おれは小さな調査会社につとめていた。
ある仕事で産業スパイの真似事をして失敗し、その会社の人間に「戻ってこられても困るから、他の星へ追放する」と言い渡されたのだ。
しかし、目が覚めてみると、そこは地球そっくりの惑星だった。
そっくり同じ町、同じ言語、そのうえ自分の家族にそっくりなひとびとまで存在するのだが、ここは「あの地球」ではないのだ――
不可思議な結末に翻弄される、17遍のショート・ショート。
- 地球から来た男/星 新一
(最近、画像がまったくないので、もうこのさい自分で撮影しますよ! 以下がそうでございますよ!)
星新一と言えば、ビックリドッキリの皮肉な結末に読者を誘い込む、悪夢の水先案内人のような作家さん――であると思っていたのです。が。
今回の作品集は、どちらかと言えば今風ですらある
「なんかオカシイ」
「でもなんで?」
という具合に、違和感に気がつきながらも結末では何もはっきりとは明かされない、筋立てとしてはホラーのような物語群なのです。
しかし、星新一ならではのクールな視点と飾りけのない語り口(今回読んでみて意外だったのですが、意識的になのか個性であるのか、文章がかなり平易なのですよね……ややこしい表現は一切なし。幼少期の自分にも読めたわけです)で、ホラーというよりもミステリーというよりも、やはりSF風。
表題作の「地球から来た男」ですが(これが表題作であるのは、タイトルの力かも。これイイですよね~)。
何から何まで地球そっくりの星に追放された――と主人公は信じて疑わず、ここが「元の地球」で、思い込みから誤解をしているのは自分なのでは? などとは、主人公はまったく思わずに、孤独にさいなまれているわけです。
解説の方も書いていますが、これは何とはなしに現代の孤独にも通じる物語ですね。
幸せも孤独も、やはり本人の心のありようでしかないのかもなあ、という気がしてくるのです。
さて、既刊のショート・ショート集よりは、インパクトとしては弱い作品集ではありますが、
それだけに読み手に想像させる部分が多く、オトナ向けであるかもしれません。
私の知るとは星新一とは、また少し違う顔に出会えたようで、なかなか楽しく読ませていただきました。
いくつかの印象的なものについて、感想を。
★ 「改善」……何度も何度も過去をやりなおす(何故やり直せるのかは不明)物語。やり直してもまったく幸せに近づかないところはともかく、最後に平凡な道を選びながら、それでいて浮気に走るところが星新一オトナ★バージョン。
★ 「包み」……これは良いお話ですね~。今市子が描きそう。←なんかいつもこの漫画家さんを引き合いに出してはこーゆーことを言っている気が……
★ 「能力」……能力が高まっていくことよりも、身体機能をつぎつぎ失っていくところがオソロシイ。あー、あれですよ。スティーヴン・キングが書いてた短編の、無人島に漂着してつぎつぎと自分の体を食べていくアレみたいな恐さ……!
以上でございます。
しかしこの作者さんを読むのが初めて、とゆー方にはオススメは出来ないかもしれません。
子供のころに親しんだことがあるとゆー、星新一上級者の方へオススメ。