先日、社内で面談勉強会を開催しました!新卒のみんなも入ってきたので、そのトレーナーのみなさんを特に対象として実施しました。
活躍社員のノウハウを集めて、人事がまとめて全社に共有する取り組み、「ジレームワーク」を通じて生まれた新しい面談のフレームワークを紹介しました。一緒にまとめてくれた堤さん、人事のみなさんありがとう。
ちなみに社員の皆さんにはセミナー動画含め共有してあります。当日出れなかった皆さんはそちらでぜひ。
参考:『みんなで事例を集めて、フレームワークをつくる。ジレームワークを開始』
https://ameblo.jp/dekitan/entry-12455801798.html
この面談勉強会の時間は60分。人事関連の勉強会を開催するときは、なるべく少ない時間で最大の効果を意識しています。その時間の中で少なくとも一つは必ず持ち帰れるものがあるようにしています。
まずは面談の核となるフレームワークを10分ほど話しました。
残りの時間はいくつかワークシートを用意して徹底的にワークをやったのですが、みんなすごく積極的に参加してくれたおかげですごくもりあがりました。
だいたい2人一組とか3人一組で、自分の考えを書いて、話してもらう。みんなも普段の業務がとても忙しいだけに、こういうワークも「数分で」効果が実感できるように工夫しています。
ここから、勉強会で共有した面談のポイントです。
面談が上手な人をよく観察すると、3つのポイントを大事にしていることがわかりました。その3つをまとめて、こう呼びます。
面談のTPO!
面談はTPOを大事にすると、すごく良くなるというフレームワークです。よく使われているTPOというのは「時と場所と状況」などの意味で使いますが、面談のTPOは下記の意味です。
Trust 信頼
Plan 計画
Opportunity 機会
まず、ダメな面談は計画ばかり話します。「今月どうするの?」「来月は何をやるの?」という意味を感じにくい作業やプロセスだけを話しがち。そうすると冷たい関係性になり、面談の雰囲気などもよくないため、結果的に成果や成長に時間がかかります。「計画」を「信頼」と「機会」で挟むことで、前向きな雰囲気や良い関係性につながります。
・本人はもちろんだけど、上司や先輩からも、信頼関係をつくる努力をする。(Trust)
・信頼関係に基づいて、仕事の計画を立ててともに成功に向かう。(Plan)
・メンバーの機会や未来について語ることで、挑戦したくなる意欲を導く。(Opportunity)
この3つがぐるぐる回ることで、対話を通じた信頼関係と成長が生み出せます。
しかし、信頼というのはどうやってつくるのか。これも活躍社員を観察すると、基本となるアクションがありました。
信頼はKKS。興味・共感・率直さ。
まずは、「その人のことをどれだけ知っているか」というのが「興味」です。大事にしている価値観、これまでの成長の変遷やルーツ、将来の夢、趣味や好きなものなどなど。その人に寄り添うためには、その人自身に自分から興味を持つのが最も効果的です。
人は、興味を持つ人に興味を持つ。これが大原則。
「共感」は、どれだけ「感情を共有しているか」というもの。たとえば褒めたことがどれくらいあるか。これも褒める=いいねという前向きな感情を伝えたことになります。もしくは、メンバーが「これできました!」とうれしそうに報告があったときに「良かったね!」と一緒にその嬉しい感情を共有すること。
感情の共有=共感量が多い関係性は、苦しい感情になったときに支えとなるので、共感が少ない関係性よりも圧倒的に強い支えになります。
「率直さ」は、「ストレートなフィードバックができているか」というものです。お互いの成長にとても重要なもの。そのままではダメということを率直に指摘してあげることで、本人に気づきを促し成長を加速させるというものです。とても大事ですが、人によっては率直なフィードバックが多すぎる場合があります。そういうときには興味と共感の量を増やして、関係性を前向きにしましょう。
褒め>詰め
叱る量よりも、褒める量を多くする。特にまだ一緒に仕事を始めたばかりの時に有効な考え方です。
ちなみにこのKKSはけっこう共感してくれた人が多いようで、勉強会に参加してくれたエンジニアから数日後に「うちの部署ですでに流行ってますよ!KKSいいですね!」と教えてもらいました。
Planは、定期面談で話すアジェンダとして使います。たとえば定期面談(月イチ面談や1on1)などで
・先月
・今月
・中長期
を話すと、より成果が継続的に出せるようになるというものです。
