玉井詩織ソロコン「いろいろ」 2024/3/2(土)~3(日) | 接触が苦手だけどアイドルは好き

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接触が苦手な人のアイドルライブレポでしたが、もうほぼももクロしか行ってないです。

「SHIORI TAMAI 12 Colors」という名前の企画に対して「いろいろ」というソロコンのタイトルは、ストレートと言えばストレートなのだが、仮タイトルとして「いろいろ(仮)」と出た時はいかにも詩織ちゃんらしく、とりあえずソロコン開催が決まってしまったので、まずは思いついた言葉をはめてみました。感のあるタイトルだと思った。

 

いよいよタイトルが本決定してメインビジュアルが出てくると「いろいろ」という、いかようにも捉えられるタイトルに「色」という方向がきちんとついて、ふわふわした印象だった「いろいろ」が「SHIORI TAMAI 12 Colors」に対してしっくり感じられるようになってきた。


画像参照元:玉井詩織ソロコン「いろいろ」公式サイト

白色
ナタリーのライブレポートに並んでいる詩織ちゃんの写真を見ても分かるのだが、「SHIORI TAMAI 12 Colors」で「いろいろ」…な割に、ステージ上にいた詩織ちゃんや、ステージの装飾などは大半が白く「カラフルな色」の要素が意外と少ない。

 

ビビットな、まさに「いろいろな色」の衣装を着るパートもあったのだが、それも3曲程度でほとんどは白い衣装だった。

ナタリー記事:玉井詩織、ついに実現した初ソロコン!さまざまなパフォーマンスで見せた「いろいろ」な色

 

改めて↑のメインビジュアルを見ると画像の大半は「白」だ。「白」はそれ以外の色を塗るためのキャンバスの「白地」であり、色をより美しく際立って見せる力もある。「白」も今回の「色」をタイトルに据えたソロコンで重要な色の1つなのだ。

 

ライブ中はカラフルなものを見ていた覚えがあるのは、ステージ上の色というより、グッズで売られていた「制御ペンライト(Day1で詩織ちゃんが呼称)」改め「いろいろペンライト」のおかげだろう。

 

制御ペンラという詩織ちゃんの言葉どおり、こちら側で色は変えられず演出に合わせて自動的にいろんな色に変化するのだが、これが想像以上の色数・明滅の表現力をするので、ペンライト料金(\4,500)も納得のものだった。

 

表現力が高い&殆どのお客さんが買っているので、必然的ステージ演出は客席側にそのライトがある前提のものとなっており、ステージ上の白さは、このペンライトの色によって色をつけてもらうための「キャンバスの白地」だったのかなと思える。

 

ステージ上の「白色」とペンライト発する「色」が合わさって演出が完成するのであれば、チケット代 (\9,160)+ ペンライト代(\4,500)がソロコンの本当の入場料といっても過言ではない(手数料別)。

 

 

映像の中の詩織ちゃん

オープニングや幕間に挟まった映像では、メインビジュアルの白いフードを被ったやけにかっこいい詩織ちゃんが登場し、白い空間に色を塗りつけていく。白い色が多いステージ上を「キャンバスの白地」として、お客さんを「色」だとすると、まるで映像の中の人がこのステージを全て作っていると思わせるような映像だ。
 

フードという少し顔が隠れる衣装で、ライブペイントアーティストのようにラフに色をつけていく姿は、神出鬼没のバンクシーのような素性を明かさない路上のパフォーマンスアーティストみたいでかっこいい。

 

映像の中の世界で「この人がこの世界に色塗ってる、このステージを作ってる」と思わせることで、やんわりと全ての衣装や演出が、映像の中の物語でつながり、まとまりを持たせていたのがオシャレな演出だった。

 

オープニング映像でこのフードを被った詩織ちゃんが、白い空間に絵の具を塗りたくっていくのがとにかくはちゃめちゃにかっこいいのだが、その興奮した気持ちに水をささないようにトップバッターに選ばれたのが、唯一のロックナンバー「HAPPY-END」だった。

 

 

セットリストとシングル発表順番
セトリは「ソロコンは、ほぼシングルを出した順番のセトリでやるというイメージが最初からあった」と思えるほど、違和感のないセトリだった。だが「HAPPY-END」が1曲目というサプライズのように、今冷静にセットリストを振り返ってみると、それなりにシングルが出た順とライブの曲順は入れ替えがあり調整されていることが分かる。

 

セットリスト:
M1. SHIORI ture
M2. HAPPY-END
M3. ROCK THE BOAT
M4. 暁
M5. 日常
M6. 泣くな向日葵
M7. 孤独の中で鳴るBeatっ!
M8. マリンブルー
M9. Another World
M10. Eyes on me
M11. Spicy Girl
M12. Sepia
M13. 宝石
M14. 天国のでたらめ
M15. We Stand Alone
M16. ベルベットの森
M17. Shape
<ENCORE>
M18. …愛ですか?
M19. モノクロデッサン -ZZ ver.-
M20. 走れ! -ZZ ver.-
M21. 涙目のアリス

