宙組大劇『神々の土地』『クラシカルビジュー』感想② | ★F**kin' Perfect★

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徒然なるままに、つらつらと。。。

の続き右矢印

 

脚本続き。『星逢』の時も言った気がしますが、本当に無駄がない。一応のクライマックスは

“ラスプーチン暗殺”であり、演出上の見どころは“任官式”それ以外は淡々と物語が

進んでいきますが、ただ一直線に話を進めるのでなく徐々にピースを埋められていく感じ。

場面が変わるにつれ一つの画が出来上がってきて、完成に向け否応がなしに心拍数も上がる。

ただ、割と展開が早くそのピース(要素)を見逃してしまうと話についていけない危険性も注意

 

今回も割と難しい題材ですが、予習せずとも普通に観ている分には話についていけないという事は

ないと思います。ただ、少なくとも人間関係だけでも把握しておかないと「この人はどちら側の人間?

どういう関係??」なんて悩んでいる間に次のシーンに進んでしまうかも。そにれ史実を知っていると

更に理解が深まるというか、ちょっとした衣装や言動もきちんと歴史に裏打ちされているので

(何故オルガがあんな軍服風の衣装を着ているのか、ラスプーチンがすぐ死ななかったのは

アンドレなの?とかw)知っているとより興味深い。さらに主要キャスト側に常に動きがあるので

どうしても真ん中以外まで目がいかない目そういう意味では一度の観劇では観きれない作品です。

 

今回思ったのはちょっと柴田作品っぽいなと。今風の柴田先生(笑)柴田先生が文学作品なら

上田先生はクラシック映画。流れる台詞は美しく、キャストが間を取ると一緒にハッと息を呑む。

その上田先生が描き出したものを実現し昇華させたキャストの力量にも感服しきりです。

 

 

演出、セットについて。元々ライティングのセンスがある方だなとおもいましたが、今回は特に!

雪原の白と革命の赤の対比、タイミングといい、大きさと言い、細部まで計算しつくされて

ちょっとでもずれると効果が薄れるんだろうなと(照明さんおつかれさまです)

 

ラスプーチン暗殺からの革命、ラストの総踊りは圧巻の一言ですね!厳粛に歩く皇后の

マント庇護下にラスプーチン。無音の後、暗殺の一段落ち。このアレクサンドラの衣装の

広がりといい、振り返りの角度といい、上田先生の拘りが垣間見えますね。そんでもって

このシーンが本当に絵画を切り取ったかのように美しかった!りんきらも“美”だった!!

 

からの死せるラスプーチン生ける民衆を扇動し、狂乱の渦はやがて真っ赤に染まっての

“鎌と槌”革命の旗印。そして一旦グッとためて舞台に惹きつけながらのラスト総踊り。

死んだ人も皆ラストに出てくるというのはありきたりな演出なのですが(まぁ死ななくても最後

全員出てくるのはよくあるあるですけどね)演出として効果的だからよく使われるんでしょう。

 

民衆貴族入り混じり(でも決してコンスタンチンとラッダが触れ合うことはなく)皇帝一家も

現実ではありえない平和そのもので。皇后の表情がいいんですよね!イレーネとの

邂逅は在りし日の二人の姿なんでしょう。そして別れ。皇后は家族と、イレーネは一人。

真に孤独だったのはイレーネだったのか?と思っていたところにドミトリーとの再会。

一歩二歩歩いて止まる二人の距離感がいいんですよね。最高の余韻を残して幕。

個人的には踊り狂うラスプーチンにちょっと癒されましたが(笑)唯一猫背じゃないですしね!

 

今回面白いなと思ったのが、宮廷と皇太后のサロンとの比較。宮廷はアレクサンドラ好みで

どこか古風で重苦しい。一方皇太后側は先進的で小洒落た風。(舞台転換して部屋の

外と中を表現し、上手いことオルガの盗み聞きの様子がでているなと)イリナの邸宅も洗練された

品ある作りで、同じ“貴族の場所”であってもしっかり場面転換がわかりやすかったですね。

 

後は先ほど見所シーンで挙げた“任官式”本当にこれだけでも観た甲斐があるというもの。

大階段に軍服、最後客席に背を向けての敬礼。ただただカッコいいの一言ですねグッド!

 

 

音楽、衣装について。あれ?歌??ってぐらい本当にナンバーが少ない汗まぁあれ以上

歌があるとどこかしらの場面を削らざるをえないので仕方がないのかもしれませんが、

ビックリする事にヒロイン格のうららちゃんは全く歌無し。幸か不幸かですけどねダウン

今回思いっきり“美”を見せつけてくれましたし、歌が得意としていない彼女に無理に

歌わせることはないと思いますけど。トップ娘役ではないヒロインだからできた離れ業でしょう。

 

それ以外もまぁ様、真風君、ありさちゃん、まどかちゃん、ずん君ぐらい?退団するありさちゃんに

タップリ歌があったのは嬉しかったですが、ダンスシーンも少なくストレートプレイかのよう。

 

稽古場とかはあまり思わなかったですが、主題歌がいいですね。この凍てついた舞台にあってる。

他にも効果的にBGMが使われているなと。少なくとも話の転換に「ジャーン」ってことはないしw

 

セットの時も言いましたが、皇后と皇太后の対比がおもしろい。皇太后めっちゃお洒落ですよねニコニコ

最後なんて当時の最先端の服を身にまとっていましたが、その時のセリフが心に響く。

一方の皇后も衣装負けしない品格。常に「そうあらねば」と肩ひじ張って生きてきたのでしょう。

あとは軍服祭りとうららちゃんのメーテル衣装。メーテルがこんだけ似合う人も中々いないでしょう。

 

 

後に引く作品ではありますが、特にサヨナラらしい作品とは言えないでしょう。

変な話、この後にどこかで再演されたとしても演出上違和感を感じるところはない。

それでも、朝夏まなと率いる今の宙組だからこそなしえた作品。これ以上の配役は考えられない。

誰のものでもない神々の土地。その悠久なる大地に明日はただただ想いを馳せて、、、

 

『星逢』の時に『月雲』では月を見上げ、『翼人』では空を見上げ、『星逢』では星を見上げる。

次作ではいったい何を見上げるのでしょう。。。UFOとか?(笑)”なんて言ってたら本当に予想が

あたっちゃったよ(笑)という事で上田先生次回作の宇宙が舞台の初ショー楽しみにしてます!

 

 

続く右矢印