⑥ の続きこれでラスト
心優しき無頼漢(紅ゆずる)(※あちら目線)
勇ましいのに知的でクール。そんなちょい悪で渋いおじさま。今までのバトラーに抱いていたイメージ。
でもそこにいるバトラーは、スカーレットを愛しすぎて苦しむ、優しいちょっとシャイなおじさまでした。
バトラー編ではスカとの出会いが描かれていませんから、最初からバトラーはスカの事が好き。好きすぎて
オーラは溢れているんですがw割と最初の方は無表情なことが多いんですよね。バザーの時だって
少しぐらい笑ってもいいぐらい。というよりは、自分の想いを隠すためにわざと無を装っているというかw
金貨150$分の対価として愛の言葉を求めるバトラー。商売人のバトラーとしては、愛の言葉ですら
お金で買うことしかできない。(バトラーがベルを抱くのと同じような感じで)金で買えないとわかり、
代わりにアシュレが帰ってくるのを告げ、スカの方からからアシュレの面影を取り除こうとする。
ただ、嬉しそうにするスカを見て少し寂し気な表情のバトラー。「僕は君が好きだ」この時に初めてバトラーは
見てる側が嫉妬してしまうぐらいの(笑)優しげな表情をする。その表情をスカに向けてあげればいいのに~
帽子を渡すシーン。ここでも素直になれないバトラー。でもね、いくら卑しい笑みや言葉を紡いだり
無頼漢ぶっても、口元とか目元とかにやけちゃってますよ(笑)もうスカーレットをからかうのが楽しくて
仕方がないって風。そんなふざけた態度でさえ、彼女への不器用な愛情表現だったりするのだけれど。
スカを助けるためにベルに別れを告げるシーン。対した会話も絡みもないのに、二人の醸し出す雰囲気が
色っぽいスカとはまた別で、ベルは人として愛していたのかも~なんて。(ただの女性関係ならバトラーは
すぐに飽きそうだし。スカが本気で好きなのにも関わらず、まだベルと関係を持っていることから何となく)
タラへと馬車を走らせるバトラー。今までになく真剣な表情(そして何気馬車に揺られるのが上手いw)
自分のために涙を流すスカに、強引にキスし。本当はずっとこうしくて我慢していたのに、どさくさに紛れて
思わず?いや、なんとなくスカに元気を出してもらいたくてわざとヒール役に徹したのでしょうね。
タイを緩めて戦場に向かうシーン、本当に素敵だった(コロコロするシーンはレバンガと思いましたがw)
次の登場はもうスカとの結婚式。愛するスカとの結婚なのに、お愛想笑いのみで心から喜んでいなそう。
結婚がただスカがバトラーの愛を利用するためであり、心から愛してくれているわけでないから。
不器用すぎて女性が喜ぶ愛情表現はなかった。でも観れば誰でもバトラーが本気でスカーレットを
愛しているとわかる。マミーも、メラニーも、恐らくアシュレでさえ。わからないのはスカのみ。
(多分“愛されている”ということはわかるんですが、その想いの重みには気づいてないんですよね、、)
スカーレットがアシュレが好きなのも、おばさま連中の噂がただの噂なのもわかっている。でも、もうずっと
スカーレットと二人きりのはずなのにアシュレの幻影がいることに耐えられなくなったのでしょう。
泥酔状態で自分の苦悩を話すバトラー。その思いを直接スカにぶつけたれよとも思わないでもないですが、
その苦しみから狂気に駆られてスカを頭皮マッサージクルミ割りするシーンは迫真の演技!
怖いはずなのに、バトラーの苦しみや痛みがグングン伝わってきて、もの悲しくなってしまうほどでした。
一転、スカが死んでしまったのではと恐れるシーン。多分自分でも思っている以上に、スカーレットを
愛しすぎていたのでしょう。多分あの場でスカがなくなっていたとしたら、間違いなくアシュレ2号に
なっていましたねどんなに愛しても報われない愛。涙ながらに語るバトラーはまるで子供のよう。
ここでのメラニーは本当に聖母様でした(バトラーが歌う後ろで幕が締まるギリギリまで倒れるメラニーが
残り続けている事に「バトラー後ろ!」となり、折角の感動シーンを台無しにしてしまったのは内緒ですw)
メラニーの臨終。最後までバトラーの愛を理解できなかったスカ。いつまでも待っているといい実際に
待ち続けていたけれども、もう愛することに疲れてしまったんでしょうね、、、まだ愛しているとはいえ。
ナウオンでスカがポッキリ折れてしまったので彼女と別れたということを言っていましたが、スカがバトラーを
素通りした時にバトラーの方がポッキリ折れていました。それはもう、空耳効果音が聞こえるぐらい(笑)
彼女に残酷で優しい言葉を投げかけ、その場を去るバトラー。今まで彼女に見せたことない極上の笑顔を
向けるのだけれど、もっと前から(以下同文)でも、別れるからこそあの笑顔だったのかもしれませんね。
幕が開いた瞬間、思わず変な声が漏れるぐらいの超絶なカッコよさだった紅バトラースーツの着こなしが
(当たり前だけど)ロベルトより素敵で、メイクも切れ長風でよかった(初日映像よりメイクよかったですよ!)
役作りも紅さんらしく、ただの“宝塚の二枚目”に留まらない“人間の苦悩や弱さ”が色濃く出ていたと。
紅さんの場合苦悩がリアル過ぎて、以前“カッコよくない役もカッコよく魅せることも必要”と書きましたが、
(元々バトラーは恰好いい役ですが)苦悩を見せつつも恰好よく魅せてくれました
泥酔して苦悩するシーンやスカーレットを詰るシーン等、感情や行動が動くシーンはお手のもの!
狂気を孕んだ芝居は引きこまれました。(稽古場映像で心配した変顔もなかったしww)
紅さんのお芝居は本当に好きなのだけれど、動きがない部分でもっと色気が出せるようになれたらと。
まだ硬かった部分もあると思うのですが(1幕は特に)幕が上がってキャーとなったものの、前に出る動作が
若干ロボットだったただ悠然と歩く。それだけの動作がこんなにも難しいものなんだと改めて。
話の展開は早いけれどもシーン自体は割とゆったりしているので、間の持たせ方も要レバンガですね!
間といえば歌も!丁寧に歌われていたし、感情もこもっている。技術面も上達されたな~と思う反面、
紅さんならもっと歌えるはずとも。(ゆったりとした旋律だから、余計に間の埋め方が難しいんですよね)
あとはやっぱり、まだ本調子ではないのかなと思ってしまうことも。(ただ、自分がずっと最後の挨拶まで
心配しながら観ていたからかもしれませんが)舞台から観えないところですが袖で一度躓いてしまい、
本気で倒れてしまうんじゃないかと気が気じゃなかった(もう大丈夫と信じたい)
初めての全ツでこの大役。でも、紅さんなら最後までやり遂げてくれるはず楽でこのカンパニーが
どれだけ進化するかが楽しみです(それと、全国各地で美味しいものを食べて下さいね)