阪神ジュベナイルフィリーズからGⅠに挑戦し続けること6度目にして、ついにホエールキャプチャがGⅠタイトルを手にした。
クィーンズバーンが平均ペースで引っ張る中、3番手のインでじっくり折り合ったホエールキャプチャ。直線に向いてもじっと我慢し、坂を登りきったところで仕掛けられると、外のドナウブルーを封じ込んでゴールに飛び込んだ。なかなか勝ちきれないレースが続いてたが、一頭になると気を抜きがちなこの馬を、横山典騎手は見事に乗りこなして見せた。
去年のクラシックでは外を回せば内をすくわれ、後方で我慢すれば前の馬に残られ・・・となにかと思い通りの競馬ができなかったホエールキャプチャだが、これまでの鬱憤を晴らすかのように、理想的な競馬をすることができた。もともと力はある馬で、自分の競馬ができればこれだけの走りができるのは当然なのだが、今後も何か一つ違うと善戦どまりになってしまうようなキャラクターになると考えたほうがいいかもしれない。
微差の2着に敗れたドナウブルー。2番手を進み、勝負所でも余力十分。坂下でさあ行くぞという時に、外へ外へ膨れて行ってしまった。この春3戦目でのGⅠ挑戦であることと、これまでの戦績を見て考えると、もしかしたら坂が苦手なのかもしれない。脚が十分残っていた割に坂を登り始めると手応えはエーシンハーバーに劣っていたし、おそらく馬自身今回で力を出し切ってしまっているだろう。しっかり休んで充電して、マイルチャンピオンシップを楽しみに待ちたい。
ウィリアムズ騎手はレース後「馬体が合っていたら勝っていた」との談話を残したが、馬体が合っていたらホエールキャプチャがもっと力を出していたように思う。ウィリアムズ騎手にとって誤算だったのは、前の9Rで自身が騎乗したイイデステップが内から何頭分かを開けて走って勝利したことだろう。まさか内からすくわれるとは思わなかったはずだ。ドナウブルー自身が外によれた分もあるが、彼自身もまた外ならもっと伸びると感じていたかもしれない。
桜花賞馬マルセリーナが接戦を制して3着。最内枠ということもあり、ある程度の位置をとりにいかなければならなかったのは仕方ないが、本来はじっくり脚をためて乗りたい馬だけに、いろいろ合わない条件が重なってしまった感。しかし桜花賞やオークスで見せたような弾けるようなフットワークがどうも最近は影を潜めてしまっているような気がする。末脚を生かす競馬でどれだけの走りができるかが今後のカギになるが、中距離くらいのほうがかえって競馬はしやすいような気がするがどうだろう。
昨年の覇者アパパネは5着に敗れた。外枠だった昨年と違う、ゴチャゴチャした馬群の中でプレッシャーをかけられ続ける競馬は嬉しくなかった。直線もじりじりと伸びてはいるが、馬群を割って突き抜けるほどの手応えではなかった。ゴール前は3着争いの接戦に加わってはいたが、なんとか抜いてやろうという根性も見られなかった。
パドックで見たときは、これまでのどこか硬い脚さばきが今回は妙にゆったりしていて、のんびりしているように見えた。落ち着きがありいいと思ったが、普段は意地を張って一度は立ち止まるゲート入りも、府中牝馬Sの時ほどではないが、自然と入っていた。気持ち的にどこか前向き差が欠けているのかもしれない。これが休み明けのレースなら許容範囲なのだが、一度叩かれてもなお気合乗りが足りないというのは少し不思議である。年齢を重ねて落ち着きが出てきたこともあるだろうし、昨年同様安田記念に出走してきたら、意外と今回以上に走れるのではないだろうか。
期待したスプリングサンダーは出遅れてシンガリからの競馬を余儀なくされてしまった。馬群も密集しており大外を回らざるを得なかったのももったいなかった。この馬らしい伸び脚は見せたが、先行勢に好きなように競馬をされたら仕方がない。再度期待したいところ。
2番人気に推されながらまったくらしさが見られなかったオールザットジャズ。ギリギリまで仕上げたとの陣営のコメントがあったが、パドックではずっとうるさいところを見せていたし、少々仕上げすぎたのかもしれない。また、この馬自身切れ味はトップクラスのものがあるが、広いコースでの瞬発力勝負より、小回りコースで、コーナーごとに息を入れながらの競馬のほうが合うのかもしれない。タニノギムレット産駒にしてはかなり異色の存在になりそうな雰囲気。
アプリコットフィズは昨年の今頃のスランプ時と同様に、勝負どころで舌を出して集中力を切らしてしまっている。少しでも気に入らないことがあるとすぐにレースをやめてしまうような繊細な気持ちの持ち主なのかもしれない。潜在能力は間違いなく上位だが、こういった大舞台でこの馬らしいパフォーマンスが見られないのは残念。
フミノイマージンは外のオールザットジャズに終始フタをされ続け、エンジンがかかったのが残り100mを切ってから。これでは当然競馬になるはずもなく、参考外の一戦と言える。東京新聞杯と同じような競馬ができれば間違いなく好勝負できるはずだったのだが・・・
ちなみにこの際なので言わせていただきたいが、一体なぜ乗り慣れた鞍上をGⅠの大舞台で変えたのだろう。もちろん大きなレースほど、巧いジョッキーに乗ってもらいたい気持ちもわかるが、なんでもかんでもジョッキーを変えれば結果が良くなるわけではない。何より馬自身が、これまで自分に乗っていたパートナーが晴れ舞台で突然変わっていたら確実に戸惑う。騎手たちも個性があり騎乗スタイルは騎手によって違うので、そのスタイルが馬に合うかどうかもわからない。牝馬限定のGⅠなど年に2回しかないのだから、こういったタイミングでの鞍上変更には大きな疑問を感じた。
こうして今年の結果を過去の同レースと比べると、差して切れ味を生かす馬より、先行力があってなおかつ瞬発力のある馬が毎年上位を占めている。芝の状態もあるのかもしれないが、本当の強さを求められるという点では、7回目となったこのヴィクトリアマイルも女王決定戦として定着していると言えそうだ。