時間をもてあそぶ闇の使者
お前を操る鋼の糸は
あらゆる手段を以ってしても
断ち切ることはおろか
見ることも出来ない

あと少し後ろに下がれば
お前は自分の影が見えていた
あと少し早く振り向いていれば
こんな事にはなってなかった

殺戮と大義の間に
理解は存在しない
視点を変えていれば
愚かさに気付けたはずだ...




鏡の中に写る世界を信じるな
当たり前だと思うことは
時として間違っている

霧が掛かった朝があるように
曇り空の1日が始まるように
物事は見えない世界が必ずある

常識の範囲は誰が決める?

感覚は本当に正確なのか?

耳を澄ませば
異様な静けさが辺りに充満し

目を凝らせば
紅蓮の炎が近づくのが分かったはずだ

起こる出来事には兆しがあり
それを見落とすことにより
惨事は訪れる

偶然の積み重ねは必然となり
お前が見てきた現実を
簡単にひっくり返す



どんなに探しても
歴史や経験の中に答えはない

認識を遥かに超えた
暗闇の世界
どこまでも深くどこまでも暗い



運命に対峙し
抗い続ける限り
お前の手は
血を以って血を洗う

そこにあるものは
哀しみの山を築くための
一方的な正義でしかない

無視された警告
喚起は遠く及ばない
混沌の時代が幕を開け
絶望が一人歩きを始める

涙は枯れ果て
葛藤は忘却の彼方

慈悲無き戦い
代償は果てしない

歯車が狂い始めたら
元に戻ることはない

恐怖と狂気の横溢は
不安と緊張を飲み込んでゆく






禍々しい光に囚われた
地獄からの闇の使者

その最期が来るまで
狂い続けるがいい...

邪悪な微笑みが
永遠の空に落ちてゆく...












投げ捨てられた星のように
地に落ちた輝きは
力なく果ててしまった

静寂が包み込むように
暗闇を従えてやって来る
私たちが見てきた総ては
一つ、また一つと
ぼやけながら
黒く塗り潰されて消失する

決して諦めないという
約束を守れなかった

酷く弱った心は
立ち直ることは出来なかった


あってはならないもの
そこにあるはずも無いものに
捻じ曲げられた

哀しみの渦に巻き込まれ
何もかもがその形を崩して
俺たちの最期の言葉は
掻き消されてしまった...

見つめる先には
異様な景色が横たわる


考え得ることが出来ない

あらゆる思考を超越した

手に負えない欺瞞の群れが

非現実的な光景を操作して

目の前に繰り広がる



修復することをかたくなに拒み

悪意に満ちた意志を跳ね返せない

隙間は埋められ身動きがとれない

剥がれ落ちた偽物の内側から

新たな偽りの顔が姿を現す



真実は隠されていなかった...





無を写す赤い空
空虚を産む黒い月
冷厳を極める青い炎

苦痛の連鎖を繰り返し
次々と新たな痛みを与える

何故心の中の
同じところばかりを蝕むのか...


理解出来ない俺たちには

枠の外へ踏み出す勇気など

到底あるはずもなかった...

幕が降りるように

その人生は終焉を迎える

屈折を繰り返す乱反射の中で

静かな終わりなどあり得ない

果てし無く続く悲劇の舞台で

狂気と恐怖を演じながら終ってゆく...






突然目の前に暗澹とした世界が広がる

見渡す限り灰色で構成された静寂

進む先には赤い点滅が連なる

いずれは止まる事を余儀無くされる

果たしてこの一本道を

私は立ち止まる事が出来るのが...




曖昧でぼやけた意識の流れ
時間の間隔はゆっくりと間を伝う
感情を蔑ろにすればする程
過去の過ちを拾い上げてゆく


誰にも等しい苦痛はない

存在の意味を問う指先

自分自身を嘲笑う

消えゆく光の残像は

在りし日の姿が終焉を迎えた事を気付かせる...




私の悲しみや苦悩は

私だけのものでしかなく

お前の苦痛や虚しさは

お前だけのものなんだ


絶対的な共感や共鳴は

後にも先にも在りはしない


誰にも分からないんだ...




記憶に足を踏み外す

空虚に隠れた涙は陰

浮ついた幻影からの逃避さえ

許してくれないこの現実


それでも....


私の悲しみや苦悩は

私だけのものでしかなく

お前の苦痛や虚しさは

お前だけのものなんだ


この静寂の中で

この虚しさの中で

この孤独の中で

この現実の中で

お前にしか分からないんだ...