今日、内閣府から『四半期別GDP速報』が発表されました。
今回は実際にその測られたGDPの速報値(確定ではない)を使って考えていきます。

>2009年10~12月期の実質GDPの成長率は、1.1%(年率4.6%)となり、名目GDPの成長率は0.2%(年率0.9%)となった。
名目に比べて実質の成長率が高い「デフレ成長」ですね。
ここでいう「年率」とは四半期、つまり1/4年で考えている数値を1年間に考え直したものです(約4倍)。
数字が大きくなるので変化は分かりやすくはなりますが、実態の把握には向いていません。

ここからは細かな内訳を見ていきます。
>民間最終消費支出は、実質0.7%(7~9月期は0.6%)、名目▲0.0%(7~9月期は ▲0.2%)となった。
「個人消費」と言われる分野です。
名目自体にほとんど変化がありませんから、実質成長率はモノの値下げ分(デフレ)が成長と見なされた結果ですね。

>民間住宅は、実質▲3.4%(7~9月期は▲7.8%)、名目▲3.7%(7~9月期は▲8.8%)となり、民間企業設備は、実質1.0%(7~9月期は▲2.5%)、名目0.6%(7~9月期は▲3.4%)となった。
「民間投資」は久しぶりのプラスです。
(本当なら前期速報値の時点でプラスでしたが、何故か確報値でマイナスになってしまった)。
住宅への支出はマイナス幅が縮んでいます。

>政府最終消費支出は実質0.8%(7~9月期は0.1%)、名目▲0.3%(7~9月期は0.8%)となり、公的固定資本形成は実質▲1.6%(7~9月期は▲1.6%)、名目▲1.6%(7~9月期は▲3.0%)となった。
この「政府の個人消費」が不思議なのですが、前期はインフレ、後期はデフレで計算してあります。
そのため、名目は前期と比べて減っていますが、実質は逆に増えています。

>財貨・サービスの輸出は実質5.0%(7~9月期は8.4%)、名目4.8%(7~9月期は7.9%)となり、財貨・サービスの輸入は実質1.3%(7~9月期は5.4%)、名目1.2%(7~9月期は7.5%)となった。
輸入はあまり伸びていませんが、輸出がそれなりに伸びているので「純輸出」としては結構大きなプラスです。
(本来なら歓迎すべき黒字ですが、「~日本の稼ぎ~」で説明したように貸し出しも大きいため、国内に回らないんです)

今回は分析だけでした。
ハッピーバースデーディアお父さん~♪

色々とあって遅くなってしまいましたが、GDP関連の続きです。

先に前回の「~見た目と実際~」を読んでおいて下さいな。
(例1)では名目-4%、実質+20%の成長率になりました。
(例2)においては名目7%、実質-20%の成長率になります。

ここで考えてほしいのは、「売上は落ちたが物は安くなったの」と「物は高くなったが売上も上がっている」、どちらが良いのかは実質GDP成長率で決まります。
(例1)と(例2)を比べたなら、実質が+成長の前者の方が良い、良い筈なんです。
しかし、物価変動を無視して、(例1)の状態で「売上が落ちた、収入が減った」と言い続けたり、(例2)で増えた、上がったと言い続けるなら、感覚的には逆転してしまいます。
企業の収益も個人の給料も、物価変動を考えて実質で考える事はまずあり得ません。
「前と比べてどうか?」を考える時は名目、額面上で判断します。

今は春闘の季節ですが、労働組合は「デフレ脱却のために給料アップを!」という理論で交渉しているようです。
給料が減ったから消費が落ち込み物価が下がったのか、物価が下がったから収益が落ちて給料が減ったのか、そこの所は分かりません。
(アメンバーのyxtuykさんのブログに関連した記事がありますが)給料の支払い等も除いた企業の純粋な利益を表す「内部留保」が不況に関わらず年々積み上がっています。
一部の政党はその利益を還元せよと主張しています。

家計は生活のために節約しより安い物を買い、貯蓄に励み

企業は少しでも売上を出すために値下げし、企業体力をつけるためにリストラを行い、そうして出た利益(内部留保)を借金返済に当て

政府は借金返済のために支出削減や増税を画策する

皆が皆「プラスを残し、マイナスを減らすため」に正しい行いをしています。
前にも書きましたが、それは誰かのプラスを奪うか、誰かがマイナスを増やす事でしか達成できません。
無理にやろうとすればどこかにガタが来ます。
この失敗が「合成の誤謬」と言われます。

皆がこれを理解し、計画的にマイナスの引き受け手を作るか、プラスをストック(資産)からフロー(消費)に回すようになった時、終わらない不況(正確には名目成長率での不況)から脱出できる、と考えます。
GDPのお話の続きです。

経済成長率は「前と比べてどうなのか」が基本的な考え方です。

1つの物の付加価値は最終生産財の価格つまり完成品の値段で表せる、とは以前やりました。
「パン」の例でいきますと、店頭でパンが1つ150円で売られている場合、そのパンの付加価値、農家や業者やパン屋やお店の付加価値の和は150円になります。
このパンが1万個売れたとすると、GDP150万円分になります。
「1つ150円のパンが1万個売れ、売上は150万円」
これを基準とします。
(ここから本題)

(例1)次の年、1つ120円に値下げして売り出すと、1万2千個と前より多く売れました。
しかし、全体の売上は144万円と去年より減ってしまいました。
(例2)1つ200円と値上げしたら、売れたのは8千個に留まりました。
が、全体の売上自体は160万円と去年より増えました。

(例1)では150万円の売上が144万円と4%減少し、1つの値段は150円から120円へと20%下がり、150万円の売上が144万円と4%減少しました。
(例2)では1つ200円と約3割値上がりし、売上は約7%増の160万円となりました。
この1つあたりの値段の変化が物価上昇率(デフレやインフレ)と呼ばれ、全体の売上の推移が「名目」経済成長率にあたります。
(例1)の名目経済成長率は-4%、(例2)では+7%と見た目は後者の方が高くなりました。
額面のみで判断するから「名目」成長率なんです。

では実際の生活についてはどうでしょう?
GDPは付加価値の和ですから全体に回ったお金の和、とも考えられます。
(例1)の場合、GDPそのものは減りましたので全体に回るお金も減りました。
回ってくるお金が減る、という事は使えるお金も減る、という事です。
ここで物の値段がそのままなら買える枠が減る所ですが、物価も-20%と下がっています。
物価が下がった分、買える量も増えます。
(物価が半分になると買える量は2倍、物価が2倍なら量は半分、と割り算のような関係になります)
これを計算すると
1×0.96÷0.8=1.2
名目成長率はマイナスでしたが買える量は+20%と増えています。
この、名目ではなく実際の生活においてどうかを考えるのが「実質」経済成長率になります。
これらを踏まえると(例1)の成長率は、名目成長率が-4%、実質成長率が+20%となるのです。

また続きます。