だんだんと夏めいてきました。夏の昼下がり・・・あの、気だるさと、寂しさと、甘酸っぱさが入り混じった時間に、とても似合う曲があります。コックニー・レベルの「悲しみのセバスチャン」。スティーヴ・ハーリーの情感たっぷりの揺れるボーカルに、繊細なオーケストラが乗って、哀感が際立ってきます。この曲は、ロッキングオン編集部が選曲したCD「ROCKIN'ON SELECTION : ESSENTIAL ROCK OF UK 70'S」(東芝EMI 93.11.5)で知りました。解説を井上貴子が書いているのですが、とても好きな文章です。少し引用してみます。「コックニー・レベルを聴くなら絶対“夏”である。まるで田舎の中学生が若さを持て余し海辺をウロつくように、『太陽がいっぱい』や『俺たちに明日はない』といった泥棒青春映画の甘酸っぱい罪悪感を共有するように、デビュー作『美しき野獣の群れ』は、退廃と熱気の入り交じった思春期的感性をくすぐってやまないのである。ここに収録された「悲しみのセバスチャン」と「真夏の秘め事」はデビュー・アルバム『美しき野獣の群れ』からの選曲。ヒット作という意味でも完成度の上でも100倍優れてるコックニー・レベルの真骨頂『さかしま』や、そこからのヒット曲“ミスター・ソフト”ではなく、初期作品を選んでしまったのは、青臭さ故である。」「その反ロック的、キャバレー的雰囲気から、デヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージックの後継者として「最右翼グラム」と評されたコックニー・レベルの完成形は、言うまでもなく病気、変態、退廃趣味、背徳主義花盛りの変態オペラ『さかしま』である。がしかし彼らの本質はギラギラしたグラムのあでやかさよりむしろ、夢見るように美しいオーケストレイションとスティーヴ・ハーリーの文学的な詞、オーソドックスなポップ・センス-そしてそれらを統合する「永遠の思春期」的トゥー・マッチなロマンティック体質にあったのだ。」