「先月」は、振り返りです。先月の成果をどう思っているか。100点満点なら何点かを本人に言ってもらいます。ここでのすりあわせが実はものすごくものすごく重要で、良かった時にはきちんと褒めて、自分の認識と差があるとき(良くないとき)などには率直にそのギャップを伝えて、どこにその差があるのかをすり合わせます。ここのギャップをきちんと話すことで、メンバー本人の自己理解や自己認知力も高まります。自己評価が高いメンバーの場合などにも、ここに時間をかけることで少しづつ成長していきます。この振り返りは半期などの評価や振り返りでも有効です。定期的に良かったとか悪かったとかの振り返りを行っておくことで、半年後の評価などでもずれがすくなくなります。
「今月」は、今月の計画です。今月や来月に向けて、目標から逆算して行動を話してもらう。そうすると先輩から見ればまだ考えが浅かったり知識がないことがわかるので、その意見をもとにアドバイスをしてあげましょう。一方的にアドバイスをするだけだと、残念ながら本人は吸収できないことがほとんどです。
行動を促すには、できるかぎり本人に話してもらう。
これが大原則です。他人の命令だけだと、そもそもすべてを吸収できるわけでもなく、そのアクションをやったとしても上手でないことがほとんどです。一方本人が自分の言葉で語ると、下手だとしても自分の意思があるので最後までやりとげたり、軌道修正をしたりするなど主体性が生まれやすくなります。最初に知識がない時は細かい指示や命令をどんどんしてあげたほうがよいですが、慣れてきたら自分の意見をだしてもらうようにすると成長が早くなります。
「中長期」は、時々面談で未来を語ろうということです。先月と今月の話は、どうやっても近視眼的になりがちです。
明るい未来があると、人は前向きになる。
「明るい未来」というのは強烈なパワーがあります。たとえば今の部署が市場的に苦しい状況にあったとしても、その先の未来を自分なりにイメージできると前向きに努力することができます。面談においても、時々中長期について話して、その未来のイメージを膨らませたり、組織の成長とその個人の未来を結び付けたりすることでより強い関係性ができるようになります。
未来を語るときに大事なものが、Opportunity(機会)です。
機会や未来があると人は前向きになれるということを、いくつかの切り口で対話するための考え方です。
未来や機会を考えるときには、半年・1年・3年後を一緒に考えるのがおすすめです。
たとえば私が若手や幹部と面談するときによく聞く質問が、下記です。
「中長期で、何かこういうことをしたいとかあるかな?」
これをまずは投げかけてみます。
ある人は、「子会社の社長になって〇〇の分野でナンバーワンの経営者になります!」など野望の大きいコメントが出ますが、実は「特にないんです」もとても多い。年代や経験に限らずいます。
最近、ひとつ確信したことがあります。
「ビジョンがないと思っても、全然大丈夫だよ」ということです。
「ビジョンもっていたほうがいいよ!」これはよく先輩から若手に投げかけられる言葉ですが、これ自体は間違いではありません。私も、ビジョンはあったほうがいいと思います。なぜなら目指すものがあるほうが、自主的なチャレンジや達成までの粘りもでて、結果的に宣言している人のほうが大きな成果を出すというのをこれまでたくさん見てきているからです。
ここで大事な論点は、「時間軸」です。
「ビジョンがない」という言葉の裏には、「中期や長期のビジョンまでイメージするのが難しい」という意味が隠されています。ネット業界だけでなく、世界も社会も変化が激しいので、3年後の今日、自分自身が何をしているかもわかりません。これが現実です。長いビジョンをもつのは、難易度が高くなっているのです。
「誰でもわかる未来」ではないからこそ、ビジョンを持つことや決めることを悩んだり躊躇するというのはある意味、自然な反応です。ではどうするかというと、ひとつ方法があります。
時間軸を「短くして」考える
というものです。たとえば3年後はどうしたいか。もし3年後が難しければ、1年後とか半年後を想像して一緒に考える。
「今の役割のまま、1年後に大成功しているとしたらどうなるかな?」
ビジョンに悩んでいるというメンバーに私がよく投げかける問いです。半年後でもいい。時間軸が短い、つまり今の自分に近ければ近いほど、イメージはわきやすくなります。
たとえば今メンバーが23歳くらいで、毎年一つ上記のように「1年後の大成功ビジョン」を掲げてひとつひとつ達成していくと、30歳までには6つから7つの「大成功」を持った人になり、これはこれで素晴らしい経験と成果を得ているので、社内の価値も市場価値も高くなっているはずです。ずっとビジョンがないと悩んでいる人より、よほどたくましいし強い人材になっています。
だからこそ、未来は1年後でもいいから大成功をイメージする。ビジョンで悩むくらいなら短期ビジョン作戦で行ったほうが、成長は早くなります。もちろん野心家のみなさんは、もちろん長期に壮大なビジョンを掲げて、大きく成し遂げていただければと思います。
これが、面談のTPOです。
面談のTPO!
