ひどく不安定な場所で立っている

この原因不明の病に罹ってから

真っ直ぐ立つ事が出来なくなった

いつしか心の中の嵐は吹き荒れて

取り巻く周りを遠ざけていった...



憐れむ眼差しが辛過ぎて

自分の殻に閉じこもる日々

三月半年経つうちに

すべての人々がいなくなった...



日に日に狭まる視界を

日に日に無くなる色彩を

恐怖のあまりハサミを逆手に持って

目を潰そうと何度したことだろう


最後に見えた色は赤と黒

燃えるような赤と

総てを塗り潰す黒

やがて見えなくなる両目は

平衡感覚を狂わせてゆく...



ある日僕は左腕を折る怪我をした

何かにつまずき強く打ってしまった

痛さよりも悲しかったんだ

ただ水が飲みたかった

ただそれだけだったから...



全く見えなくなっても

涙だけは流れて来た

全く見えなくなってから

起き上がることが辛くなった


光を失う前の日々が

毎日のようにこの身を傷める

当たり前の光景は

もう二度と届かない...


残酷なまでに思い出す

残酷なまでにはっきりと

この身を焦がし苦しめる

仰向けで寝ているのに

天井はいつまでも暗闇のまま...



悲しくて悲しくて

涙は止まらないけれど

本当は感謝しているよ


ありがとう母さん

ありがとう父さん

今まで本当にありがとう...

二人の顔がはっきりと見える

そんな気がしたよ

さよならも言えなかった

でも感謝していた...





本当にありがとう...

嬉しくても涙はこぼれるのかな...


ねえ母さん...

見えない空が広がっていくよ...
見えない空が僕を連れてゆく...






決して表に出さない
今までの空虚の上に

構築された偽物の思考
条件を満たせば
総てを許してもらえるのか

慟哭は冷静な感情を
壊しては積み上げてゆく

徒労と猜疑は勢いを増してゆき
そこにお前の意志はない

何度やめようとしても
無駄な努力を続けて来た

無意味な問いかけ
束の間の安息
繰り返す退廃
目を覆う光景

無知という盾で
守られていたに過ぎない

現実を目の当たりした今
絶望の淵で耳を塞ぐ

お前は自分の中に
強力な恐怖を育ててゆく

それはあたかも決められた
シナリオの文字を
なぞるかの様に...

あるがままに苦悩を受け入れよ
真実も無い嘘も無い
繋がる一点で絶望は振り下ろされる

統一性の無い様々な意識の中で
総てを黒く塗りつぶせ
暗闇で解き放つ己が地獄を
九つの絵で書き写せ
朽ち果ててゆく身体と共に
その脆弱な命を終わらせるんだ

一つの失敗
一つの必定
一つの因果
何もかもが招かれざる来訪

望みはここに絶たれた
狂気に振る舞う瞬間を
お前自身で味わうがいい



どんなに顔を背けても
現実は決して変わらない
どんなに逃げ惑っても
業火は必ずその身を焼き尽くす

心の奥底にある後悔という正気は
粉々に壊された言葉のように
哀しみの音を奏でながら
至る所で踏み躙られるだけ...




虚ろな目が暗闇を見つめる

時の接眼点は焦点を否定する

蝕まれた現実は

矢継ぎ早に苦痛を与える

輪郭が強調された恐怖からは

お前はもう逃げられない...

お前はもう逃げられない...













盲目の鳥は

例え自由だとしても

鎖に繋がれているように

そこから飛び立つことはできない


状況を変えようとしても

信じる何かを探そうとしても

取り巻く暗闇が
すべてを許さない



涙を流し助けを願っても

消えゆく空は
絶望を描くキャンパス

終わることのない
哀しみを写しては

ただ飲み込んでゆくしかないんだ…





特別な存在などなく
完璧にはほど遠い曖昧な時間


痛みを知るには十分
こと足りている


ほんの僅かに希望が見えても

すぐに始まる落胆の準備でしかないのだ



渇望は罪

救済は虚

暗黒は必


不滅の悲観主義はとどまることを知らない。

許されざる者の烙印を背に

無明の闇を歩き続けて…