セットリストは公式レポから引用


シングルが出た順番と、セットリストの順番比較図:



ソロコン中に「映像が流れるところを一区切りのグループ」として、同じグループに所属してる曲を同じ色でまとめてみた。

色分けしてなんとなく分かったが、曲順が結構大きく動いていても、グループとしての位置はシングル順となんとなく同じなのと、「同じグループ内での曲順はシングルが出た順」になっているようだ。このおかげで「大まかにはシングル出た順のセトリだ」と思えたようである。

セトリとシングル順が前半はあまり揃っていないけどある地点からは揃ってくるが、詩織ちゃんは「ソロコンを決めたのは4月くらい」と言っている(詳しくはファンクラブ内2024年4月のインタビュー)。その時期がそのままセトリとシングル順が揃ってくるタイミングと符号する気がするのが面白い。つまり4月曲の「Eyes on me」以降、セトリとシングル順は大きくズレていない。

 

 

セットリストの流れを追う
図の中で「HAPPY-END」だけグループ化せずに独立した色をつけたのは、この曲が「大まかにシングル順のセトリ」において1つのアクセントと思われるためだ。1曲目に「HAPPY-END」で、しかもギターを抱えて登場というサプライズで、このソロコン全体への信頼が一気に上がった。

 

写真イメージも楽曲も常に1番手で、手探り状態の「暁」にセトリトップをやらせない、頼もしい楽曲だ。

引き続き2曲目もギターが生きるソロ曲かと思いきや、ももクロ楽曲の「ROCK THE BOAT」で、歌詞通り心が揺らされる。2曲目の時点で手札を見せすぎじゃないだろうか…と思ってしまうが、まだまだこんなものではない、というのは後から分かる。

 

それはそうと詩織ちゃんが連続で「揺らしちゃう?」と言ってくれるのが忙しなくて可愛い。


ももクロとは違う振り付けの「ROCK THE BOAT」は、見てる時はこんな過激な振り付け(お尻を回す)をみんなに見せたくて振り付け独自に変えたの?とドキドキしたが、全てを見終わった今は「ももクロの振り付けはしない」という詩織ちゃんの絶対的な意思があったことを感じ、「ソロコンをやる意味」を今まで見出だせなかった詩織ちゃんが「ももクロと同じものは見せない」という答えを出してソロコンに挑んだ。と、思わずにはいられない。


「暁」、「日常」辺りは「SHIORI TAMAI 12 Colors」が後半戦になるにつれ聞く頻度が下がっていったけど、制御ペンラによる演出が「客側も参加してる感覚」と「その一体感によって楽曲の世界に入り込むような感覚」を感じられ、新鮮味をもって「こんなにいい曲だったのか」と改めて思うことができた。

ブログの前半で「全体的に白い衣装だったが『いろいろな色』の衣装を着るパートもあった」と書いたが、その始まりのパートが「Another World」だ。ここから衣装に色がつくのだがまずは「白い衣装に青い絵の具をかけたような少し色がついた衣装」だった。これは衣装が「白→カラフル」になっていくための自然な繋がり作りと感じたし、幕間映像の「白い世界に色を塗っていく」と繋がりも感じた。

「Eyes on me」「Spicy Girl」では1曲ずつ目まぐるしく衣装替えが行われ、ビビットな緑とピンク色へと変化した詩織ちゃん。衣装の色は「ももクロの詩織ちゃん」のイメージからは遠いものだったが、スタイリッシュに似合ってたのが「ここはももクロのライブではなく玉井詩織のソロコンなんだ」というのを叩き込まれているようだった。過去のももクロ色交換ライブで、詩織ちゃんが緑/ピンクになった動画を、珍しさ目当てで何度も見ていたことに思いを馳せる。

この「Another World」「Eyes on me」「Spicy Girl」の3曲がいきなり衣装に色が入ると同時にかなりダンスが激しい時間で、詩織ちゃんの息が少し切れてるのが生々しく分かる瞬間もあって、改めて詩織ちゃんが新しい振り付けを大量に覚えてくれてる上に、楽器演奏までしてくれたんだ。ということに思い至る。

詩織ちゃんソロコンのために色んな新しいこと覚えてくれたり練習してくれてありがとうと思ってたら、続く「Sepia」ではまさかの全編ピアノ演奏しながら歌唱で、直前にありがとう…と思っていた気持ちが、2つ目の楽器登場によりすごすぎてだんだん「どうなってるの?」に変わっていった。

志磨遼平さんが作った「宝石」の後、同じく志磨遼平さん作の「天国のでたらめ」に続いていくのは、詩織ちゃん的には「ありがとうございます」の気持ちなのだろうか。ファンとしてはただただ「天国のでたらめ」がソロコンで聞けて嬉しい。

「We Stand Alone」でサックスを吹き始めた時はすごすぎるのと脈絡がなさすぎるので笑ってしまったが、後から聞くとちゃんと竹山さんに教えてもらったというストーリーがあったようだ。

 

