①の続き
2幕は激しく物語が動き、感情も揺すぶられるのですが。思わず涙してしまったのは半兵衛の死以上に
官兵衛と松寿の再会。作中ではあまり“絆”が描かれなかった二人でしたが、このシーンだけでも
半兵衛の新しい世への想いや官兵衛の悔恨の念、そして軍配が繋ぐ軍師としての絆が読み取れます。
このように今回主役の半兵衛以外は相互の関係性を描くことにより人物像を浮き上がらせてます。
半兵衛といね、半兵衛と三郎太、半兵衛と官兵衛、信長と濃、濃と半兵衛、濃といねetc(苛烈で短気、
自分の意は絶対曲げない割と史実通りの信長が、濃姫の言はきちんと聞き入れるところにちょっと
萌えポイントがw)その中でも一番濃く描かれていたのが秀吉と半兵衛。完全に秀吉さま2番手です。
バウでここまで専科さん(言い方はアレなんですが、コマさんやマギーさんのような新公主演経験者
でもなく)が大きな役をやられるのはあまりないような。信長や(特に)官兵衛が出番数でいったら
少なめでしたので、組子の成長のためにも専科さん以外でやってほしかったという気持ちが少し。
ですが、この役があまりにまりんさんあってのものだったのも事実。まりんさんでなければここまで
昇華していないでしょうし、まりんさんがいてくださったからこそお芝居に深みが更に増しました。
そういう意味では本当に今回秀吉やってくださってよかったと思う、複雑な気持ちです
(もし再演があるとしたならば組で賄ってほしいなと思いつつ、まりんさん以外の秀吉が思いつかない)
『BASARA』とかフィクション性が強いもの以外の史実物はあまり変に創作してほしくはないのですが。
今回フィクション(逸話の類ではなく、先生の創作)が大きく3点いねの出自、金ヶ崎の戦い、
そして官兵衛出現のタイミング。いねの話はまぁ完全に作り話とわかるものですしw(ただ、いねの
出自について特に気にしないと言っていた半兵衛がいつ調べた(気づいたのか)気になるのと、
信忠の出自が気になりますが)金ヶ崎の挟み撃ち作戦なんてないですが殿軍の悲惨さは十分に
伝わりましたし(そしてその苛烈極まる戦には光秀も最初から参加しておりました)官兵衛は
本来なら2幕の登場シーンが信長の参加に下ったタイミング(浅井・朝倉を滅ぼした後)。
2幕からとなると登場シーンがさらに少なくなるので許容範囲の創作かなと。(といっても、やはり
メインに官兵衛を出すわけにはいかない←まさかの足軽にてんてん!オーラ隠しきれてませんがなw)
(足軽といえば2幕ではぴーすけもしていましたが、こちらもソッコー「あ、ぴーだ」とわかるほどww)
と、脚本や構成自体は特に凝ったものではなくありがちではありますが、しっかりとツボを抑え
特に主役の半兵衛は“ファンが望んでいた”姿に作ってくださったと思います。ただ、それ以上に
今回は役者が更に血を通わせ肉付けしこの世界観を必死に“生きた”からこその作品だったと。
(逆にシンプルだからこそ役者が作り易かったとも)特にインパクトあった信長3武将。書きこみは
薄かったですが、柴田さんなんて柴田さん以外何物でもなかったし、丹羽さんはクールでいて
熱さもあるし、光秀の穏和さや思慮深さ、何よりいーちゃんの口跡が良くて印象深かったです。
(今回シドー君が少し影が薄かったかな?書き込みも少ないですが、もう少し役を出せたらなと)
このように演者が戦に臨むように命がけで演じたからこそのラストの涙につながったのだと思います。
とまぁ、脚本や構成自体は及第点だと思うのですが(何様やねん)気になったのは暗転の多さ。
セットも漆塗りのような階段セットと衝立?のようなのを動かすのみ。バウという規制はあるものの、
もう少ししようが。某大河ドラマのように、映像で日本地図を出したのは視覚的にわかりやすかったです。
衣装・ナンバーについて。あの鎧姿に弱いですひたすらウットリしておりました(笑)烏帽子から
はらっと落ちる髪にも弱いですw小具足姿もカイ君のオタク心満載な着こなしっぷりでしたね
また官兵衛の登場シーン爽やかな青い直垂姿も!頭を下げる横顔にウットリ(衣装関係なしw)
半兵衛もですが、官兵衛も何気史実通りの鎧姿。あのちょっとだけなのにお椀の兜が出てきてもう
と、折角ここまで頑張ったのですから、信長の鎧も気を配ってほしかったあれ、恐らく前田慶次で
大さんが着ていた鎧と同じ気がするのですが、直江はまだしも信長が大鎧ってイメージが
ナンバーについて。鈴木K先生あるあるで非常に覚えやすい(しかも作中何度も繰り返すから)
終いには一緒に「も~えて~♪」て歌いそうにw(2幕は加えて謀反ソングも加わります)
フィナーレはなくそのままカテコに。ですが、その前に白い衣裳の半兵衛といねの踊りがあり。
この二人が本当に美しくてカテコでは三郎太の立ち位置にビックリしつつ、信長さまが無駄に
マントをバサ~っとやってドヤってる姿に本編の切なさが一気に吹き飛んでいきました(笑)
(手を振るときも妙にゆっくりだったのもツボw今回割とまお君ツボだったわ~)
カイ君の単独初主演。ご本人にとってもファンにとっても大切な公演、心に残る良い作品に巡り合い
カンパニー自身が充実感にあふれているのが客席にも伝わってきました。残りわずかなのが
本当に惜しいですが、更に進化してくれると信じ!静かさと熱さを兼ね備えるカイ君らしい(むしろ
カイ君そのままな)半兵衛の半生を駆け抜けていってもらいたいと思います。
個人の感想は、、、書けたらいいなと思っています(その前に『グラホ』の感想も)