Trust 信頼
Plan 計画
Opportunity 機会
なお、勉強会では、このTPOが実践できるように5つのワークシートを用意しました。
信頼のKKSシート。これを書くと、メンバーごとにKKSの何が多くて何が不足しているかがわかります。自分でこっそり持っておく秘密のカルテみたいな資料です。
TPO面談シート。これは実際の面談で手元にもったり、面談前に話すことを準備できるアジェンダが用意されている資料です。
3行メモ。面談で渡すと喜ばれます。褒めを3つ伝えたうえで、成長課題を3つ伝えるというもの。褒めを伝えることで興味や共感を増やし、期待する成長課題を伝えることで率直に対話するものです。KKSを実際の面談で積み重ねるのに有効です。
ナインブロック。これはその本人の大事な価値観を知るのにとても有効なシート。書いてあるキーワードの背景やルーツを聞くことで、意外な一面が見えたりして興味が高まります。自分も書いて渡してあげると、逆に興味をもってもらえることもあるので相互で使うのがよりおすすめです。
Oneメッセージシート。これはどうしても直してほしいけど、なかなか変わらないときにこのシートを使って準備するというものです。これだけは言いたい!ということがあるときに使います。
面談はTPO!
信頼はKKS!
半年・1年・3年後!
このあたりのポイントを踏まえると、面談はとてもよくなります。もっと良い方法を見つけて、より良いものを社内でも還元していこうと思います。
アンケートも好評で、ほっとしました。
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めちゃくちゃ面白かったです。こう言うフレームワークあればどんどん知りたいです。
作業的な面談ではなく、未来を作る面談として今日の学びを活かします。興味や率直はたくさんあったが共感が足りないとわかりました!
自分が意識的にできていたこと、考えもしなかったことが言語化できて大変良い整理の時間になりました。
とくに3行メモは今後積極的に使おうと思いました。ありがとうございました!
自分がこの先輩社員みたいになりたいなーと思っている先輩はKKSなどのフレームワークを満たしていて、何故良かったのか言語化出来て良かった。
KKSシートと三行メモが特に、トレーニーのどこを見れていてどこを見れていないかが把握できたので、更に実践を重ねたいと感じました。
フレーム化されていて、やり方に悩まず、やれるのでよかったです。また、長期ビジョンをどう持ってもらうか悩んでいたので参考になりました。
面談という、日常的に実施しているものに対して、フレームワークがあるということに驚きと有用性(有り難さ)を感じ勉強になりました。
さまざまなツール・シートを体系的に学べたのでとてもためになった。ワークがあったことでやり方の実感が湧いた。目標設定など、スライドに上がっていた他のトピックもぜひ開催していただきたいです。
最後は経験値や幅がモノを言うと思うが最初にまとまったフレームがあり型があると上達も早いと感じました。とてもありがたい機会でした。ありがとうございます!ジレームワークは今後の発展がとても楽しみです!
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今回、アンケートを読ませてもらって学べたことがたくさんありました。
・フレームワークはゼロから悩む時間を減らせる
・ワークシートは何個かあると選べてよい
・活躍社員の事例をフレームワークにすると説得力がある
ジレームワーク、はじめて良かったと思いました!
サイバーエージェントの人事は、挑戦を応援するのが使命です。社員ひとりひとりの挑戦をもっと応援できるよう、このジレームワークもさらに推進していきます!