにも思える
アンコールは、予想通りの選曲、実にゆったりと演奏され、客席では音を立てるものは殆ど無く、聴衆はそれに聴き入った

そして、最後は最高に盛り上がるラ・ヴァルス
ピアノをステージ脇に寄せ、総譜が指揮台の前に置かれるが、指揮台に上がった高関さんは、やおら開かれた譜面をパタリと閉じて、タクトを振り下ろす、並々ならぬ気合いだ
曲中で高関さんは、確認しただけでも5回ジャンプした、ジャンプは古くはレニー、日本では山和のお家芸かと思っていたが、意外な伏兵が現れた
実に痛快なコンサートであった


9月28日14時  ミューザ川崎
指揮:ジョナサン・ノット
ソプラノ:カタリナ・コンラディ
メゾソプラノ:アンナ・ルチア・リヒター
エヴァンゲリスト(テノール):ヴェルナー・ギューラ
イエス(バリトン):ミヒャエル・ナジ
テノール:櫻田亮
バリトン:萩原潤
バス:加藤宏隆
合唱:東響コーラス
合唱指揮:三澤洋史
児童合唱:東京少年少女合唱隊
児童合唱指揮:長谷川久恵

現代オーケストラの演奏会で採り上げられる機会が少ないマタイだがノット監督がラストイヤーに採り上げてくれた
今年は先だっては戦争レクイエムの公演も有り、東響コーラスは大忙しであろう
ステージには左に小林コンマス率いる第1オケ、右に新たに就任した景山コンマス率いる第2オケが配置され、その背後に東響コーラス、
歌手陣はステージ中央左にギューラとリヒター、左端に萩原、加藤、中央右にナジ、コンラディ、右端に櫻田が配され、
そしてP席の左上に児童合唱が配され、中央に電光表示装置が設置されていた

マタイの曲自体は十代からアルヒーフのカール・リヒター盤で聴いていたが、実演では数年前BCJの演奏を聴いたのが初めてなので、多くを語る資格は無いのだが、敢えて感想を述べる
以前聴いたBCJの演奏が、オケ、合唱共に小編成だったのに比べ、今日はオケも、コーラスも圧倒的に厚かったので、演奏開始からいきなり胸が熱くなってしまった
多少アンサンブルに不安定な瞬間も有ったが、各楽器のソロやデュオが明確に提示されるので曲の構成に対する理解が多少深まったように思える

歌手陣は全員素晴らしかった!!称賛する形容詞が足りないので、この言葉で括らせて頂きます
敢えて言うなら、日本人歌手陣の歌唱が良かった!

さて、今回最も印象に残ったのは、オケでは、Flの竹山さんです、
そして声楽は、児童合唱も良かったのだけれど、勿論東響コーラス、暗譜での歌唱は圧巻でした
終演後、東京コーラスの退場を拍手で讃え、続けてノットのソロアンコールをなっていると、ノットは景山さんを捕獲し、小林さんを引き連れて再登場しました