レース直前に突如降りだした暴風雨もスタートの頃にはやんだ。あまりにすごい量の雨がいっぺんに降ったせいもあってか、勝ちタイム1分34秒5は近年では久々に「普通」の時計。数字的なインパクトはなかったが、勝ったカレンブラックヒルが見せたレースは内容的なインパクトは十分だった。
行く馬がいないと見るやすかさず先手をとったカレンブラックヒル。平均からやや遅いペースとはいえ、自分で競馬を作ってそのまま後続を置き去りにする内容は圧巻の一言。キャリア4戦目でマイルGⅠを3馬身半も離しての圧勝は大したものである。スピードだけで押し切ったデビュー戦、少し抑えた分差は開かなかった2戦目。番手に控えて脚をためられた前走と、自分で競馬を作った今回。たったの4戦で目に見えて成長しており、上積みも十分。久々にマイル路線に楽しみな馬が出てきた。
無敗での同レース制覇はエルコンドルパサー以来、ニュージーランドトロフィーが中山に移ってから、同レース勝ち馬が本番も連勝するのは初めてなど、何かとただものではなさそうな要素を引き連れての戴冠。距離延長がどう出るかは未知数だが、鞍上の意のままにレースができるので2000mまではこなせるだろう。最近のスピード色の強い日本の競馬に一番順応しそうな馬である。
これが初めてのGⅠ制覇となった秋山騎手。普段から比較的きれいな競馬をするジョッキーだが、ゆえに接戦だったり、前からそう差がない位置にいてもしっかり追わないことがあり、個人的にはあまりいい印象がなかったのが正直なところ。ただ、今回は直線でのアクションを見ると、上体をかなり動かしていたし、インタビューでも話していたようにすごく必死だったのが伝わってきた。07年オークスのべッラレイアで2着に敗れたときは、先行して同馬の持ち味を活かせなかったが、今回はスピード溢れるカレンブラックヒルの長所をいかんなく発揮した。このレースに賭ける思いはただならぬものだったのだろう。
勝ち馬から3馬身半離された2着争いを制したのは2歳王者アルフレード。道悪のスプリングステークスではまったくらしさが見られず、今回は3番人気に甘んじたが、なんとか面目は保った。勝ち馬を見る絶好の位置取りで運びながら、直線でむしろ離されてしまったあたり、まだ完調ではないのだろう。母系にスプリント色が強く距離延長はよくないといわれているが、雄大なフットワークと瞬発力を考えると、2400mもこなせるように思う。次走は現段階では未定のようだが、瞬発力を活かせるような一昨年のような展開になれば、ダービーでも好勝負できるのではないだろうか。
微差で3着のクラレントはようやくこの馬らしさが見れた。悪条件の重なっていた近走を考えればこれくらいは走れる馬だが、今回は道中行きたがる素振りを見せるなど気合乗りが違った。調教内容も良化しているし、着実に成長を遂げている。向かうと思われるダービーでは相手も手強いが、この馬の走りができれば素質は引けを取らないはずだ。アルフレードもそうだが、直前の雨で上滑りのする馬場になったのは嬉しくなかった。
オリービンは大外枠で厳しい競馬を強いられたNZTとは打って変わってスムーズな競馬ができた。切れる脚が使えるわけではなく、抜け出すと甘くなるなど現状では課題も多いが、しぶとく脚が使えるし、成長すればゆくゆくは大きな存在になるかもしれない。
繰り上がり6着のジャスタウェイは中間順調さを欠いたせいもあってか、馬体が減りすぎていた。大外からこの馬らしい切れ味は見せているが、万全の体調ならもっと上の着順だったはず。昨夏のデビュー時から20キロも減っており、しばらく休ませるべき。素質は高いので末脚の活きる条件なら面白い。毎日王冠でどうだ。
ハナズゴールもまた、体調が万全とはいえなかった。仕掛けられた時の反応はさすがのものがあったが、最後は脚色が一緒になってしまった。桜花賞を使えていたら間違いなく好勝負できただろうし、そう考えるともったいなかった。オークスに向かう話もあるようだが、距離云々より体調との戦いになりそうだ。
マウントシャスタは6位で入線したものの、シゲルスダチの走行を妨害して失格。内にもたれたところにシゲルスダチが入って接触してしまった形。岩田騎手が誘導したというとらえ方もできるが、どちらかと言えば馬のヨレ癖によるものが大きかったような気がする。そこに、馬の動きを大きくしようとする岩田騎手の騎乗スタイルが悪い方にマッチしてしまった。遠まわしな言い方をしたが、つまりは手が合うコンビではない。
マウントシャスタの場合、これまでのレースでも幾度となくフラフラした走りをしていた。一頭になった時だけに出る癖だと考えていたが、今回馬群の中でも同じ癖が出てしまったということは、まだまだ心身共に出来上がっていない。素質は高いものを持っているが、今回のレースでも決して弾けそうな手ごたえではなかった。現状ではGⅠの舞台は荷が重い。
モンストールやメジャーアスリートなどは落馬の影響もあってかまともな競馬をしていない。条件次第では次走の巻き返しに警戒したい。