小雨がぱらつく中、街の喧騒に身を沈め、行き交う雑踏を瞳に映していた。
私もまた大勢の一員であり、ただ機械的に歩いていた。
不安にさいなまれた感情は既になく、心は虚しさで満ちていた。
無くなる前に失う。
得意な結末だ…。
いつも自分が欲しいものを、手に入れようとしない。
それは、後悔よりも当たり前のこととして受け入れている。
感情のコントロールが下手なのに、冷酷になりきることはお手のもの。
そう、慣れているから…。
普段から相手が誰であろうと、会話の中に疑問符を使わない。
「なんで?」「どうして?」という類いの言葉を発しない。
それは、その相手に興味がないわけではなく、人は言ってもいいことは、聴かずとも話すと考えているから。
言わないということは、相手の中で、言っても意味がないか、言う必要がない、又は言いたくないのいずれかであると思っている。
自分から余計なことも言わないし、相手にもそれを求めない。
知らないなら知らないままでいい。
それによって誤解を招いても、その解釈を受け入れるだけ。
そう慣れているから…。
私たちは、
「生まれて、老いて、病んで、死ぬ」
この原則の中で日々葛藤している。
いずれ自分も淘汰する。
それだけのことと解っていれば、揺れ動くことはない。
言うなれば、
人生は死ぬまでの暇潰し。
いささかの子細もない。