「We Stand Alone」と「ベルベットの森」がシングル出た順とセトリで入れ替わったのは、亀田さんが来てくれるからこその変更だろか。個人的には「ベルベットの森」はMVもあり、楽曲的にも「We Stand Alone」のポップな感じより、物語性が強く感じられ重みがあるので「SHIORI TAMAI 12 Colors」曲ラストが似合うので納得感のある入れ替えだった。

 

 

Shape

いよいよ残すは大本命、新曲の「Shape」を残すのみとなった。幕間映像では相変わらず白い世界の中、地球のような青い丸いものを描いているバンクシー詩織ちゃんが映り、そこから突如真っ黒な衣装で「Shape」が始まった。

 

この白い世界を映していた映像からの「Shape」の黒さへのスイッチが目に軽く衝撃を与える演出で、反射的にドキッとさせられてしまった。この鮮烈な肉体への衝撃と、Shapeから、突然今までのふんわりとした詩織ちゃんのイメージからガラッと変えてかっこいい詩織ちゃんが登場したことで、完全なる妄想解釈だが、この「Shape」だけは幕間映像の人がステージに立っているような気がした。幕間映像の人が自分自身でステージに色をつけにこっちの世界に降りてきて、映像から急に実体が現れたから、それで目に衝撃があったんだろうと。

 

「HAPPY-END」で始まり、「いろいろ」の世界を「黒」で締めるのは、あまりにかっこよすぎる。

 


ストイックさとロボット感
詩織ちゃんは真面目が故に、自分の中に明確なモチベや意味がないとソロコンに踏み切れなかったのかな?と思うけど、その想像通り、ももクロ楽曲をいくつかやってくれたものの、決してももクロと同じ振り付けはせず「ももクロで見れるものはソロコンに来てくれた人には見せない」という覚悟を感じて、今までソロコンをやらなかった真面目さに見合ったストイックさを感じた。

泣くな向日葵でバレイベではタオル回しやったのに、ソロコンではやらなかったのも「一回やったから」な気がした。

普段の力が抜けた詩織ちゃんならサボりも許容しそうだし、学生時代「ワニとシャンプー聞きたくない!」と夏休みに言っていた詩織ちゃんは本来サボり症なはずだ。

 

だが、人前に出る時は抜け目ないストイックな真面目さを作ってくるのが面白い。それを取り繕ってるレベルではなく本当にクソ真面目にやり通してくる。

このクソ真面目さが時に詩織ちゃんをロボットのように思わせる。「We Stand Alone」でいきなりサックス始めたあたりから、すごすぎてだんだん頭の中に「ロボット」というワードが出始めていた。


2日間に渡るソロコンのMCは、両日同じ内容を話してはいたので大筋は台本に書いてあるのかなと思っていたけど、2日間ともコンサート最後の記念撮影で「いろいろポーズ」がどういうポーズかを同じ言葉で説明して「でもこのポーズはやらなくてもいい」と、即訂正してくる流れまで、2日間ともぴったり一緒だったので、どこまで感情なのか台本なのか、毎回台本通りに話すと毎回同じツッコミを言ってしまうのか。

よく分からないけど、あまりにも色んなことができてしまう詩織ちゃんが2日間同じコンサートを繰り広げたことにより、繰り返されるMCにもロボットみを感じられるのが面白い。


パンフレット、衣装の流れ、全体の演出
今回のソロコンはどこまで詩織ちゃんの采配なのかは分からないが、「今までの詩織ちゃん」という枠ではやらなかったこと、やって欲しかった「かっこいい詩織ちゃん」の領域をやってくれた感覚があって嬉しかった。

集中力という部分では短気なイメージがある詩織ちゃんだが、その分周囲を見渡す能力にパラメーター全振りしてて、その能力がお客さんの予想をどうすれば気持ちよく裏切られるかということに鋭くさせているのかもしれない。そういう予想ができない楽しさがあった。

 

パンフレットの衣装が白→カラフル→黒となっていたのが、全体の衣装の流れと被っていたり、メインビジュアルと幕間映像の世界観によってなんとなくある全体の流れなど、見えてくるものに統一感と流れがあり、かなり受け止めやすかったのは演出家さんの力なのか。

 

「統一感」の部分よりも「流れ」を感じられたことが、今回の演出で好きな部分だ。セトリが、シングルの出た順番から今回のソロコンのセトリの流れへ調整されたのも、その演出の大きな流れありきで組み立てられたものと思われる。流れがあるとこちらは身を任せやすいので楽だし、楽だから楽しい。

 

 

 

 

すごく長くなってしまった。

 

ソロコンをやるために、写真イメージが全て出るのに1年、曲が作られるのに1年。

普段はこんなペースで曲が作られないと思うので、軽々しく「ソロコンまたやって」とは言えないけど、また曲のストックが増えて、詩織ちゃんがやる意味があるって思えた時に、またやってほしい。

 

またソロコンを見たい…という言葉より「またあの世界に入ってみたい」という方が近い。みんなが見たいものや新しいものを見せてくれる、詩織ちゃんが作ったあの空間にもう一度行きたい。